中学受験ノウハウ 基礎知識

そもそも偏差値ってなに? 数値の意味と、中学受験での活用の仕方とは

専門家・プロ
2018年6月15日 中曽根陽子

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模擬試験などを受けると、点数と一緒についてくる「偏差値」。志望校の合格可能性を表す数値としても活用されています。でも、「そもそも偏差値って何?」「数字の見方や、どのように活用すればいいのかわからない」という声もよく聞きます。そこで今回は、偏差値について、解説します。

偏差値は、集団のなかでどのくらいにいるかを示す数値

偏差値とは、ある集団のなかでの位置を示す数値のことです。模擬試験で使われる偏差値は、そのテストを受けた人たちを成績順に並べて、ちょうど真ん中の人を50とし、そこからのへだたりを数値で表したものです。

お子さんがテストを受けて偏差値が50だったら、そのテストの全受験者の中でちょうど順位が真ん中だということ。そして、偏差値が50より大きければ、真ん中よりも順位が上、50より小さければ真ん中よりも順位が下ということになります。

平均点と偏差値の違いは?

順位を知るだけなら、平均点と比べればいいのではと思うかもしれませんが、それだけでは、全体での自分の位置や学力の推移などを判断することはできません。なぜなら、試験問題の難度によって平均点は変わりますし、ほかの受験生たちの得点分布によって、全体での自分の位置は違ってくるからです。しかし、「偏差値」という共通のものさしを使えば、全体での自分の位置や、平均点の異なるテストを比較して、お子さんの成績を客観的に見比べることができます。

偏差値50ってどのくらいの実力?

テストの成績は通常、平均点近くの人数が一番多く、0点や100点に近づくほど人数が少なくなり、左右対称の釣鐘型になることが多いです。このような分布の型を「正規分布」と言います。「正規分布」になるときは、偏差値と順位とが対応します。つまり、偏差値50の人は順位も真ん中あたりになります。

※正規分布表の例:総務省統計局なるほど統計学園高等部 より

受験者数の多い模擬試験では、基本的に「正規分布」になりますが、母数が少ないと分布は偏る可能性があります。偏差値の詳しい解説は、総務省統計局のページ(http://www.stat.go.jp/koukou/howto/process/p4_3_2_2.html)がわかりやすいです。

偏差値の活用法

偏差値を使うことで、教科ごとの得意・不得意もわかります。たとえば、国語の偏差値が45で、算数が60だったら、国語は標準より劣っていて、算数は標準より上の学力があると見ることができます。それによって、今は国語の勉強に時間を割いた方がいいといった対策が立てやすいですね。また、同じ教科での伸びもわかります。夏に受けた国語のテストが偏差値45で、秋に受けたテストの偏差値が60だったら、夏から秋にかけて学力が伸びたということですね。

合格不合格判定はどうやって出す?

ご存知のように、中学受験でも偏差値は広く使われています。首都圏ではサピックス・日能研・四谷大塚・首都圏模試が四大模試と言われていて、ほとんどの受験生がいずれかの模試を受けます。そこでは「80%偏差値」「50%偏差値」と呼ばれる値を出しています。過去にその塾の模試で受験生が取っていた偏差値と、その偏差値の中で8割以上(80%偏差値の場合)、または5割以上(50%偏差値の場合)は○○中学校に合格したという分析結果をもとにした偏差値です。これらによって、「○○中学の8割(または5割)合格偏差値」というものを算出しています。

「同じくらいの偏差値である受験生100人のうち80人(または50人)は追跡調査の結果、合格している」ということを示す数値です。しかし、全国規模で行われる大学入試や母数の多い高校入試と違って、中学入試の偏差値ではおさえておかなくてはならない点があります。

テスト会によって偏差値が違う理由

中学受験の偏差値の特徴は、

1.もともと母集団の学力が高いので、高校受験より偏差値は低めに出る
2.テスト会によって偏差値の出方は違う

ということ。

中学受験の受験率は、受験生の多い首都圏でも14~16%。しかも、受験者の学力の平均レベルが一般の小学生の平均より高いので、母集団は上位に偏っています。全体的に高校入試の偏差値が高く、中学の偏差値は低く出ているのはこのためです。

また、テストを受ける母集団のレベルによっても偏差値は変わります。学校別合格ラインの数値が、テスト会によって違うのもこのためです。お子さんの実力や志望校にあった模試を選択するなどの工夫も必要です。

偏差値は絶対的な数字ではない

さらに、気をつけたいのは、合格ラインの偏差値は4教科を総合しての偏差値だということです。実際は、得点差がつきやすい科目があったり、逆に差がつきにくい入試問題であったりすると、難易度や合否基準は微妙に変わってくることがあります。つまり、偏差値とはあくまで全体の中での自分の位置や合格のしやすさを判断するための指標にすぎず、絶対的な合否基準ではありません。

偏差値の数値や上下だけを気にしすぎず、あくまでも客観的な指標として活用するようにしましょう。

■参考
総務省統計局なるほど統計学園高等部(http://www.stat.go.jp/koukou/howto/process/p4_3_2_2.html)
『後悔しない中学受験 最新版』中曽根陽子著(晶文社)

※記事の内容は執筆時点のものです

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