「台形の体積」って何? 相似の考え方を利用して四角錐台の体積を求めよう
中学受験生を指導していると、「台形の体積の求め方を教えてください」と質問されることがあります。このような質問をされると、指導者は困ってしまいます。というのも、台形は平面図形なので、面積を求めることはできても、体積を求めることはできないからです。
しかし、生徒の話をよくよく聞いてみると、何をしたいのかが分かってくることがあります。今回は、生徒の言う「台形の体積の求め方」について考えます。
中学受験生が体積を求めたがる「台形」の正体は四角錐台
生徒が「台形の体積」と言う場合、その「台形」は次の立体を意味していることがほとんどです。
この立体は、面ABCDと面EFGHが長方形で、辺ABと辺EF、辺BCと辺FGがそれぞれ平行です。これを四角錐台といいます。コンクリートの台や盛土などの形として見ることの多い立体です。中でも、面ABCDと面EFGHが正方形の四角錐台を正四角錐台といいます。
四角錐台の体積を求める公式は存在します。しかし、とても複雑な公式なので、わざわざ覚える必要はありません。算数の授業で習う相似の考え方を利用すれば体積を求められます。
相似の考え方を利用して四角錐台の体積を求めよう
実際に、次の四角錐台の体積を求めてみましょう。
公式を使わずに体積を求める場合、次のように、四角錐台の辺AE、辺BF、辺CG、辺DHを延長して考えます。そうすると、4本の線は一点で交わりますので、その交点をOとします。辺を延長すると、四角錐O-ABCDが完成します。
辺を延長すると、四角錐O-ABCDが完成します。四角錐O-ABCDと四角錐O-EFGHは相似で、相似比はAB:EF=6:4=3:2です。これにより、四角錐O-ABCDの高さは、四角錐台の高さの3倍で9cmだとわかります。したがって、四角錐O-ABCDの体積は、「錐体の体積=底面積×高さ÷3」より、6×3×9÷3=54(cm3)です。
また、相似な立体の体積比は相似比×相似比×相似比(相似比の3乗)なので、四角錐O-ABCDと四角錐O-EFGHの体積比は3×3×3:2×2×2=27:8です。したがって、次の図のように、四角錐O-ABCDの体積から四角錐O-EFGHの体積を引けば、四角錐台の体積を求められます。
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