
【サイコロの展開図】中学受験生が押さえておきたい3つの基礎知識
立体図形が苦手な子は多いかと思いますが、なかでも「展開図」がからむとさらにわからなくなってしまう子は少なくないでしょう。そこで展開図を苦手としている場合には、まずは展開図の基本ともいえる「立方体」をマスターすることがおすすめです。
この記事では、サイコロの展開図をベースに、展開図の問題を攻略するために押さえておきたい3つの基礎知識をお伝えします。後半では、基礎知識を使って解ける例題も紹介するので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
Contents
3つの基礎知識
まずは、サイコロの展開図をマスターするために必要な「3つの基礎知識」から見ていきましょう。お伝えする知識をしっかり身につけることで、サイコロの展開図の“本質”を理解できるようになります。
サイコロの展開図「3つの基礎知識」
- サイコロは「対(つい)」で整理する
- 展開図には4つのパターンがある
- 展開図では、反対の面は「隣の隣」になる
基礎知識【1】サイコロは「対(つい)」で整理する
そもそもサイコロは、立方体です。そして立方体は6つの面を持った立体のことですが、このとき「2つの向かい合った面が3対(つい)ある立体」と考えておくと、展開図に関してもスッキリと理解できます。
なお3つの対を区別する場合には、日常生活でも馴染みのある次の言葉に置き換えてみるのがおすすめです。
① 前と後
② 上と下
③ 右と左
この3つの対がどれかひとつでも異なっていると、面のパターンが違うサイコロになります。この3つの対は“超重要”なので、サイコロの展開図を見たときは、まずはしっかりと意識するようにしましょう。
そしてもうひとつ重要なことは、「向かい合う面の目の合計は7」ということです。この知識は中学受験では覚えなくても大丈夫ですが、サイコロの展開図の問題では、ほぼ確実に問題文に記されています。ちなみに上の図では「前」が3となっているので、「後」の面は4になっていることがわかりますね。
基礎知識【2】展開図には4つのパターンがある
では、サイコロを展開していきます。ちなみに「展開図」と聞くと無数のパターンが存在すると思うかもしれませんが、実はたった4つのパターンに分類できてしまいます。
サイコロの展開図「4つのパターン」
① 1つ/4つ/1つ
② 1つ/3つ/2つ
③ 2つ/2つ/2つ
④ 3つ/3つ
展開図のポイント
これから紹介する4つのパターンとも、上段、中段、下段がそれぞれ「1辺」でつながっていることも確認してみましょう。仮に2辺でつながっていた場合、それは立方体としては組み立てられない展開図です。そのため展開図を確認するときは、まずは上段から下段にかけて1辺だけでつながっているかも意識してみてくださいね
パターン【1】1つ/4つ/1つ
まずひとつ目は、展開図を横に切ってみたときに、上段に1つ、中段に4つ、下段に1つの正方形が合わさっているパタ―ンです。この展開図はメジャーなため、頭のなかでも組み立てやすい形といえるでしょう。
パターン【2】1つ/3つ/2つ
ふたつ目は、上段に1つ、中段に3つ、下段に2つの正方形が合わさっているパターンです。パターン1よりも、少しだけ複雑に感じるかもしれません。
パターン【3】2つ/2つ/2つ
3つ目は、上段に2つ、中段に2つ、下段に2つの正方形が合わさっているパターンです。この形は、頭のなかだけで組み立てるのはちょっと難しそうです。
パターン【4】3つ/3つ
最後は、これまでと違って「2段」の展開図です。上の図をみると、上段3つ、下段3つとなっていますね。この展開図も、頭のなかで組み立てるのは苦労するかもしれません。
基礎知識【3】展開図では、対になる面は「隣の隣」になる
向かい合った3つの面でサイコロを整理すること、そして展開図のパターンを見てきました。そして、展開図でも「3つの対」が大切なカギをにぎります。具体的には、まずは展開図では対になる面が「隣の隣」にくることを押さえましょう。また、2つの対がわかると残りが決まる、という知識も合わせて覚えておきたいですね。
まず押さえておきたいのが、立方体と展開図では「対になる面」に違いが出てくるということです。展開図の場合には、対になる面が「隣の隣の面」になります。
対になる面
立方体:反対側の面
展開図:隣の隣の面
もうひとつのポイントは、展開図上では、2つの対が決まるともうひとつの対が自動的に決まるということです。たとえば下の図の展開図をみると、「上下」と「前後」がすでに決まっています。このとき、①の部分には何が入るでしょうか? 頭のなかで、上になる面と前になる面を想像してみると―― ①の部分は「右」になることがわかりますね。
例題でマスターしよう
立方体の展開図について、基礎知識は押さえられましたか? では次は、具体的な問題を使ってマスターしていきましょう。
例題[1]目の数の合計を求める
例題[2]ひとつだけ違うサイコロを見つける
例題[1]目の数の合計を求める
まずは、サイコロが関係する問題のなかでも特に頻出の問題です。サイコロが縦や横に並べてあるなかで、表面に見えている目の数の合計や、見えないところの目の数の合計を答えさせる問題ですね。
縦に並んだサイコロ
では、縦に並んだサイコロから解いていきましょう。
隠れているのは、次の面です。
・上段のサイコロの下面
・中段と下段のサイコロの上下面
まず上段のサイコロの下面は、「向かい合う面の目の合計が7になる」という知識をもとに考えると、上面が4なので「3」です。
中段と下段の上下面については、それぞれの上下面の合計も「7」であることがわかります。
つまり、隠れている面の合計は「17(3+7+7)」ということです。
横に並んだサイコロ
次は、横に並んだサイコロの「見えない部分」の合計を解いていきましょう。
今度の問題は、ちょっと工夫が必要です。まず、隠れている面は次の4つです。
- 床に面している4つの下面
- 真ん中ふたつのサイコロの左右面
- 右端のサイコロの左面
- 左端のサイコロの右面
床に面している4つの下面は、上面が全て見えているのでそれぞれの数が、左から「4・6・3・1」とわかります。
真ん中ふたつのサイコロの左右面は、向かい合っている面なので、それぞれの合計は「7」です。
そして右端のサイコロの左面は、右面に4が見えているので「3」であることがわかります。
さて、左端のサイコロの右面はいくつでしょうか? これは「サイコロの両面の合計が7になる」という知識が直接は使えないので、問題文に示されている展開図をもとに解いていく必要がありそうです。
まず問題からわかっていることは、立方体の上面が3、前面が1ということ。そこで、まずは展開図上で対を整理してみます。先ほど見てきたように、展開図上で対を整理するためには次のふたつを意識することが大切でしたよね。
展開図で意識したいこと
- 対になる面は隣の隣
- 2つの対がわかると残りが決まる
この知識を踏まえ、しっかりと落ち着いて埋めていくと、「右」の面は5であることがわかります。
これで、隠れている面の数字が全てわかりました。
■床に面している4つの下面:14(=4+6+3+1)
■真ん中2つのサイコロの左右面:14(=7×2)
■右端のサイコロの左面:3
■左端のサイコロの右面:5
よって、横に並んだサイコロの問題の答えは「36」です。
例題[2]ひとつだけ違うサイコロを見つける
次は、たくさんある展開図のなかから、ひとつだけ違うサイコロになる展開図を選ばせる問題です。
まずはこの問題も、先ほどの問題と同じく落ち着いて「3つの対」を展開図上で整理すれば大丈夫です。
とりあえず【ア】の図をベースに、展開図上で対を整理していきましょう。
【ア】の展開図を考えてみると、「上=1/前=2/下=6」といった形で対が整理できます。この要領で、ほか【イ】~【オ】の展開図も整理していきましょう。
すると【イ】の展開図だけ、微妙に違うことに気づきます。「右」と「左」の数字がほかの展開図と逆になっていることがわかりますね。ひとつの対が違うだけで別のサイコロになってしまうので、この問題の答えは「イ」です。
繰り返しにはなりますが、サイコロを扱う問題を解くときに大切なことは、立方体を3つの面の対として捉えること、そして展開図上でこの3つの対を整理できるようにしておくことです。中学受験で出題されるサイコロの基本的な問題は、これらをしっかりと押さえておくことで攻略できます。
まとめ
苦手意識を持ってしまう子が多い、立体図形。なかでも、展開図がからむと混乱してしまう子は少なくありません。しかし、まずは展開図の基本ともいえる立方体、特にサイコロの展開図を押さえることで、立体図形の基礎を習得できます。今回紹介した「3つの基礎知識」を理解して、解答力アップにつなげていきましょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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