中学受験ノウハウ 親の関わり方

【中学受験】塾講師から見る「お調子者タイプ」の子供の特徴とは

2019年2月07日 稲石加奈

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「宿題やってきてね」と伝えると、明るく「がんばります!」。「わかった?」と聞けば、元気に「わかりました!」と明るく前向きで歯切れのよい返答をしてくれる子供は、受験勉強がつらくなってもがんばっていける印象を受けます。しかし、言動に対し行動が伴わないケースも決して少なくありません。「だいじょうぶ!」という言葉を信じていたら、全く勉強が進んでいなかったというのはよくあることです。この記事ではお調子者タイプの子供が中学受験勉強をするうえで、親が気をつけなければならない点を紹介します。

お調子者タイプの子供に見られる行動

お調子者タイプの子供は見通しが非常に甘いところがあります。自分の状況を把握できていないため、返事だけは常にポジティブです。勉強の進み具合がいまいちでも、「平気だよ。だいじょうぶ!」と元気よく答える傾向にあります。しかし、その言葉を塾や親が真に受けて油断すると、成績が落ちかねません。

気をつけたい点

お調子者タイプの子供で気をつけなければならない点は以下のとおりです。

根拠のない自信があり、勉強のやり込みが甘い

勉強に対して「根拠のない自信」を持っているのがこのタイプです。「自分ならきっとなんとかなるだろう」と考えているため、実際に行っている勉強量と必要な勉強量との間に大きな差があります。注意をされても深刻に受け止めることが少ないため、なかなか本格的に勉強を始めない傾向があります。

宿題の手を抜く

要領がよいため、宿題はやり終えたように見せて提出してしまう傾向にあります。一番困るのは答えを丸写しするケースです。そこまでいかなくても、表面的に解くだけで内容を理解していない、といったことも目立ちます。

苦手な単元がわかりにくい

苦手な単元を聞いてもごまかしてしまうのが、お調子者タイプの特徴です。正直に苦手な単元を答えると、なかば強制的に勉強をやらされることがわかっているため、親からの問いかけをはぐらかすことがあります。しかし、苦手な単元を放置していては、受験に必要な実力を身につけることができません。

親にできること

「苦手な単元を勉強しよう」とざっくり伝えるよりかは、具体的に勉強する箇所を伝えることで、子供の行動を変えていきましょう。宿題のやり方がいい加減な場合は細かくチェックして、もう一度行うように働きかけるのもひとつの方法です。

苦手な箇所を克服する大切さを丁寧に伝え続ければ、もともと前向きな子供なだけに、自ら積極的に勉強をするようになることも考えられます。表を作成し、学習サイクルを可視化するのも効果的です。終わったあとにマークを書き入れるようにすれば日々の勉強の進歩がわかり、達成感も得やすくなるでしょう。

また、苦手な単元は、本人の自己申告に頼らないことが大切です。テストの結果を通して、どこが苦手かを塾に洗い出してもらいましょう。

問題を解く手順にあいまいな箇所があった場合は、塾から問題を出してもらい、次に似たような問題が出ても解けるだけの実力を養ってもらいます。

塾だけではなく家庭でもいえることですが、子供に苦手な問題をやってもらうときには、ページ数や問題番号を具体的に指定し、解答の期限を設けるのがポイントです。「〇〇の単元を復習しておこうね」といった範囲の広い伝え方は避けるようにしましょう。また、すべての情報は連絡帳を通し、塾と家庭で共有しておきます。

やるべきことを可視化する

お調子者タイプの子供はその場しのぎの行動をとってしまう傾向があります。しかし、早いうちにそうした行動をやめなければ、受験までに勉強が追いつきません。進めるべき課題を明確にし、本当にできているかどうかをチェックするところから始めましょう。

あまり口うるさくし過ぎると逆に勉強をきらいになってしまうこともあるので、叱るのではなく、やるべきことを丁寧に伝えてあげるようにします。子供のモチベーションが追いつかない場合は、志望校に受かったら何がしたいのかを話し合い、ビジョンを明確にしておくのもおすすめです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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