中学受験ノウハウ

難関大学への現役『進学力』が高い中高一貫校はどこ?|データで見る中学受験 #11

専門家・プロ
2024年8月08日 佐藤潤平

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連載「データで見る中学受験」は、中高の教育データ解析・分析のスペシャリスト佐藤潤平さんが、データをもとに、なるべく中学受験を客観的に読み解こうとする試みです。今回は難関・有名国公私立大学への現役「進学力」ランキングを見比べながら、データの読み方を解説していきます。

数多くある中高一貫校の中から志望校を選ぶとき、卒業生たちがどんな大学に進学しているのか、気にされるご家庭は多いでしょう。

難関国立大学へ特に強かったり、国公立大学への進学が多かったり、難関・有名私立大学がメインだったりと、学校によって進路の傾向はさまざま。そしてこの違いこそが、普段の授業内容や学習のサポート体制など、学校全体の特徴や学習環境そのものにつながってくるともいえます。

そこで今回は、2023年3月の中高一貫校卒業生の進路データを使って、それぞれの学校の大学進学力について分析してみましょう。難関国公立・私立大学を対象としたランキングと、難関国公立のみに対象を絞ったランキングの2種類をご紹介します。かなり顔ぶれやが変わることを実感していただけるかと思います。

なお、今回注目するのは、「合格」した大学ではなく、実際に「進学」した大学のデータです。混同しやすい「大学合格実績」と「大学進学実績」の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

難関・有名国公私立大学 現役 進学力ランキング

難関国立大学、国公立大学そして難関・有名私立大学への進学力が高い学校はどこか。

ここでは2023年3月に卒業した先輩たちの大学進学力をランキング化していきます。また、都道府県別に各大学グループの内訳ランキングも付記しています。上位の色が濃くなるヒートマップで表していますので、それぞれの学校が相対的にどの大学グループに強いのかが一目で分かるのではないでしょうか。

ただ、どのようなランキングにも注意すべき特性があります。データのもつ特性を理解することで、誤った結論を出すことを避けることができます。

まず、本ランキングは「卒業生に対する割合」をベースに基準値を算出しているということです。そのため、「大学附属校」と「卒業者数の少ない学校」には次のような注意が必要です。

・系列大学に進学する生徒が多い大学附属校では、相対的に系列校への進学力が高くなります

・卒業者数の少ない学校では1人の進学者が進学力の値に与える影響が高く出ます

また、進学先のデータとして、大学合格者数は発表するものの、進学者数のうち、全部または一部を公表しない学校もあります。年度によって発表したりしなかったりすることもあり、これらの学校は実績を出していても正しくランキングに反映することができません。

もしかしたら、気になる学校がランキング内に見あたらないかもしれませんが、進学者数が発表されていない場合はデータが存在しないためかもしれません。

これらの特性を押さえた上で、ランキングを見ていきましょう。

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佐藤潤平

佐藤潤平

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(株)Levier(ルヴィエ) 
カルチャースクール紹介誌、大手新聞、ラジオ番組、進学情報誌等の企画・編集・制作を経て、中高の教育データの解析・分析、思考力・判断力等の評価方法の開発などを手がけている。また学校・塾のコンサルティング、受験に関する種々のリサーチやソフトウェアの制作などを行う森上教育研究所 高校進路研究会を主宰している。