連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

「情報」との向き合い方 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2019年9月17日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

中学受験には、さまざまな情報があふれています。受験生も、保護者も、情報を正しく捉えることは非常に大切です。今回は「情報」との向き合い方について解説します。

子どもによって違う、情報を捉える力

中学受験生にとっての「情報」とは、勉強して得られる「知識」を指します。塾の授業で学ぶということは、野球のノックに似ています。飛んできたボールを正しいフォームで捕えることで実力がついていくように、授業で出てきた情報を正しく理解することで知識が蓄えられるのです。

1回の授業の情報量が多すぎて理解が進まなかったり、逆に少なすぎて、物足りないと思ったりすることがあってもいけません。自分に合った、正しい量の情報を吸収する必要があります。そのために、子どものペースに合った学習塾に入る必要があるでしょう。

知識の吸収がはやい子は、講義中心の大手塾

知識の吸収がはやい子は、20人以上の規模で、講義中心の授業をおこなう大手塾に入ることを検討しましょう。講義中心の授業だけで成績が伸びる子は、授業を「情報収集の機会」と捉えていて、黒板に書いてあることや、先生の話したことをノートにきれいにまとめます。そのため、宿題や家庭学習に取り組むときに、ノートを使いつつ、自分ひとりで納得しながら勉強を進めることができます。

知識の吸収に時間がかかる子は、少人数の塾

知識の吸収に時間がかかる子は、講義中心の授業についていけないことあります。また、授業で聞いた内容を自分で解釈してまとめることが得意ではないため、自分でノートを確認しながら勉強を進めることが苦手です。

こうした子に必要なのは、「なぜこの式が必要なのか」「なぜこの答えになるのか」といった”答えまでのプロセス”を、丁寧に確かめる習慣を身につけることです。そのため、一つひとつのステップを先生と確認しながら進められる、少人数制の塾が向いているでしょう。

子どもに適した塾選びをするために

吸収のはやい子が、手とり足とり教えてくれる少人数制の塾に入ると、もどかしさを感じてしまうかもしれません。一方、吸収に時間のかかる子が講義中心の塾に入ると、入ってくる情報を処理しきれず、“消化不良”になる可能性があります。

もちろん、少人数制でも難関校を目指す塾がありますし、大人数でありながら、面倒見がよい塾もあります。大事なのは、その子に合った授業が受けられる塾に入ることです。

これから塾に入る場合は、宿題や家庭学習にお子さんが取り組んでいる様子を参考にして塾を選びましょう。すでに塾に入っていて、「うちの子は、授業についていけているのかな……」と不安に思っている親御さんは、授業中の子どもの様子や自習室での勉強の様子を、塾の先生に尋ねてみるとよいでしょう。

情報に振り回されてしまう親御さんが少なくない

各学校の入試問題の傾向や対策、学校の雰囲気など、親御さんにとって、気になる情報はたくさんあると思います。しかし、それらの情報に振り回されて、子どものモチベーションを下げてしまう親御さんは少なくありません。

情報を鵜呑みにしてしまう

「ここ数年、○○中学校は環境が悪いらしい」
「この塾は、○○中学校の合格率が低いらしい」

こうした”ネガティブ情報”は、いたずらに信じないようにしましょう。悪いウワサを聞くと、親は心配になりますが、まずは中学受験をする当の本人であるお子さんの気持ちに耳をすませてください。「○○中学に入って部活を頑張りたい!」「学校行事を楽しみたい!」といったように、志望校に合格したい理由が子どもなりにきっとあるはずです。 また、通っている塾に関するネガティブな情報を見聞きした場合も同様です。その塾で子どもがしっかりと勉強を頑張っているのであれば、転塾を考える必要はないでしょう。

「自分の価値観」を、子どもに押しつけてしまう

客観的な根拠もないまま、「自分の価値観」を子どもに押しつけてしまう親御さんもいます。

・受験は”戦争”。勝つか負けるかの二択
・偏差値の低い学校は、価値がない
・難関校に受からなければ、受験する意味がない
・100点以下は、0点と同じ

こうした親御さんは、子どもの中学受験を”親の代理戦争”と捉えていたり、親が果たせなかった夢を子どもに託したりしていることがあります。子どもが親の期待に納得していれば問題ないのですが、残念ながらそうでない場合がほとんどです。

親の顔色をうかがって、ビクビクしながら勉強するのは、子どもにとって辛いことです。結果として、最終的な進路に納得できず、自分の人生に自信をもてなくなったり、親との関係が悪くなったりする子も少なくありません。

中学受験情報との向き合い方

受験情報にふり回されてしまったときの対処法と、情報の扱い方についてお伝えします。

子どもとの接し方がわからなくなった場合

まわりの情報に振り回され、「どのようにわが子と接していけばいいのか」「どうやって勉強の後押しをすればよいのか」といったことがわからなくなったときは、ほかの家庭のケースに目を向けてみてください。

子どもの接し方に対する悩みや、多くの親がおちいってしまう失敗、そこから軌道修正した体験は、インターネットで調べるとたくさん見つけられます。自分と似た状況の方がどのように壁を乗り越えたのか、どういった情報を信じていたのか、といったことを参考にしましょう。そのなかに、解決の糸口がきっとあるはずです。

情報はわが子に合わせてアレンジする

情報は、わが子に合わせてアレンジすることが大切です。たとえば、「○○のテキストを△△の方法で続ければ成績が伸びます」という情報を聞いた場合、このままの方法で実践しても、うまくいくことはまずありません。

「うちの子には○○のテキストは難しいから、△△の方法を違うテキストで試してみよう」
「△△の方法をちょっと変えたほうが、子どもの理解が深まりそう」

このように、「わが子にとって最適な方法はなんだろう?」と考えることが大切です。情報は、”ヒント”に過ぎません。すべてを鵜呑みにするのではなく、親御さんがうまく調整してこそ、情報は活かせるのです。

情報を正しく活用できているか振り返る

中学受験情報は、世の中にたくさん溢れています。しかし、誤って解釈してわが子に当てはめてしまうと、不要な混乱を招いてしまうこともあります。

事あるごとに「情報を正しく理解できているか」と「情報に振り回されていないか」を、確認することが大切です。たとえば「失敗談」は、合格に向けて正しく前進できているか知るための”物差し”になるので、インターネットなどで探してみると良いでしょう。

情報に振り回されて焦って勉強するよりも、情報を正しく活用して、腰を据えて勉強に励んだほうが親子ともに幸せなはずです。

次回は、「模試の効果的な復習方法」について解説します。


これまでの記事はこちら『親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合理事、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。著書「ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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