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中学受験塾にかかる費用と出願費用 ―― FPに聞く中受と教育費のキホン

専門家・プロ
2019年4月10日 佐藤あみ

都内で私立中学に通う生徒の割合は4人に1人※1。中学受験を考える家庭が多い昨今ですが、対策のための塾費用や出願費用はどれくらいなのでしょうか? 教育資金設計などのコンサルティングを行うファイナンシャルプランナー、竹下さくらさんに伺いました。

中学受験塾にかかる費用

私立中学を目指すなら、受験に備えて塾通いを考える必要があります。中学受験の入試問題は、つるかめ算や時計算など小学校では習わない知識から出題されることが多く、学校の授業だけでは足りないためです。

特別講習を含めると、塾費用は3年間で200万円超

塾に通う場合、一般的に4年生から6年生まで3年間通います。竹下さんによれば、大手受験塾の場合、長期休み期間の特別講習費も含めるとその費用は3年間で200万円を超えるといいます。

「入塾した年の月謝は3万円程度で、特別講習費などを含めると年間40~50万円です。ところが、塾の費用は年々上がっていきます。5年生になると、授業は週3日、特別講習などを含めた費用は年間60~70万円になります。6年生の後半になると授業は週4日にまで増え、特別講習も多いため、費用は年間で100万円を超えます」(竹下さん)

大手受験塾にかかる費用の目安

学年 通塾日 費用
小学4年生 週2日 年間 約40~50万円
小学5年生 週3日 年間 約60~70万円
小学6年生 週4日 年間 約100万円超

特別講習を受けるかはあくまで任意ですが、竹下さんによれば「受けない」という選択肢はほぼないそうです。

「長期休み前に実施される塾の保護者会では特別講習の重要性が説明されます。長期休みは学力を伸ばすチャンスですし、必須と考える親御さんは多いです」(竹下さん)

塾費用以外にかかる費用

こうした塾の授業料以外にも出費はあります。まず挙げられるのが交通費。通いたい塾が自宅近くにないことで、バスや電車を利用して通塾させている家庭も少なくないそうです。また、塾に通う日の夕食代も経費のひとつとして考える必要があるといいます。というのも、塾の授業終了時刻は21時を過ぎることもしばしば。家に帰ってから夕食をとるのでは、遅くなり過ぎてしまうのです。

「夕食代は外食2人分の費用を想定しておいたほうがよいでしょう。塾によっては教室内でお弁当を食べることができないところもあるので、子どもを迎えに行った帰りに、親子で外食をするというパターンをよく聞きます。特に共働き家庭の場合、お弁当を作る時間がとれず、外食のほうが好都合だと考える方が多いのでしょう」(竹下さん)

個別指導塾・家庭教師の併用

当然ですが、中学受験の実績が豊富な大手受験塾に入りさえすれば安心、というわけではありません。

「大手受験塾のなかには、授業のスピードが早く、大量の宿題を課すところがあります。子どもの力でなんとかこなせればよいのですが、それができずに伸び悩んでしまう子もいるのです。中学受験の学習は学年が進むにつれて難度があがり、親が教えるのも困難になっていきます。

子どもの学力が伸びない。親も教えられないとなると、視野に入ってくるのが転塾です。うまくいけば転塾で子どもの学力が伸びる可能性がありますが、一方でカリキュラムの違いに慣れないなど、モチベーションを保てなくなるリスクもあります。そのため、実績とノウハウがある大手受験塾を辞めずに、個別指導塾や家庭教師を併用して、大手受験塾に通い続けるというスタイルをとる家庭もあるのです」(竹下さん)

竹下さんによれば、それぞれの月謝は、個別指導塾であれば3~4万円、家庭教師であれば4~5万円とのこと。個別指導塾や家庭教師を併用する可能性も想定して、中学受験の対策費用を考えておくとより安心です。

出願費用(受験料・検定料)の目安

中学受験をするなら必ずかかる出願費用(受験料・検定料)についても触れておきましょう。都内の私立中学校の場合、1回の出願費用の平均は23,088円(平成31年度)※2。ただ、3万円というところもあるなど、学校によってその金額には差があります。

「出願数は家庭や地域によってまちまちです。東京・神奈川の中学入試は2月ですが、1月に実施される埼玉・千葉の中学入試に挑む家庭もあります。また午前・午後入試など、入試にチャレンジできる回数も増えている状況です。出願校が7~8校という家庭もあります。出願費用としては『出願校×2.5万円』を目安に考えておくとよいでしょう」(竹下さん)

中学受験を決意したら、特別講習を含めた3年間の塾の授業料のほか、塾に通う交通費やそれに伴う夕食代、個別指導塾や家庭教師を併用するための費用、複数の学校への出願費用を想定しておく必要があることがわかりました。特に、個別指導塾や家庭教師の併用は思わぬ出費になりがちなので、万が一の費用として余裕を持っておきましょう。


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※記事の内容は執筆時点のものです

竹下さくら
竹下さくら 専門家・プロ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®。損害保険会社・生命保険会社勤務を経て、1998年にファイナンシャルプランナーとして独立、現在に至る。個人向けのコンサルティング業務を主軸に、セミナーでの講演、新聞や雑誌等への執筆活動など幅広く活動中。二児の母。主な教育資金関連の著書に、『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)、『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)、『親と子の夢をかなえる! “私立"を目指す家庭の教育資金の育てかた』(近代セールス社、共著)、『書けばわかる!わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』(翔泳社)がある。

この記事の著者

フリーエディター・ライター。広告制作会社でディレクターとして勤務の後、結婚を機にフリーランスに。現在は2歳の息子の子育てをしながら、今後わが子にも訪れるであろう中学受験について勉強中。

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