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流域面積とは? 意外と知らない正しい意味を解説

2020年5月19日 ゆずぱ

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日本で最も長い川は信濃川、そして最も流域面積が広い川は利根川です。これは子供もすんなり受け入れてくれます。ところが子供から「流域面積って何?」と聞かれたときに、正しく答えることはできますか? そこで知っているようで意外と知らない「流域面積」について、その意味を紹介します。後半では、流域面積が中学入試でどのような出題のされ方をするのかも合わせて解説します。

流域面積は「雨や雪を集める土地の面積」

結論からいうと、流域面積とは「地上に降った雨や雪がその川に流れ込む土地の面積を全部あわせたもの」です。この説明だけでは、ちょっとわかりにくいですよね。そこで、流域面積についてかみ砕いて解説します。

「水面の面積の合計」ではないので注意!

まず、川の長さは想像しやすいでしょう。川の長さとは、山の上にある水源から海に流れ出る河口までの長さのことです。では、流域面積はどうでしょうか?「水面の面積なのでは?」と想像してしまいそうですが、それは間違いです。なぜなら、水面の面積は大雨で広くなったり、雨不足で狭くなったりと変わってしまうので、いつも同じ面積ではないからです。

雨や雪が降ると、その水は湖や川に集まる

上の図の通り、流域面積とは簡単にいうと「その水を集める土地の広さ(面積)」のことです。地上に降った雨や雪の一部は、地面にしみこんで地下に流れたり、太陽に照らされて空気中に蒸発したりします。そして残りは、湖や川に流れ込みます。もちろん雨が降った場所によって、その雨が流れ込む湖や川は違いますね。このように、降った雨や雪がどの川に流れ込むかを考える、これが流域面積の考え方です。

群馬県の全域が、利根川の流域

「流域面積ってかなり広いのでは?」と考えてしまう人もいるかと思いますが……、まさにその通りです!

たとえば、流域面積が日本一広い利根川の流域面積は16,840km2です。この広さ、想像できますか? ちなみに東京都の広さは約2,200km2、埼玉県の広さは約3,800km2、群馬県の広さは約6,300km2です。このことから、利根川の流域面積がかなり広いことがよくわかります。そして下の図を見ればわかる通り、なんと群馬県全域が利根川の流域なんですね。

日本の川の流域面積トップ3

日本の川の流域面積トップ3を紹介します。まず、川の長さのトップ3は「1位:信濃川」「2位:利根川」「3位:石狩川」ですね。そして流域面積トップ3の顔ぶれもこの3つの川ですが、順位が少し異なります。

【第1位】利根川(川の長さは第2位)

流域面積1位は、利根川です。利根川の流域面積は16,840km2。群馬県の大水上山(おおみなかみやま)を源流とし、千葉県銚子市と茨城県神栖市(かみすし)の境に河口があります。利根川の流域面積は関東平野の北側大部分を占めるなど、ケタ違いの広さを誇っています。

【第2位】石狩川(川の長さは第3位)

第2位は石狩川です。石狩川の流域面積は14,330km2。水源は北海道上川町の石狩岳で、石狩市の石狩湾に河口があります。北海道西側の広い地域が石狩川の流域です。

【第3位】信濃川(川の長さは第1位)

第3位は信濃川です。信濃川の流域面積は11,900km2。長野県川上村を源流とし、新潟県新潟市に河口を持つ日本一長い川です。ちなみに、信濃川は長野県内では千曲川(ちくまがわ)と呼ばれていますが、地理の世界では信濃川と千曲川を合わせて信濃川と呼んでいます。

流域面積は複合問題として出題される

流域面積に関連する問題は、中学入試でも出題されています。特に「流域面積トップ3」を中心とした出題が多いようです。ふたつの例題を紹介します。

【問題1】川の長さと流域面積の複合問題

ひとつめは、川の長さと流域面積の両方のランキングを押さえている必要がある問題です。雙葉中学校の2018年入試などで出題されています。

■例題1
日本で一番長い川よりも流域面積が広く、日本で一番流域面積が広い川よりも長さが短い川が流れている都道府県名を答えよ。

ランキングを知っていれば、条件から石狩川であることがわかります。よって、答えは「北海道」となりますね。

【問題2】地図情報との複合問題

ふたつめは、流域面積の情報をヒントに、該当する地域を地図上から選ぶ問題です。その川がどこからどこへ流れているかを知らないと解けません。

■例題2
日本で3番目に流域面積が広い河川の下流に広がる平野で、稲作が盛んな地域であるその平野の名前を答えよ。また地図上からその位置を選べ。

この問題では、川の長さではなく、あえて流域面積をヒントとして出しています。日本で3番目に流域面積が広い川は信濃川なので、答えは「越後平野」です。そして、問題で与えられた地図上で越後平野の場所を答えられればOKです。

まとめ

「川の長さはわかるけど、流域面積って何?」という子供の何気ない質問から、流域面積の意味と受験対策についてまとめてみました。流域面積とは「地上に降った雨や雪がその川に流れ込む土地の合計」のこと、そしてとてつもなく広いということをイメージとして覚えておきましょう。「河川」は、地理分野の基本単元です。流域面積についても知識としてしっかり押さえ、受験に役立ててくださいね。

※記事の内容は執筆時点のものです

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