中学受験ノウハウ 公立中高一貫校

公立中高一貫校受検――受検直前にやって良かったこと、やらなくて良かったこと

2019年10月29日 小林彩子

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受検直前期を迎え、ハラハラしている親御さんは多いのではないでしょうか? 今回は公立中高一貫校に合格した子をもつ筆者の実体験をもとに、受検直前期の過ごし方を紹介します。

受検直前にやらなくて良かったこと

まず小学校を長期で休ませなかったことは、受検にプラスに働いたと思っています。1月に入ると、小学校のクラスで中学受験(受検)をする子の欠席が増えます。なかには、1月中まるまるお休みする子もいました。しかし、わが家は親子で話し合い、「必要最低限しか休まない」と決めました。なぜなら、「学校で友達と会うほうが、受検勉強の息抜きになる」と子供が言ったからです。結果として、友達と過ごすことでリラックスできている様子が子供から感じられ、モチベーションの維持にもつながったのではないかと思っています。

また受検直前の追い込み勉強をしなかったのも、わが家では良かったと感じています。塾の特別講習や模試は受検本番ギリギリまで開催されていましたが、わが家は参加しませんでした。理由は、ハードスケージュールで体調を壊す可能性があること、また直前の得点結果が悪かった場合、「逆効果になるのでは?」と思ったからです。

こうした受検直前の“イベント”に参加しなかったことで、わが家では本番が近づいても子供の様子は普段と変わらず、特に緊張もないようでした。そして子供からは「こんなにがんばってきたから自分は受かる」という自信も感じられ、結果として合格をつかみ取れました。受検直前に慌てず、コンディションを保てたことは、受検に良い影響を与えたのかもしれません。

やっておいて良かったこと

一方で、やっておいて良かったと感じるのは以下の3つです。

・塾や模試で1番を取ることを目指す
・小学校の授業に積極的に参加する
・不合格だったときのことを親子で想定しておく

塾や模試で1番を取ることを目指す

受検のゴールはもちろん「合格」ですが、具体的に何をしたら合格できるのかイメージしにくいですよね。しかし「1番を取る」は明確です。塾内や模試で1番を取れる学力があれば、公立中高一貫校への合格にも近づきます。

小学校の授業に積極的に参加する

公立中高一貫校の受検では、小学校の成績も影響します。わが家では、「公立中高一貫校は、授業で意見を言う子とかリーダーシップのある子が多く受かるらしいよ」と子供に度々言って聞かせました。結果、子供自身が「授業で活躍できるようがんばろう」と思えたようで、徐々に授業で意見を言う姿が見られるようになりました。

不合格だったときのことを親子で想定しておく

わが家では、不合格だった場合、地元の公立中学校へ進学する予定でした。もし受検が残念な結果になっても、中学校生活が楽しみになるように、「地元の中学ならではの良さ」をたくさん教えました。受検直前期に「もし不合格でも、地元の中学も楽しそうだからいいんだ」と子供が笑顔で言っていたのが印象的です。結果としてほどよく肩の力が抜けて、受検に対するプレッシャーも和らげることができたのではないかと思います。

受検準備には反省点も

親である私が、もう少し注意深くしておけば良かったということもあります。とくに受検直前の準備に関しては反省点は少なくありません。

わが家が受検に向けた準備などを本格的に始めたのは、6年生の10月です。10月には公立中高一貫校の多くで学校説明会が行われます。第一志望だけに限らず、複数の公立中高一貫校の説明会に親子で足を運びました。

11月後半に願書の配布が始まり、わたしの住む地域では平日の昼間に配布されていました。そのため、受付窓口の開いている時間に行くためには仕事との調整が必要だと直前で気がつき、焦って取りに行ったのを覚えています。仕事を早上がりにする、家族の誰かに受け取りに行ってもらうなど、事前にもっと対策を取れば安心だったなと反省しています。

出願書類の不備に注意

12月に出願に向けた準備を始め、1月にはいよいよ出願手続きです。しかし、わが家ではなんと出願直前に書類の不備が判明しました。公立中高一貫校への出願では、小学校の先生に作成をお願いする書類、家庭で記入する書類、受検料の支払い証明書など、複数の書類を用意する必要があります。また、同時期には併願する私立中学への出願や塾に出す書類の準備なども重なり忙しく、気をつけてはいたものの確認漏れが生じてしまったのが原因です。

わが家の場合、小学校の先生の指摘で不備に気づき慌てて修正することができました。結果、無事に出願できたものの、「親のミスで子供が受検すらできない可能性がある」という怖さを思い知りました。せっかく2年近くかけて勉強をがんばってきた子供の努力を、親のたったひとつのミスで台無しにするところだったのです。実際、書類の不備で出願できなかったというケースはあるようなので、チェックリストをつくる、家族で二重チェックするなど、出願書類の不備を未然に防ぐ工夫をすると良いでしょう。

「いつも通りの力」を発揮させてあげることが大切

受検直前になると、子供にやる気を出させようと、「絶対合格しようね」や「不合格なんて縁起の悪いことは考えないでおこう」といった声かけをしたくなるのが親心です。しかし、こうした言動は、子供にとってかなり強いプレッシャーになる可能性があります。緊張から体調を崩したり、本番に力を発揮できなかったりする子もいるので、私の経験からすると、受検直前期の親としてはこうした声かけはしないほうが良いと思います。

そして、子供の受検を通して私が感じたのは、「いつも通りの力」を受検で発揮させてあげることの大切さです。子供がリラックスして、自信をもって本番に臨めるように、受検直前期には適度な距離で接するように心がけてほしいと思います。

※記事の内容は執筆時点のものです

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