中学受験ノウハウ 中学受験をするかどうか

“駆け込み中学受験”をしたくなったら考えておきたいこと

2019年8月21日 大沢有貴子

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中学受験は、塾の新年度にあたる「3年生の2月」から入塾するのが一般的です。しかし、中学受験をすることを急に思い立ったら、どうすればよいのでしょうか。”駆け込み中学受験”を目指すときに、考えておきたいことをお伝えします。

”駆け込み中学受験”を目指すときこそ、進路を慎重に考える

急に中学受験をめざすことになったら、「第1志望の中学校に合格できなかったらどうするか」ということを子供と考えておきましょう。

“駆け込み中学受験”をする家庭は、地元の公立中学に入学することも視野に入れていることが多く、ゆったりとした気分でとりあえず受験勉強を始めがちです。一方で、中学受験の勉強を進めるうちに、「第1志望校に合格して過ごす中学校生活」しか考えられなくなるのも、よくあることです。

しかし、第1志望校に進学できる中学受験生は約3割といわれています。また、公立中高一貫校は倍率が7倍を超える学校も多いです。そのため、第1志望に合格できない可能性は十分あります。第1志望が不合格になった場合でも、子供が前向きに中学校生活を送れるように、受験まで日がないなかでも進路については慎重に検討しましょう。

そこで、第1志望に合格できなかった場合の3つの進路パターンを紹介します。

[1]第2、第3志望の学校へ進学する

第2、第3志望の中学校へ進学するケースです。近年、同一中学の2回目、3回目入試や、午後入試を導入する学校の増加により、受験者が受ける学校数が増加傾向にあります。つまり、第1志望校以外に2〜4校受験することが多いので、第1志望は不合格で第2志望以下の学校は合格ということは十分考えられます。

試験前に親子で共有しておきたいのは、受験する学校が、進学の可能性がある「志望校」なのか、練習、あるいは”合格”という実績を残すための「受験校」なのか、はっきりさせておくということです。

第1志望校や第2志望校に不合格で、そのほかに合格をもらえた中高一貫校に進学したものの、「高校は他校を外部受験したい」というケースは少なくありません。

高校受験は、中学受験と違い、内申点なども合否に関わってきます。そのため、私立中学に通学していながら外部受験をすると、不利になったり、通っている私立学校の先生から学校に留まるようにプレッシャーがかかったりする、という可能性も捨てきれません。当初想定していなかった中学への進学は、慎重に検討しましょう。

[2]地元の公立中学に進学して、高校受験する

地元の公立中学に進学して、高校受験をするケースです。中学受験のために勉強した内容は、高校受験にも大いに活かせますし、中学受験で勉強の習慣がついていることは、高校受験の勉強を進めるうえで大きなアドバンテージとなります。

この場合、中学受験の合格を第一にめざしながらも、並行して高校受験の情報収集も進めておきましょう。ちなみに、近年、高校募集を停止する私立中高一貫校が増えています。

都内の代表的進学校の豊島岡女子が、2022年入試から高校募集を停止することが話題になりましたが、公立中高一貫校も例外ではありません。都立中高一貫校10校のうち、併設型高等学校・附属中学校5校(武蔵・富士・両国・大泉・白鷗)も、2022年までに高校募集を停止する計画が公表されています。気になる学校が今後も高校募集をし続けるか、動向をチェックしておきましょう。

[3]「適性検査型入試」を採用している私立中学へ進学する

公立中高一貫校受検をめざす場合は、「適性検査型」の入試を採用している私立中学の受験も検討するといいでしょう。近年、「適性検査型入試」を採用している私立中学が増加しています。2019年の私立中学の「適性検査型入試」の実施校数は、2018年の136校から11校増えて、147校になりました。

公立中高一貫校は倍率が高く、合否の可能性も私立に比べて読みづらいです。そこで、「適性検査型」の対策を進めてきたのであれば、同じ入試形式を採用している私立中学も受験するというケースが一般的です。ただし、前述の通り、その私立中学がわが子にとって本当に進学するのにふさわしい学校かは、やはり慎重に検討する必要があります。

”駆け込み中学受験”は、親の情報収集が大切

受験するのはわが子であり、そのための勉強をするのもまたわが子です。しかしながら、無数にある進路の選択肢をある程度絞り、わが子にわかりやすい形で伝えて、一緒に志望校を考えるのは親の役目でもあります。「中学受験は親の受験」ともいわれるのは、このためともいえます。

”駆け込み中学受験”をするご家庭は、受験勉強のスタートが遅れるので、焦ってしまうことがあります。しかし、わが子の大切な進路は、しっかり情報収集して、慎重に決めるようにしましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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