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アメリカ、フランス、日本! いろんな国旗のルーツを探ってみよう

2019年2月08日 紙井昇

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各国の「顔」ともいえる「国旗」。日本のように赤と白の2色で構成されるシンプルなデザインもあれば、国旗のなかで最多の9色(赤、白、黄、青、緑、茶色、山吹色、水色、グレー)で構成されたエクアドルなどのカラフルなデザインもあり、その豊かなバリエーションが私たちの目を楽しませてくれます。今回は日本をはじめとする各国旗のデザインの由来、そこに込められた思いなどを紹介していきます。

日本の象徴「日の丸」が生まれた理由を知ろう

日本の代名詞である「日の丸」。白地の中央に紅色の日の丸が施された、シンプルで力強いデザインが印象的です。ここでは、日本国旗が生まれた理由、背景を学んでいきましょう。

太陽は日本の神様。そこに至った理由とは

日本神話に登場する天照大神(あまてらすおおかみ)が「太陽神」であることからも伺えるように、古くから日本人は太陽を信仰の対象としてきました。自然崇拝、精霊崇拝(アニミズム)の考えが日本人の古代信仰に含まれていたこと、農耕が盛んであったことも、その背景のひとつです。また、聖徳太子が「日出ずる処の天子」で始まる文書を遣隋使に託したことからも、「日が昇る」という事象を重んじていたことが読み取れ、国家と太陽の深い結びつきを表しています。

日の丸はいつから使われるようになった?

太陽を模した旗を使用するようになったのは、645年の大化の改新以降、天皇による親政が実施されるようになってからといわれています。文武天皇の701年の朝賀の儀において、儀式会場の飾りつけとして日像の旗を掲げたと「続日本紀」に記述されており、これが文献で確認できる最古の日の丸の原型とされています。

日の丸が国旗として定められたのはいつ?

上で触れたように、日本では古くから日の丸が用いられてきました。しかし、国旗であることが法律で明記されないまま使用されていた期間が長くありました。明治3年に商船規則が定められ、船舶の識別旗として日の丸が使用されるようになりましたが、この法律でも日の丸が国旗であるとは明記されていません。その後、平成11年8月13日に国旗及び国歌に関する法律が公布・施行されたことで、公式に日の丸が日本の国旗であると示されました。

別名「星条旗」 アメリカ国旗の由来とは

「星条旗」の別名で知られるアメリカ国旗(正式名称は合衆国旗)。イギリスからの独立当時の植民地数を表す13本横シマと、合衆国であるアメリカの州数を表す50個の星が記されたデザインが特徴です。この国旗が生まれた経緯を見ていきましょう。

独立戦争で生まれた星条旗

イギリス本国とアメリカ東部沿岸のイギリス領の13植民地との間で、1775年に勃発したアメリカ独立戦争。戦争の最中である1776年に、ペンシルバニア州フィラデルフィア在住のベッツィー・ロスという女性が自ら裁縫し、作製したことが起原とされています。初代大統領のジョージ・ワシントンは「星は天を、赤は母国なるイギリスを、赤地を横切る白い条は母国イギリスからの独立を表す」という言葉を残しています。

現在のデザインは27代目。世界で最も改訂された国旗

国旗の左上に記された星の数は、連邦に州が増えるたびに追加されています。そのため、これまでに26回の変更を経て、現在の50個の星が配置された国旗になっています。ハワイが州に昇格した翌年の1960年から使用されているデザインです。

トリコロールでお馴染み。フランス国旗のルーツ

フランス語で3色を意味する「トリコロール」の愛称で親しまれるフランス国旗。「自由・平和・友愛」の標語とともにフランスを象徴する国旗は、どのようにして誕生したのでしょうか。

フランス革命と国旗の関連性とは

世界史上の代表的な市民革命であるフランス革命。この革命により、フランスは前時代的な身分制や領主制を取り払い、資本主義の発展を手にしました。フランス国旗はこの「大革命期」とも呼ばれる1789年7月に、ラファイエット侯爵によって発案されたとされています(天文学者のバイイによる発案という説もあります)。パリ市民軍の標章である赤と青に、ブルボン朝の象徴である白百合の白を加えて誕生したそうです。

「各色が意味を表す」は俗説!? 憲法ではどう定められている?

「青・赤・白」のトリコロールカラーで構成されているフランス国旗。「青は自由、白は平等、赤は友愛を表す」というのが定説として知られていますが、実は明確な根拠がない俗説です。フランス憲法では、第2条2項において国旗は青・白・赤の三色旗であること、同条4項において国の標語を「自由、平等、友愛」と規定しています。しかしながら、各色にどの標語が当てはまる、といった記述は一切なく、よく目にする定説の裏付けはない状況となっています。

世界にはこんなに「そっくりさん」が? 似ている国旗を見てみよう

国が変わればデザインも変わる国旗ですが、なかには「あれ? 似てる!」と感じるものも存在します。ここでは、そっくりな国旗を紹介していきます。

色が同じ?! インドネシアとモナコの国旗

上半分が赤、下半分は白の2色で構成されているインドネシアの国旗。そっくりなのが、モナコ公国の国旗です。使用している色だけでなく、配置も全く同じで、遠目で判断するのが難しいほど。しかし、インドネシアは長方形の縦横比が2:3、モナコ公国は4:5と旗の形状が若干異なり、完全に同じではありません。また、赤、白の配色を逆にしたものがポーランド国旗で、こちらは縦横比が5:8となっています。

日本人からの参考意見も。日の丸に似ている国旗

日本国旗「日の丸」に似ている他国の国旗も存在します。それが、バングラデシュ国旗。下地は白ではなく緑ですが、日本と同じく赤の丸が国旗中央部に配置されています。単なる偶然ではなく、初代大統領のシェイク・ムジブル・ラフマンが国旗を決める際に、日本の旗章学者である吹浦忠正に意見を求め、日本国旗の由来について説明したことが背景にあるとされています。また、初代大統領の娘であるシェイク・ハシナも「父は日の丸を参考にした」というコメントを残しています。

国旗を足掛かりに世界各国への理解を深めよう

日本を中心に国旗が生まれた背景、デザインに込められたメッセージなどを紹介していきました。多様な時代背景、国民性などが絡み合って生まれる国旗は、各国の「顔」とも呼べる唯一無二の存在です。カラフルで見ているだけでも楽しい国旗。この記事をきっかけに、世界各国への理解を深めていきましょう。きっと、地理の学習にも役立つはずですよ。

※記事の内容は執筆時点のものです

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