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高校の授業料を軽減する制度 ―― FPに聞く中受と教育費のキホン

専門家・プロ
2019年5月08日 佐藤あみ

公立・私立問わず高校の授業料を軽減する制度があることを知っていますか? この制度は、私立中高一貫校の人気が高まっている理由のひとつでもあるようです。こうした制度の活用で高校3年間の授業料負担か減るのは、家計にとってもうれしいもの。今回は、国の「高等学校等就学支援金」と、都道府県などの独自の助成金について、教育資金設計等のコンサルティングを行うファイナンシャルプランナー、竹下さくらさんに伺いました。

「高等学校等就学支援金」とは

「高等学校等就学支援金」制度は、国が生徒に代わって授業料の一部に充てる費用を負担する仕組みで、2010年4月に初めて導入されたもの。当初は公立高校の授業料相当額でしたが、2014年4月より公立・私立ともに各世帯の所得に応じて、就学支援金が支給されることになりました。

「支給額は、支給対象の場合、年額118,800~297,000円です。世帯年収が増えるにつれて補助は減り、年収約910万円以上の世帯には支給されないシステムになっています」(竹下さん)

申請方法は、入学時は4月に、2年次以降などの支給継続の届け出手続きは4~7月ごろに、高校から書類が配布されます。期日までに、申請書および課税証明書などの必要書類を高校に提出し、これが認定されれば支給が決定します。なお、この就学支援金は、生徒本人ではなく国から学校設置者へ支払われ、授業料と相殺されるのが基本的な流れです。

「高校によっては、一度は各家庭で授業料を納めたあとに、就学支援金相当額を返金するところもあるようです。就学支援金に頼りすぎず、家計から納付できる余裕を持っておきたいですね」(竹下さん)

都道府県などの独自の助成について

授業料と就学支援金に差額が生じた場合、それは自己負担になります。当然私立高校の授業料は、就学支援金だけではまかなえないため、差額分を家計から捻出することになります。ところが、竹下さんによれば「都道府県などでも、独自の助成制度が設けられているところもある」そうです。

「たとえば東京都では、2017年から私立高校の授業料が無償化されました。目安の世帯年収だけでいえば約760万円以下であれば、国の就学支援金と東京都の助成金の両方の456,000円(年額)を受給できます」(竹下さん)

※年収の目安は、給与収入のみの4人世帯(夫婦2人と子ども2人)をモデルとした場合。年収は目安であり、審査は住民税課税額(年額)等で行われる
※就学支援金と東京都の助成金の支給総額(最大軽減額)は、456,000円の範囲内で保護者が負担する在学校の授業料が上限となる
公益財団法人東京都私学財団「【全日制・定時制向け】保護者負担軽減リーフレット」(2019年度)より作成

「一方埼玉県は、目安の世帯年収だけでいうと約720万円以下で、国の就学支援金と埼玉県の補助の合計378,000円(年額)の助成を受けることができます。このように、都道府県によって目安の世帯年収や助成額が異なります。また、定める要件もそれぞれです。たとえば、東京都は都外の高校でも支給対象になるものの、埼玉県は県内の高校のみです。在住の都道府県の要件は、受験前にチェックしておきましょう」(竹下さん)

国の就学支援金と各都道府県の助成金などの制度を活用することで、私立の中高一貫校にも通いやすい環境が整っていることがわかりました。ただし、竹下さんによれば「これらの制度を頼りにした中学受験はおすすめできない」といいます。あくまで家計から毎年100万円前後(竹下さんによる私立中高の学費目安)の捻出が可能かを検討してから、中学受験にチャレンジしましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

竹下さくら
竹下さくら 専門家・プロ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®。損害保険会社・生命保険会社勤務を経て、1998年にファイナンシャルプランナーとして独立、現在に至る。個人向けのコンサルティング業務を主軸に、セミナーでの講演、新聞や雑誌等への執筆活動など幅広く活動中。二児の母。主な教育資金関連の著書に、『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)、『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)、『親と子の夢をかなえる! “私立"を目指す家庭の教育資金の育てかた』(近代セールス社、共著)、『書けばわかる!わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』(翔泳社)がある。

この記事の著者

フリーエディター・ライター。広告制作会社でディレクターとして勤務の後、結婚を機にフリーランスに。現在は2歳の息子の子育てをしながら、今後わが子にも訪れるであろう中学受験について勉強中。