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食料自給率とは? 食料輸入が止まると日本は食べ物が足りない!

2019年12月04日 ゆずぱ

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日本は、先進国のなかでも「食料自給率」がとても低いことで有名です。食料自給率とは、「食料」を「自分たち」で「供給」できる能力のこと。たとえば、国内で必要な食料のうち半分を国内で生産し、半分を海外から輸入していたとしたら、食料自給率は50%となります。

「食料自給率が低い」とは、自分たちの食べ物を海外からの輸入に頼っているということです。日本はもともと食料自給率が低かったわけではありませんが、年々低くなっていて、政府も対策を打っています。中学入試でも食料自給率に関する問題が出題されているので、この記事で対策しましょう!

日本の食料自給率はとても低い!

農林水産省のウェブサイトによると、日本の食料自給率は先進国のなかでもかなり低く、40%を下回っています。つまり私たちが口にする食べ物の60%以上は、海外から輸入されたものということです。一方で、アメリカの食料自給率は130%、オーストラリアは223%、カナダは264%です。100%を下回る先進国は存在するものの、日本ほど低くはありません。

なぜ日本は、ここまで食料自給率が低いのでしょうか? 政府による対策は? こうした疑問を解き明かすまえに、まずは食料自給率の基本からおさえましょう!

食料自給率は大きく分けて2種類ある

まず押さえたいのが、食料自給率は大きく分けて「カロリーベース」と「生産額ベース」の2種類で計算されるということです。

カロリーで計算された食料自給率を「カロリーベース」と呼びます。日本の「カロリーベース」の食料自給率は約38%です。ちなみにカロリーとは、簡単にいうと「生きるために必要なエネルギー」のことをいいます。

一方で、お金をもとに計算された食料自給率を「生産額ベース」と呼びます。日本の「生産額ベース」の食料自給率は約65%です。

なぜ、生産額ベースの食料自給率が高いのでしょうか? 例えば、同じ牛肉でも「安価な牛肉」と「高級和牛」では値段が違いますよね。つまり、生産額が大きく異なります。このように、国産の高級和牛やブランド食材が、日本の生産額ベースの食料自給率を大きく押し上げているといわれています。

「自給率」に関しては、紹介した2種類の食料自給率のほかに、「重量ベース」などいくつかの指標が存在します。この記事では「カロリーベースの食料自給率」に基づいてお伝えします

輸入が止まったら食べ物が足りなくなる

「カロリーベース」「生産額ベース」ともに、日本の食料自給率は100%を下回っています。この状態でもし海外からの食料輸入が止まってしまったら……。日本国内の人々が生きていくだけの食料が足りなくなります。そのため日本政府は、食料の多くを輸入に頼っている現状に危険感を抱き、食料自給率の向上に向けた対策を打っています。

代表的な対策は、以下の3つです。

・お米文化の推進
・農業の担い手の開拓
・地産地消の推進

1つ目は「お米文化の推進」です。お米をもっと食べましょうというものです。2つ目は「農業の担い手の開拓」。農業を担う若者が減っていることに対する対策ですね。3つ目は「地産地消の推進」。外国産の食べ物ではなく、地元でとれたものを地元で消費しましょう、という運動です。

日本の食料自給率は、なぜ低い?

日本の食料自給率は、はじめから低かったわけではありません。1965年ごろの食料自給率は70%を越えていて、多くの食料を国産でまかなうことができていました。

日本の食料自給率が減ってしまった要因は、ひとことで言うと食文化の変化によるものです。戦後、欧米型の食文化が浸透した結果、日本人のお米の消費量が減少してしまいました。代わりに、畜産物(牛肉や豚肉や鶏肉)、油脂類(油分の多い食事)の消費量が増えたんですね。このことが、食料自給率低下の大きな要因であるといわれています。

食料自給率は4つのグループでおさえる

日本の食料自給率はたしかに低いですが、食料の種類によって食料自給率が異なります。たとえば、お米は大部分が日本国内でつくられているので、お米の自給率はほぼ100%です。食料ごとの食料自給率をおさえるには、4つのグループに分けることがポイントです。

【A】ほぼ国内生産グループ(約100%)

まずは、食料自給率がほぼ100%のグループです。これは「米」だけをおさえておけば問題ないでしょう。スーパーで売られているお米も、「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」「あきたこまち」と、ほぼ全てが国内産ですね。お米は「自給率ほぼ100%」と覚えましょう。

【B】鮮度が命グループ(70%以上)

Bグループは、食料自給率100%とまではいかないまでも、多くを国内生産でまかなっているグループです。「野菜」「いも」「きのこ」の3品目をおさえましょう。これらは鮮度が重視されるので、生産地から近いところで消費される傾向が強くなる品目です。「地産地消」「近郊農業」という言葉もあわせて連想できるとよいですね。

【C】使い分けグループ(30%~60%)

Cグループは、海外産と国内産が流通しているグループです。「肉」「魚介」「果物」の3品目をおさえましょう。例えば牛肉は、オーストラリア産といった安価な牛肉がある一方、高級な和牛も売られています。果物も、いちごは国内産が多いですが、バナナはほぼ海外産です。つまり、国内産だけでなく海外産も多く流通しているので、食料自給率があまり高くないんですね。

【D】海外依存グループ(20%以下)

Dグループは、国内生産がほぼなく、ほとんどを海外に依存しているグループです。「小麦」「大豆」「油脂」の3品目をおさえましょう。安くてよいものが海外から入ってくるため、自給率が低くなってしまったグループです。ただし、小麦は日本の気候では栽培に向いていないという背景もあります。

海外依存度の高い食料はどこから輸入される?

日本国内の食料自給率が低い食料について、主要な輸入先をおさえましょう。

小麦はアメリカやカナダから輸入

小麦は、アメリカやカナダからの輸入が大部分を占めています。広大な土地をもつ中国でも小麦は大量につくられていますが、日本はあまり輸入していません。アメリカからの輸入が多い背景として、戦後のアメリカとの関係のなかで、アメリカ産の小麦を原料とするパンが日本に浸透したから、といわれています。

大豆はアメリカやブラジルから輸入

大豆はアメリカとブラジルからの輸入が大部分を占めています。大豆の生産量は世界一位がアメリカ、世界二位がブラジルなので、生産量の多い国から輸入しているというかたちですね。

魚介は主に中国から輸入

水産物は、日本で最も多くの輸入額を誇る食品です。多くは中国から輸入しています。アメリカからはタラ類を、チリからはサケ類を、ロシアからはカニを主に輸入しています。

まとめ

先進国のなかで、食料自給率が最低水準の日本。中学入試では、食料自給率の問題に加え、農業分野や貿易関連とリンクさせた問題も出題されています。今回紹介した「4つのグループ」を押さえて、輸入品目の特徴をおさえておけるとよいですね。

※記事の内容は執筆時点のものです

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