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【理科】花芽形成とは? 長日植物・短日植物・中性植物の代表的な植物も覚えよう

2024年2月14日 ゆずぱ

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花芽形成、長日植物、短日植物 ――。

これらは理科の「植物分野」の用語ですが、植物分野は大手塾のテキストでも半ページほどしか扱われていない、ちょっとマイナーな分野です。

しかしマイナーな分野こそ、ほかの受験生との得点に差が生まれるところでもあります。

 

今回は、わたしの子供たちも入試直前まで見落としていた「花芽(かが)形成」を取り上げつつ、その基本となる「3つの知識」を紹介します。

 

中学受験で押さえておきたい「15種類の植物」も覚えやすく紹介しますので、

次から次へと植物が登場して覚えられない……
全体像が見えずにモヤモヤしている……

という子は、ぜひ参考にしてみてください。

知識[1]植物が花を咲かせる条件
知識[2]長日植物・短日植物・中性植物の代表例
知識[3]「花芽形成の条件」を調べる対照実験

知識[1]植物が花を咲かせる条件

 

花芽形成」という、聞き慣れない言葉。

ザックリいうと、“花が咲くこと”を指す言葉です。ちょっと読みづらいですが「かがけいせい」と読みます。

花芽形成の重要ポイント

  • 植物によって、花の咲く時期はかなり異なる
  • 植物が花を咲かせる条件は大きく分けてふたつある

 

春に咲く花を咲かせる植物もあれば、秋頃になって花を咲かせる植物もあります。

そして植物は、人間のようにカレンダーや時計を見て行動しているわけではありません。

 

では、植物は何を基準にして花を咲かせているのでしょうか?

 

大きく分けると、その“発動条件”は次のふたつです。

  1. 日の長さ
  2. 日の長さ以外(温度など)

 

1、日の長さ

最もメジャーな条件は「日の長さ」です。

「日の長さ」とは、1日のうちで太陽が出ている時間の長さのことですね。

日が長い=太陽が出ている時間が長い(夏など)
日が短い=太陽が出ている時間が短い(冬など)

 

植物には、日が長くなってきたら花を咲かせるものや、その反対に、日が短くなってきたら花を咲かせるものがあります。

長日植物……日が長くなってきたら花を咲かせる植物
短日植物……日が短くなってきたら花を咲かせる植物

 

まずは、長日植物・短日植物という名前をしっかり押さえましょう!

それぞれどんな植物が当てはまるかは、この先の「中学受験で押さえておきたい12分類」でまとめています。

 

2、日の長さ以外(温度など)

日の長さとは違う条件で花を咲かせている植物もあります。

条件として特に多いのが「気温」です。

 

たとえば暖かくなってきたら花が咲く植物がありますが、このような植物は「中性植物」と呼ばれます。

中性植物……日の長さに関係なく花を咲かせる植物

 

「中性」という言葉から勘違いしがちですが、中性植物は日の長さに“関係なく”花を咲かせる植物です。

日の長さが“ちょうど真ん中のとき”に花を咲かせる植物ではないので注意しましょう。

 

知識[2]長日植物・短日植物・中性植物の代表例

長日植物・短日植物・中性植物について、それぞれの具体的な植物をみていきましょう!

ここでのポイントは、5種類ずつ押さえていくことです。

 

長日植物

長日植物は、まずは次の5つを覚えましょう。

長日植物の代表例

  • アブラナ
  • ダイコン
  • ホウレンソウ
  • アヤメ
  • ムギ

 

この5種類を完全に頭の中に入れて、知識が揺るがない状態にしたあとに応用的な知識を覚えていくのがおすすめです。

<長日植物の応用知識>

■アブラナとダイコンは「アブラナ科」の植物
カブやキャベツなど、ほかの「アブラナ科」の植物も長日植物です

■アヤメは「アヤメ科」の植物
カキツバタ・ハナショウブも「アヤメ科」の長日植物です

 

短日植物

短日植物は、次の5つを押さえましょう。

短日植物の代表例

  • コスモス
  • キク
  • アサガオ
  • ダイズ
  • イネ

 

これらが頭の中に完璧に入ったら、追加の知識を覚えていきましょう。

<短日植物の応用知識>

■ヒマワリは短日植物ではない
「キク科」のコスモスとキクは短日植物ですが、同じく「キク科」のヒマワリは一般には中性植物に分類されます

■エンドウは短日植物ではない
「マメ科」の代表的な植物であるダイズは短日植物ですが、同じく「マメ科」のエンドウは中性植物に分類されます

■「イネ科」の発芽形成の条件はバラバラ
「イネ科」の“代表選手”といえるイネ、そして同じく「イネ科」のススキやムギ、トウモロコシの花芽形成の条件は見事にバラバラです

イネ・ススキ……短日植物
ムギ……長日植物
トウモロコシ……中性植物

 

中性植物

中性植物は、次の5つを真っ先に覚えましょう。

中性植物の代表例

  • ヒマワリ
  • キュウリ
  • トマト
  • エンドウ
  • トウモロコシ

 

これらの植物は日の長さに関係なく花が咲き、花が咲く時期もけっこうバラバラです。

とはいえ「なんとなく夏に花が咲く植物が多そうだなぁ」とイメージしておくと良いでしょう。

 

中学受験で押さえておきたい12分類

長日植物、短日植物、中性植物、それぞれ5種類、計15種類の植物は押さえられましたか?

まずはこの15種類を、何があっても忘れないように頭に入れましょう。

 

なお、応用知識として紹介した「何科の植物か」については、以下の植物マップで詳しくまとめています。

中学受験で押さえておきたい12分類と共に、それぞれの科の代表的な植物も3つずつリストアップしているので参考にしてみてください。

※代表的な「科名」と「植物」をピックアップしています

 

知識[3]「花芽形成の条件」を調べる対照実験

近年の中学受験は、知識をシンプルに問う問題から、思考力や論理力を試す問題へとシフトしています。

その傾向もあり、対照実験の問題も増えているように感じます。

対照実験
仮説を立て、その仮説が正しいかどうかを証明するために実施される実験。ある条件以外は、全て同じ条件のもとで実験をおこなうことが特徴。

補足:中学受験:対照実験とは?論理的に考えさせる問題が本当によく出る!

 

中学入試では、見たこともないような対照実験が出題され、その実験から導き出せることを書かせる問題も増えています。そのため、普段から論理的に考える訓練をすることも大切です。

 

実際の入試では、「花芽形成の条件」を調べる対照実験が出題されたこともあります。

※「プチ夜」=少しの夜の時間
※「プチ昼」=少しの昼の時間

 

ここでは実験A~Cに分けて、それぞれの実験からわかることを考えていきましょう。

実験A:昼と夜の長さを変えてみる
実験B:昼の途中に“プチ夜”を入れてみる
実験C:夜の途中に“プチ昼”を入れてみる

 

実験A:昼と夜の長さを変えてみる

まずは、昼と夜の長さの比率を変えた5つの部屋を用意して、同じ植物を置いて花が咲くかどうかを実験します。

対照実験なので、温度や湿度などの条件はどの部屋もまったく同じです。

 

この実験でわかるのは、「昼と夜の時間の長さ」が花芽形成に影響を与えるのか、ということです。

 

では、この実験Aから考えられる花芽形成に必要な条件は、次のうちどれだと思いますか?

(1)一定時間以上の連続した昼
(2)一定時間以上の連続した夜
(3)一定時間以下の連続した昼
(4)一定時間以下の連続した夜
(5)昼と夜は花芽形成には影響しない

 

実験Aから考えられる可能性は(2)(3)ですね。

夜の時間に着目してみる

実験室①から⑤まで、夜の時間をだんだん短くしていったところ、途中から花が咲かなくなった

一定時間以上の夜のときに花が咲くと考えられる =(2)

昼の時間に着目してみる

実験室①から⑤まで、昼の時間をだんだん長くしていったところ、途中から花が咲かなくなった

一定時間以下の昼のときに花が咲くと考えられる =(3)

 

なお、この実験だけではどちらが条件かを特定できません。

そのため実験Aの段階では、「可能性としては(2)と(3)の両方あり得る」が答えになります。

 

実験B:昼の途中に“プチ夜”を入れてみる

実験Aでは条件が絞れなかったので、追加の実験をしてみます。

昼の途中に、ほんの少しだけ夜の時間(プチ夜)を入れてみましょう

 

昼が連続していても、連続していなくても、実験Aと結果が同じになりましたね。

この実験からわかることは、「昼が連続していること」は花芽形成の条件ではなさそうだ、ということです。

 

実験C:夜の途中に“プチ昼”を入れてみる

次に、夜のほうに少しだけ昼の時間(プチ昼)を入れて、同じ実験をしてみます

 

今度は、実験の結果が変わりましたね。

実験室①と②を見ると、夜のあいだにちょっとだけ昼を入れたら、花が咲かなくなってしまいました。

 

つまりこの実験からわかることは、「連続した夜の長さ」が花芽形成の条件として影響していそうだ、ということです。

 

まとめ

中学受験の理科の単元のなかでも、ちょっとマイナーな「花芽形成」と、長日植物・短日植物・中性植物などについて解説しました。

発芽形成の3つの重要知識

[1]植物が花を咲かせる条件
[2]長日植物・短日植物・中性植物の代表例
[3]「花芽形成の条件」を調べる対照実験

 

次から次へと植物が登場し、全体像も見えずモヤモヤする分野ではありますが、まずは覚える数を固定することでスッキリと整理できます。

入試で差がつく可能性もあるので、マイナーな分野もしっかり押さえつつ、受験力を高めていきましょう!

※記事の内容は執筆時点のものです

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