連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

模試の効果的な復習方法 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2019年10月01日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

模試を受けたあとに大事なことは、間違えた問題を復習することです。しかし、復習のやり方を間違えてしまうと、受験生のモチベーションや勉強の効率が下がってしまうことがあります。では、どのようにして復習するのが効果的なのでしょうか。今回は、「模試の効果的な復習方法」について解説します。

正答分析をベースに模試の復習をすすめる

入試が近づくと、私の塾の生徒は首都圏模試を毎月受験します。首都圏模試は正答率が発表されるため、点数や偏差値、志望校の合格率とともに、一問一問の正答分析ができます。正答分析というのは、一問ごとの正解・不正解にくわえ、「受験生全体の正答率が何%だったのか」ということを比較して、分析することです。

私が推奨している模試の復習方法は、正答率が50%を超えている問題で「×」がついたものを解き直すことです。これを徹底するだけでも、中堅校に合格する実力はしっかり身につきます。首都圏模試の算数を例に解説しましょう。

首都圏模試の算数で優先的に解くべき問題

首都圏模試の算数は、全30問150点満点の構成です。大問1の計算問題と大問2の一行問題は、算数の基本ができているかどうかを問う内容で、すべて正解すれば、それだけで60点を超えます。そして、首都圏模試での60点は、偏差値50前後に相当します。

大問3~8の場合、「設問(2)」「設問(3)」になるにつれて難易度が上がります。そして、解きやすいのが「設問(1)」です。大問3~8の「設問(1)」を全問正解すれば30点。大問1・2と合わせれば90点ほど獲得でき、偏差値は60前後まで上がります。

大問1・2の問題と、大問3~8の「設問(1)」は、正答率が50%を超える傾向にあります。つまり、これらの問題は「落とせない問題」です。そのため、間違えたら復習の対象となり、生徒たちには、首都圏模試本番ではこれらの問題を優先的に解くように指導しています。

正答率の低い問題は復習するべきなのか

「せっかく模試を受けたんだから、全部の問題をちゃんと復習しなさい」と子どもに伝える親御さんもいます。しかし、大問8の「設問(3)」といった後半の問題は、正答率が5%を切っている ことも珍しくありません。勉強が苦手な子の場合、「難しい問題を、こんなにたくさん見直ししなくちゃいけないのか……」と落ち込むことも。また、「×」がついた問題の復習を全部押しつけられると、自信がなくなることもあります。

もちろん、「算数が大好きで、難しい問題に取り組まないと手ごたえが感じられない」という子もいます。そういう子は、難しい問題にも積極的に取り組んでいけるでしょう。しかし、そうでない子は、小さなハードルを一つひとつクリアして、少しずつ自信を育てていく必要があります。そのため、正答率50%を超える問題を優先的に復習するようにしましょう。

大切なのは、「できるかも!」と子どもに思わせることです。一緒に模試の結果を見返したときに、「こことここの問題はとれそうだね」と親御さんがフィードバックして、次回以降の模試に向けて作戦を立ててください。皮算用でもいいので、「ここの問題が取れたら90点超えられるよ」と励ましてあげれば、子どもは自信が湧いてきます。お母さん、お父さんに背中を押してもらうことで、子どもは落ち着いて勉強に集中することができるものです。

最初の目標は、偏差値50に乗せること

勉強が苦手な子や、私立の中堅校を狙っている子は、まずは「首都圏模試の偏差値50」を目標にしましょう。偏差値50を超えると、学校選びの選択肢が広がります。そして、「あの学校もいいな」「この学校は偏差値が少し高いけど、もう少し頑張れば届きそうだな」というように、これまでとは違った目標が出てくることもあります。

偏差値は、「模試⇒復習⇒模試」のサイクルを繰り返すことで上げていくことができます。偏差値が上がれば、より一層勉強のモチベーション上がり、前向きな気持ちで学校選びもできるでしょう。

励ますことがモチベーションにつながる

中学受験をするのは、ほかの誰でもないわが子ですから、親御さんも必死です。そのため、結果がなかなか出ないときや、子どものやる気が下がっているように見えるときは、「こんな点数では受からないよ」「これでは一生懸命勉強したとはいえないよ」といった言葉をかけてしまいがちです。しかし、頑張って勉強したつもりなのに、それを否定されてしまっては、子どもはやる気をなくしてしまいます。

模試の結果が振るわないときは、やみくもに叱るのではなく、「子どもをどう励ますのか」を考えてほしいと思います。「偏差値50に乗せることが最初の目標」とお伝えしましたが、「偏差値47」「偏差値48」といった、あと少しで目標に届きそうなときにも、励ましの言葉をかけてあげてください。目標がすぐ近くにあると感じられると、子どものやる気は変わってきます。

模試は、「どうやって親子でモチベーションを上げていくか」を考えられる絶好の機会です。子どもによって、親にかけてもらうと嬉しい言葉はそれぞれですから、まずはお子さんの隣に座って、模試の正答分析を見つつ、やる気を刺激する前向きな言葉をかけてあげてください。

次回は、「国語の試験の取り組み方と復習方法」について解説します。


これまでの記事はこちら『親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合理事、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。著書「ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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