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これだけは知っておきたい! 最新教育トレンド――アクティブ・ラーニング

2019年10月24日 石井知哉

間近に迫った「2020年教育改革」。それは中学校教育にも大きく影響します。今回は、すでに私立の中高一貫校を中心に取り入れられている最新の教育トレンド「アクティブ・ラーニング」について解説します。

2020年教育改革の柱「アクティブ・ラーニング」とは

アクティブ・ラーニングとは、「積極的・能動的な授業」のこと。従来の「受動的な授業・学習」と対比されて使われます。情報化・グローバル化が進み、知識や技術が急速に変化する社会において、「新たな時代に求められる資質や能力を養成すること」がその目的です。

アクティブ・ラーニングは、大きく次の3つの要素から成り立ちます。

【1】主体的な学び
学ぶ内容に興味・関心を抱き、目指す将来像との関連性を意識しながら学ぶこと。合わせて、自分の学習活動を振り返り、次の学習につなげていくことも重視される

【2】対話的な学び
生徒同士の対話や、先生や地域の人と対話し、自分の考えを広げながら学ぶこと

【3】深い学び
物事を学ぶ過程で身につけた見方や考え方を基に、さまざまな別の知識と関連づけることで知識や知見を深めながら学ぶこと

こうした学びを実現するため、かつてのように先生が講義形式で授業を進めるのではなく、生徒同士のペアワークやグループワークが用いられます。価値観が多様化する社会になり、“正解のない問題”が増えているからこそ、アクティブ・ラーニングを通じて創造的な学びが求められています。

アクティブ・ラーニングの実践例

アクティブ・ラーニングは、文部科学省の学習指導要領でも掲げられており、今後は公立の小・中学校、高校でも取り入られる予定です。しかし、既に私立校では様々な取り組みがなされています。「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」を実現するため、ディスカッション、プレゼンテーションなど、生徒の発言を中心とする授業形式が多く取り入れられているのです。

また特徴的な動きとして、「教科複合型授業」が挙げられます。「教科複合型授業」とは、ひとつの授業内で複数の教科が関連するテーマを扱うもの。いわば、様々な教科の先生による「コラボ授業」です。

以下はほんの一例に過ぎませんが、各学校が様々な工夫を凝らしてアクティブ・ラーニングを実践しています。

●イネの植生や歴史、言葉を取り上げる→理科、社会、国語、英語
●『源氏物語』の原文と英訳を比較する→古文、英語
●組合せや確率の計算から、バスケで得点しやすくするオフェンスを考える→数学、体育

ちなみにアクティブ・ラーニングは、PCやタブレットなどのツールを授業に活用する「ICT教育」とも結びつく概念です。こうした授業スタイルの変化は、2021年からの大学入試改革に対応するものでもあり、ますます加速していくものと考えられます。

高校でスタンダード化しつつある「ポートフォリオ」とは

アクティブ・ラーニングは、アウトプットとプロセスが重視されます。そこで今、「ポートフォリオ」に注目が集まっています。ポートフォリオとは、いわば「自分の成長の作品集」のこと。高校ではスタンダード化しつつありますが、定期テストや模擬テストの得点、部活動や委員会、生徒会等の活動実績など、生徒個々の学習の記録や様子をデータに残し、生徒本人と全教員が情報を共有するものです。学習活動の成果を示すものとして、総合的な学習評価に用いられています。

ポートフォリオには、単なる結果だけではなく、レポートの画像やプレゼンテーションの動画も記録・保存されます。スマホやタブレットなどのICTツールが普及した現代ならではの変化といえるでしょう。

ちなみに大学の推薦入試では、「何をどれだけ知っているか」よりも「学んだことをどう活かすか」が評価されます。そこで、ポートフォリオが役立つこととなります。また2021年以降の大学入試では、一般入試でも、思考力・判断力・表現力を重視する問題にシフトします。「知識つめこみ型の学習」だけでは通用しないことは明白で、得た知識を実社会に結びつけて考える「活用型の学習」が必須になってきます。

アクティブ・ラーニングの動向は要チェック

これまで紹介してきた背景から、各学校がさまざまに工夫を凝らしたアクティブ・ラーニングを実践しています。現在の教育シーンの変化に驚かされる親御さんも多いことでしょう。ジェネレーションギャップを乗り越えて、より良い中学校選びの判断材料を得るためにも、アクティブ・ラーニングの動向に注目してみてはいかがでしょうか。

※記事の内容は執筆時点のものです

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