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日本の税金の歴史は古かった!? 税金のはじまりから、消費税10%までを学ぼう

2019年2月06日 紙井昇

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1989年、平成のはじまりとともに導入された消費税。当初は3%だった税率が段階を経て上がっていき、2019年10月1日には10%へ引き上げられる予定です。お小遣いをやりくりする子供にとっても、消費税の増税は他人ごとではないかもしれません。

しかし、そもそも「税金」という仕組みは、いつからはじまったのでしょう? 税金の歴史から消費税導入・増税までを学んでいきましょう。

「税」はいつからできた? 意外に古い税金の歴史

日本で初めて「税」と呼べるものが導入されたのは、じつは弥生時代といわれています。当初は物や米で納めていた税が、いつから現在の形になったかなど、ここでは税金の歴史を学んでいきましょう。

弥生時代から飛鳥時代まで。歴史に残る税制度

弥生時代の「税」については、『魏志倭人伝』の「女王卑弥呼が支配する邪馬台国では、種もみや絹織物を貢ぎ物として納められていた」という記述によって存在が明らかとなりました。これが日本の税のはじまりといわれています。

飛鳥時代では、大宝律令によって租(穀物を徴収)・庸(都での労働、もしくは布を納める)・調(絹などの特産品を納める)という税制度が誕生します。このときにはじめて、全国統一的な税制度が開始されました 。

安土・桃山時代から明治時代へ

その後、税制度が大きくかわったのは、豊臣秀吉がいる安土・桃山時代。それまでは農村からの自己申告に基づいて年貢を納めていましたが、秀吉は太閤検地で農地の面積、収穫高を実際に調べあげ、収穫の3分の2を納めることを義務付けます。

ただ、米などの農作物は地域によって収穫量が違うこと、年によっては凶作になることがあるため、政府の歳入(国の収入)が安定しないという課題がありました。

その問題点をクリアした税制度が、1873年の明治時代に導入された地租改正です。土地の地価の3%を貨幣で納めさせました。明治時代は、米などの現物を納める形から、貨幣で納める金納の形式に移り変わった時代ともいえます。

大正・昭和を経て、現代へ

大正時代から昭和時代は、戦争のための費用調達のため増税が続きました。そして戦後、日本国憲法が交付され「納税の義務」が国民の三大義務となります。戦後どのような税制をたてるべきかなどの税制改革がおこなわれ、現在の税のしくみができはじめた時代とされています。

私たちに身近な消費税はいつから始まった? 日本の税金のあれこれ

現代の私たちにとって、もっとも身近な税金といえば「消費税」です。つぎは消費税を中心に、現在の税金について学んでいきましょう。

そもそも税金はなぜ必要なのか

日々生活を送るなかで納めていく税金は2種類あり、国に納める「国税」と、都道府県や市区町村に納める「地方税」があります。納めた税金は、市営バスや地下鉄などの公共交通機関の運行、水道の整備、医療費の一部負担など、さまざまな場面で使われています。税金は豊かな生活を送るためには不可欠なものといえるでしょう。

身近な税金「消費税」。導入から税率10%までの流れ

物品やサービスに対して課税される消費税が導入されたのは、1989年4月。竹下登首相のもとで消費税法が施行され、3%の税率で実施されました。

それまで物品やサービスにかかる税金といえば「物品税」で、毛皮製品やゴルフ用品などの「贅沢品」にのみ課税するものでした。

しかし、国民の生活水準向上にともない、それらの品に手が届く人が増えたこともあり、「何をもって贅沢とするか」という判断基準が揺らいでいました。

また、当時から「日本は将来、高齢化社会になる」といわれており、国内で働く人が少なくなって、国の財源である所得税(給料にかかる税金)が減ることも危惧されていました。

そこで、将来の財源不足に備えて、買い物をするすべての人から税金をもらおうと、物品税に代わる税法として導入されたのが消費税です。

消費税は導入後、1997年4月の橋本龍太郎内閣時に、3%から5%。2014年4月には、安倍晋三内閣時に8%となりました。2019年10月には10%への移行が決定しています。

消費税以外の日本の税金

消費税以外にも、税金は私たちの暮らしに密接しています。たとえば「所得税」。会社からもらう給料や、個人で行う商売で発生した売上にかかる税金で、収入が多くなるほど払う税金の金額が大きくなります。

そのほか、自分の住んでいる都道府県・市区町村に納める「住民税」に、「酒税・たばこ税」や「自動車税」など、たくさんの税金があります。

お子さんは直接関係がないと思われるかもしれませんが、「海外で作られたおもちゃは、海を渡ってくるときに税金(関税)がかかるんだよ」など、日常生活に絡めた話題をすると、身近に感じてくれるかもしれません。

日本との違いがたくさん? 世界の税金について知ってみよう

日本以外の世界各国でも導入されている税制度。なかには、思わず笑ってしまうような変わった税金も存在します。ここでは、そのいくつかを紹介します。

ポテトチップス税に月餅税……。おいしいものにはお金がかかる?

国によっては特定の食べ物に課税をおこなう場合があります。国民の肥満解消を理由に、ハンガリーで2011年9月から導入されたポテトチップス税もそのひとつ。課税対象はポテトチップスだけでなく、スナック菓子や炭酸飲料などジャンクフード全般です。

中国で話題となったのは、「月餅税」。9月の中秋節にお月見をしながら月餅を食べるという文化がある中国は、その時期になると多くの企業が社員に月餅を配っています。2011年、中国政府は、この慣習にも課税することを決定しましたが、中国全土で多くの反対にあい、月餅税は同年のうちに廃止されました。

渋滞税に家畜ゲップ税!? まだまだある珍税制

2003年にイギリスのロンドンで導入されたのは「渋滞税」。市内中心部に車を乗り入れる際に税金を徴収する形式です。この税制は、交通量の減少に一役買うなど、一定の成果をみせました。

また、牛や羊がゲップをすると、地球温暖化の要因となるメタンと二酸化炭素を排出することから、ニュージーランドでは「家畜ゲップ税」制案が浮上。「ゲップを防ぐ家畜のエサを研究するための費用」という理由で、牛や羊一頭ごとに課税しようとしましたが、農家からの猛反対にあって実施に至らなかったそうです。

暮らしを支える税金を意識して、毎日を過ごしてみよう

税金に対して抵抗を感じるお子さんには、「わが家に新しい税金制度つくるとしたら、どんなのがよいかな?」などゲーム感覚で一緒に考えてみるのもおすすめです。子供の自由な発想で、思いもよらない名案が浮かぶかもしれません。また、親子での会話もはずむキッカケにもなるでしょう。

そのうえで税金制度がなぜ必要なのかを学び、税金に対してどう向き合っていくか話し合ってみるとよいかもしれませんね。

※記事の内容は執筆時点のものです

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