中学受験ノウハウ 学習環境

子供が楽しく集中できる「中学受験のための勉強部屋」のつくり方

専門家・プロ
2018年6月15日 鈴木恵美子

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最近は子供が小学校に入学しても学習机を買い与えず、さらに子供部屋はあっても、リビングで勉強をさせる家庭が増えているといいます。でも、いざ中学受験となると「個室でじっくり取り組ませた方が良いのかな?」と迷う場合もあるでしょう。受験生が勉強に集中できるのは、どんな環境なのでしょうか。子育てママを応援するプラットフォーム「Mother Quest」代表で、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんにお話をうかがいました。

親の気配を感じて勉強する方が、いい意味での緊張感も生まれます

中学受験生にどんな勉強部屋を与えたらいいのかは、その子の性格によるところもありそうです。早熟で自立心が旺盛な子供であれば、個室で机に向かう方が勉強もはかどる場合があるかもしれません。でも一般的に言えば、小学生はまだ子供です。本人に任せてひとりきりにするとかえって落ち着きをなくしたり、別のことに興味が移るなどしてなかなかやる気が続かないのが普通でしょう。

子供はもちろん、親も近くにいられて安心

最近は、子供部屋ではなく家族で使うテーブルやカウンターなどで勉強させる「リビング学習」という言葉がすっかり定着しました。実際に、多くの家庭で行われているようです。少し前になりますが、ある難関大学に合格した子の多くがリビング学習をしていたというデータが注目を集めたことも理由の一つです。

なぜリビング学習は勉強がはかどると言われるのでしょうか? その理由としては、まだ精神的に幼い小学生にとって、親が近くにいて見守ってくれた方が、安心感とほどよい緊張感を持って勉強に集中できることが多いと言われています。また親にとっても、家事などをしながら子供を見守ることができるので、安心感があります。

勉強の進み具合もさりげなくチェックできる

また中学受験では、親がある程度子供の勉強の進み具合を把握しておくことが必要になります。特にカリキュラムがきっちり決まっている塾に通っていると、毎週のように確認テストがあり、宿題も多いので日々こなすだけでも大変。そんな時、子供がどこかでつまずいていないか、穴がないかをチェックするのは親の役割です。

常に子供に目配りできるリビング学習は、そうしたチェックやフォローもしやすい環境。さらに、子供ひとりに受験勉強を背負わせるのではなく、側にいるだけで「私もあなたと一緒に頑張っているよ」というメッセージを伝えやすいのも、リビング学習ならではでしょう。

子供が勉強に集中するための環境づくりを工夫しましょう

とはいえ、本来リビングは家族が集う生活の場所。子供が勉強している横で、親やきょうだいが大きな音でテレビを観たり遊んだりしていては、やはり気が散ってしまいますよね。リビング学習の利点を活かしながら、受験生が集中して勉強できる環境づくりのポイントをお伝えします。

リビングに専用の「勉強コーナー」をつくる

リビングやダイニングにはもともと生活用品が多く、そこで本を広げて勉強をするとなると、さらにごちゃごちゃになりがちです。また、毎日勉強を始める前にわざわざ自分の部屋から参考書やプリントを取ってくるのも面倒。もしかするとそれだけで、子供のモチベーションがダウンしてしまうかもしれません。

そこでおすすめしたいのが、リビングのコーナーに勉強用の棚を用意して、テキストや参考書、宿題のプリント、図鑑など必要なものを全部まとめて入れておくこと。こうすれば、子供が帰宅してスピーディに勉強が始められますし、テーブルを食事に使う時も片付けがすぐにできます。いつも手の届くところにスタンバイさせておくことで、勉強スイッチのON/OFFもしやすくなるでしょう。

家族で一緒に勉強する時間を持つ

受験生がリビングで勉強している間は、できれば他の家族も、テレビを消して過ごす方法を見つけたいものです。たとえば下のきょうだいには「お兄ちゃん、お姉ちゃんと勉強する時間だよ」とうながして、絵本や学習漫画を読んだり、絵を描いたりする時間にしてはいかがでしょうか。

その時は親も近くで自分の用事や仕事をしたり、読書をしたりするのがよいでしょう。つきっきりで子供の勉強を見るというよりは、同じ場所で気配を感じながら一緒に過ごし、家族それぞれが自分のことに没頭するという感じです。受験生を塾に通わせているのなら、実際にリビングで勉強する時間はさほど長くないはずですから、意外に無理なく実行できると思います。

勉強を楽しむ空間を演出しましょう

受験に向かって頑張る子供をひとりにせず、時に助言やサポートをしながら、勉強が好きになるためのさまざまな工夫ができるのもリビング学習のいいところです。もちろん個室で勉強するのが合っている子もいるので、子供の様子をみて意見を聞きながら、より勉強が楽しくなる環境づくりをしてあげてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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