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【レポート】中学受験に向く子、高校受験に向く子 ―― 教育専門家・石田勝紀氏 講演会

2019年12月20日 中学受験ナビ 編集部

12月14日(土)一般社団法人教育デザインラボ代表理事・石田勝紀氏による講演会が開催されました。テーマは「中学受験に向く子、高校受験に向く子」。これまで3,500人以上の生徒を指導してきた石田氏の経験をもとに、「どのような子が中学受験に向いているのか」といった話が、約2時間30分ノンストップで展開されました。

石田氏が「今日話したことは全部やろうとしないてくださいね。最大3つまででOKです」と伝えたほど盛りだくさんだった講演会から、その一部を紹介します。

講演者プロフィール

石田 勝紀

一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事。1968年、横浜市生まれ。20歳で学習塾を起業。これまで3500人以上の生徒を直接指導する傍ら、講演会、セミナーなどを通じて5万人以上の子どもたちを指導してきた。35歳で都内の中高一貫私立学校の常務理事に就任し、経営・教育改革を実践。現在は「日本から勉強嫌いな子を1人残らずなくしたい」という信念のもと、全国各地でママさん対象のカフェスタイル勉強会「Mama Cafe」を年間100回以上主催。著書は、『新時代の学び戦略 AI、スマホ、ゲーム世代の才能を育てる』(産経新聞出版社)、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など多数。

「中学受験に向いている子」の特徴とは

会場に早く到着した参加者からの質問に石田氏が答えるなど、和やかな雰囲気で始まった講演会。しかし「子どもには大きく分けて2つのタイプがいます」と石田氏が本題に入り始めると、会場の空気がサッと変わります。

「シングルタスク型の子は、中学受験に向いています。一方でマルチタスク型の子は、高校受験向きだといるといえるでしょう」(石田氏)

シングルタスク型とは、簡単にいうと「好きなことに一点集中するタイプ」。マルチタスク型は、「なんでもできるけど興味が分散してしまうタイプ」のことを指します。

なぜ「シングルタスク型」の子が中学受験に向いているのか? この疑問に答える前に、「そもそも学習指導要領は、‟ふつうの子“に向けてつくられている」と石田氏は話します。‟ふつうの子”とは、全てが満遍なくできる子のこと。つまり、マルチタスク型の子です。

一方でシングルタスク型の子は、「公立中学の内申点で苦労することがある」と石田氏は続けます。

「シングルタスク型の子は特定の分野に興味関心が高い子なので、卒なく何でもこなすことが重視される公立中学では、居心地が悪くなるケースがあるのです」(石田氏)

しかし「私立中学だと、シングルタスクの子が伸びる可能性が高い」と石田氏は語ります。私立中学は先生たちのサポートが手厚いこともあり、子どもの興味関心が伸びやすい環境だといえるでしょう。

長所は伸ばす、短所は触れない

続けて石田氏から、「長所は伸ばす、短所は触れない」という話が展開されます。

「長所に気づかせるのが、親の役目。子どもは自分の長所に気付くと、自然と短所を改善するようになります」(石田氏)

たとえば「昆虫のことを調べると止まらない」というのも長所のひとつ。どうしても子どもの悪い面に目が向いてしまいますが、「短所に触れるのはNG」と石田氏は講演会のなかで何度も繰り返していました。

なぜ短所に触れるのがNGなのか。それは「自己肯定感に深く関係しているから」と石田氏。自己肯定感とは、自分に価値を置いている気持ちのこと。「折れない心をつくる源泉」です。子どもの良い面を、子ども自身に気付かせてあげる。すると子どもは安心して自分の長所を伸ばせるようになるということです。

親の言葉がけで「考える力」を育む

「中学受験をしない選択をしたとしても、子どもの“考える力”を家庭で育てておくことは大切。この先に学ぶことも吸収しやすくなる」と石田氏は言います。

「考える力」を育てるには、「なぜだろうね?」「どうしたらいいと思う?」と子どもに問いかけるのが効果的。「親はあくまで考えるキッカケを与える。子どもに考えさせることが必要です」といった石田氏のアドバイスに、頷くママの姿が目立ちました。

ただし、会話をするときの注意点として「親御さんが張り切り過ぎて質問攻めにならないように。肩の力を抜いて、少しずつ自然な感じで」と冷静さをもつことを促していたのも印象的でした。

また、「賢い子は抽象的思考と具体的思考を往復している」といった話も印象的でした。「抽象と具体を往復する思考力も、親子の会話で育める」と石田氏は言います。

「要するにどういうことかな?」「ひと言でいうとどんな感じ?」(抽象化思考)、「例えばどんなもの(こと)があるかな?」「似たようなもの(こと)ってある?」(具体化思考)といった言葉がけが “マジックワード”として紹介され、保護者の多くが関心を寄せていました。


講演会から内容の一部を抜粋してお伝えしました。ほかにも、国語・算数の点数を伸ばす方法、スマホ・ゲームとの付き合い方などがレクチャーされ、参加者のペンの音が鳴りやまない講演会でした。石田氏の直球のアドバイスに、「痛いところを突かれた」と苦笑いする親御さんの姿も。笑い声が会場を包み込むなか行われた今回の講演会は、多くの気付きが得られるものでした。

※記事の内容は執筆時点のものです

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