マネー

私立中高一貫校の学費と大学進学の費用 ―― FPに聞く中受と教育費のキホン

専門家・プロ
2019年4月16日 佐藤あみ

前回記事では、中学受験を選択した場合の塾費用と出願費用について考えてきました。今回は、私立中高の学費と、大学進学費用について、教育資金設計などのコンサルティングを行うファイナンシャルプランナー、竹下さくらさんに伺います。

私立中高の学費は6年間で約700万円

晴れて中学受験に成功するとまず必要になるのが、入学金です。平成31年度の都内私立中学校の入学金の平均額は、256,979円。これは合格発表後、早いところでは数日以内に速やかに払う必要があるため、事前の準備が必須です。

都内私立中学校における初年度納付金

(円) 平成31年度
授業料 473,467
入学金 256,979
施設費 40,436
その他 188,888
初年度納付金 959,770

その後は毎年、学習費がかかるのですが、「私立の中高一貫校では、毎年100万円前後を目安として考えておきたいですね」と竹下さん。私立中学・高校の6年間の平均的な学習費を見ると、中学1年生では150万ほどかかるものの、それ以降は85万円から120万円台で推移。6年間の総額では約700万円となります。

私立中高6年間の学習費総額

私立中学校 1年生 1,572,110
2年生 1,156,873
3年生 1,250,538
3年間の合計 3,979,521
私立高校 1年生 1,275,991
2年生 976,188
3年生 857,626
3年間の合計 3,109,805
6年間の総計 7,089,326

※文部科学省「平成28年度子供の学習費調査
※学習費には「学校教育費」、「学校給食費」、「学校外活動費」が含まれる

上記の学習費には「学校外活動費」も含まれますが、竹下さんによれば、「学校外活動の頻度には差があり、活発な学校ではさらに費用がかさむ」とのこと。たとえば、毎年スキー合宿が行われる学校なら、スキーウエアを購入するなど、学校外活動に付帯するものを個人負担で用意する必要がでてきます。

「そのほかにも、希望者に対して学校の授業カリキュラムに沿った内容の季節講習を設けている学校もあります。学校内での講習なので予備校に通うよりも手ごろですが、金額は1科目あたり3,000円程度だと聞きます」(竹下さん)

また、私立校では任意であるものの、寄付金の納付がある学校がほとんどです。その額は学校によって幅があり、一口1,000円というところもあれば、30万円というところも。できることなら、志望する前に調べておけるとベターです。

私立中高でも、授業料以外の大学受験対策費は必要

私立の中高一貫校に通った場合、大学受験対策費はどの程度かかるのでしょうか? 竹下さんによれば、「手厚いサポートのある学校なら、学校が実施する授業外の講習(授業料とは別料金)のみでOKと考える人もいる」といいます。しかし、大学受験対策の専門性と安心をより求める場合は、さまざまな情報やノウハウを持つ予備校にも通うことになります。

「大学受験の予備校代は年間で100万円ほど。入塾時期としては、高校2年生の冬期講習もしくは高校3年生の春期講習のタイミングが一般的です。中高一貫校の多くは、6年間の学習内容を5年で終えるカリキュラム設定になっており、学校の授業だけでかなりの学習量になるため、5年間は予備校に通う余裕がないんです。そのうえ部活動が活発な学校も多く、高校2年生までは部活動に集中したいと考えると、結果的にこのタイミングでの入塾になるのではないでしょうか」(竹下さん)

また、大学受験対策には、予備校以外にも費用はかかります。まずは参考書。大学受験対策の基本である大学入試過去問題集(赤本)は、1冊2,000円前後。それを志望校分、複数冊購入すると、出費も増えてきます。さらに、意外に費用を要するのが模擬試験です。

「模試は、予備校によって難易度や特徴が違うため、学校から各種の受験を指導されるそうです。模試代は1回あたり3,000~5,000円で、高校2年生の冬に行われるセンター同日模試を皮切りに、定期的に受験することになります。一回の金額はそれほど大きなものではありませんが、かなりの回数を受けることになるため、それが積もって最終的には意外に大きな費用になることを頭に入れておきましょう」(竹下さん)。

浪人生ならではの出費に注意

念のため、万が一浪人した場合の費用についても考えておきましょう。「高校3年生で予備校に通っていた場合は特に、浪人期間中も予備校に通う傾向が強い」と竹下さんは語ります。

「その費用は、季節講習だけでも10~30万円程度。通年で通う場合はコースにもよりますが、私立文系で100~120万円、医学部系であれば150~300万円程度必要です」(竹下さん)。

ここまでの費用は現役生と変わりませんが、浪人生ゆえに費用がかさむポイントがあるといいます。

「当然ながら、浪人生には『次は失敗したくない』という気持ちがあります。そのため、現役生よりも模試の受験回数や出願校が多い傾向が見られます。赤本は最新のものを購入するのが一般的で、現役時代よりも受験校が多い分、必要な冊数も増えます。受験料も、国公立大学の前期・後期のほか私大も併願する場合、50万円程度は見込んでおきたいですね。さらにすべり止めの大学には入学金を納付することがあるので、1校分として20~30万円は用意が必要。合格後も入学金や初年度の授業料がかかるため、浪人費用は200~300万円が一般的な目安になります」(竹下さん)

竹下さんいわく、国公立志望の場合は地方の学校を受験することも少なくないそうです。地方大学を受験すると交通費も多額になるので、その分の予算も立てておきましょう。

私立の中高一貫校に通えば予備校に通わずして現役合格できることも十分あります。ただ、予備校に通う場合や、現役合格が叶わず浪人することも、可能性として考えておく必要がありそうです。


■「FPに聞く中受と教育費のキホン」バックナンバー

※記事の内容は執筆時点のものです

竹下さくら
竹下さくら 専門家・プロ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®。損害保険会社・生命保険会社勤務を経て、1998年にファイナンシャルプランナーとして独立、現在に至る。個人向けのコンサルティング業務を主軸に、セミナーでの講演、新聞や雑誌等への執筆活動など幅広く活動中。二児の母。主な教育資金関連の著書に、『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)、『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)、『親と子の夢をかなえる! “私立"を目指す家庭の教育資金の育てかた』(近代セールス社、共著)、『書けばわかる!わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』(翔泳社)がある。

この記事の著者

フリーエディター・ライター。広告制作会社でディレクターとして勤務の後、結婚を機にフリーランスに。現在は2歳の息子の子育てをしながら、今後わが子にも訪れるであろう中学受験について勉強中。

合わせて読みたい