中学受験ノウハウ 出願から入試本番まで

[入試当日]実際にあった受験生の失敗エピソード6つ

2019年12月23日 吉崎 正明

毎年のようにドラマが生まれる中学受験の世界ですが、その裏には数えきれないほどの「失敗エピソード」が存在します。筆者が長年にわたり中学受験生を指導してきたなかから、とくに印象的だったエピソードを紹介します。

[1]試験本番前の知識の吹っ飛び……

入試当日の電車のなかは、塾かばんを背負った受験生が思い思いに過ごしています。私が教えていたAさんは、お母さんと算数の問題の確認をしながら受験校に向かっていたそうです。

しかし、お母さんが質問した問題にAさんが答えられなかったことで、親子げんかに。「それで大丈夫なの!」とお母さんが怒ってしまったんですね。Aさんは興奮と緊張が高まり、入試会場でも怒られたことが頭から離れず、力を発揮することができませんでした。入試終了後にAさんと会話をしたときに、「お母さんとけんかして、授業で習った知識が吹っ飛んでしまった」と話していたことを覚えています。

受験会場に向かうときこそ、普段通りの接し方を

中学受験の主役は、11歳~12歳の小学生。はじめての大舞台の前で、緊張状態もピークになります。入試当日に受験校に向かっているときは、以下の3つを意識しましょう。

・リラックスを心がける
・その場で見て復習できるものを持参する
・できることを中心に振り返る

親御さんは、まずはお子さんに普段通りに接することを心がけてください。電車のなかで参考書などを読む場合は、これまで習ったものの見直しをするにとどめましょう。私の印象だと、受験会場への移動中は使い込んだノートやテキスト、時事問題集を読んでいる受験生が多いですね。

[2]受験後にまさかの受験票紛失

“神奈川御三家”のうちの1校を受験し、「手応えあり」と意気揚々と塾の教室に顔を出してくれたBくん。自己採点も手応えありで、塾の講師たちも合格を期待していました。しかしBくんが帰宅後、「受験票を試験会場に置いてきてしまったらしい」とBくんの親御さんから塾に電話が。親子とも明日に控えた合格発表に向け、不安でいっぱいになってしまっていました。

そこで私たちは、「心配しなくて大丈夫ですよ。学校の先生も受験票を置いてきたのはご存じだと思いますし、願書などのコピーもあるので何とかなります。明日もあるので気にせず休んでください」と声をかけました。

翌日の合格発表では、見事合格。学校には受験票がない旨を伝え、本人であることも証明できたため、入学許可証を無事もらえました。

願書などのコピーは忘れずに!

入試当日に緊張が高まると、注意していても忘れ物をしてしまうかもしれません。万が一に備え、以下のように事前に準備をしておくとよいでしょう。

・入試の本人確認に必要なものはコピーをとっておく
・クリアファイルなどにまとめておくなど、紛失しない工夫をする

受験票や願書などは、コピーをとっておくと安心です。併願校を複数受験する場合は書類が多くなりがちなので、クリアファイルなどにまとめて整理しておくと良いですね。ちなみに、本人確認ができさえすれば入学許可が下りる学校は多いですが、学校ごとの募集要項には必ず目を通しておきましょう。

[3]ペットボトルで退場

「隣の子が、テスト中にペットボトルの飲み物を飲もうとして退場させられた」

これは、私の教え子のCくんから聞いた話です。もちろん試験中に飲み物を飲むことは基本的にNG。その子もわかっていたとは思いますが、よほど緊張していたに違いありません。

学習時間と休憩時間のメリハリをつけよう

なかなか珍しいケースですが、これから入試に臨む子はこうした失敗をしないことはもちろん、普段から休憩時間とのメリハリをつけて勉強することを大切にしてほしいと思います。

・授業中やテスト中は、決められた時間以外の水分補給をしないことを守る
・休み時間の過ごし方に気をつける(トイレへ行っておく、栄養補給や水分補給をする、疲れをとる、次の教科の対策をする)

入試中は、基本的に水分補給が禁止させられていることが多いです。普段からペットボトルに手を伸ばしながら勉強していると、うっかり同じようなことをしてしまうかもしれません。

また、休み時間の過ごし方にも注意が必要です。休み時間は、次の試験科目などに備える時間です。終わった教科を振り返っても意味がありません。頭を休めたり、栄養補給をしたり、次の教科の確認など時間を充てたりと、休憩時間を有効に使いましょう。

[4]腹痛で動けない……

Dくんは、2月1日の押さえ校にまさかの不合格。2日にようやく合格したものの、まだまだ緊張しきりでした。そこで迎えた3日目、実力相応校に向かう途中で突然の腹痛が。最寄り駅に着いたものの、動けなくなってしまったのです。結局そのあとで痛みはおさまり、なんとか受験することができました。

腹痛対策はできる限りしておく

腹痛に悩まされる受験生は、Dくんに限らず意外と多くいます。そこで、以下のような万が一の備えがあると安心です。

・試験会場までの道中のトイレは、いくつか確認しておく
・酔い止めなどを持参する
・消化の良いものを中心に、いつも通りの食事をする

入試前日の食事については、ゲン担ぎといって無理して「とんかつ」を用意しなくても大丈夫です。好きなものを用意してあげて、体力をつけさせましょう。ちなみに私の教え子のなかには、入試前日は胃がもたれないようにうどんを食べて、その子以外の家族全員はゲン担ぎにとんかつを食べた例も。私の教え子にそれを話すと、毎年のように実践する受験生が出てきます。

[5]シャーペンの芯切れで試験終了

大人しくまじめなEさん。私が担当していた演習講座でおこなった30分間のテスト中、突然困惑した顔でシャーペンをカチカチし始めます。そう、テスト中にシャーペンの芯が切れてしまったのです。芯の替えがなく、テストはそのまま終了しました。

入試本番でなかったのが幸いでしたが、それ以来彼女はシャーペンのデメリットを痛感し、鉛筆を使うようになりました。私がふだん鉛筆をすすめているのは、この出来事がきっかけともいえます。

シャーペンより、鉛筆がおすすめ

シャーペンは芯が折れやすく、折れるとその度に思考が止まることも。カチカチ芯を出している間も、無駄な時間といえます。こういった些細なことでも、緊張している場合は時間だけでなく、正答にも影響しやすくなります。のびのび力いっぱい回答を書くためにも、折れにくく、状態が目で確認しやすいといったメリットがある鉛筆に慣れておきましょう。中学入試本番でも、鉛筆をたくさん用意しておくことをおすすめします。

筆記用具については、以下を改めて確認しておきましょう。

・筆記用具の予備は必ず用意しておく
・鉛筆がおすすめ(折れにくい・壊れにくい・疲れにくい)

[6]バタバタの1日午後入試

2月1日の午前に、都内の有名女子校の受験を終えたFさん。午後は神奈川の西側にある学校を受けるために大移動。タクシーと電車を利用しても試験開始ギリギリ、というバタバタした状態で試験に臨みましたが、無事に間に合いました。

別の受験生Gさんは、1日の午前に「面接がある学校」を受験予定でした。しかし、面接終了の時間次第では、同じ日の「午後に受験する予定の押さえ校」に間に合わない可能性があることがわかりました。無理をせず2日に押さえ校を併願することに。結果として、この選択は正解でした。もし1日の午前中に面接がある学校を受けていたら、午後入試の学校に間に合わなかったでしょう。

時間に余裕をもった併願計画を

併願校を決める場合、以下の3点に注意することで当日は慌てずに行動することができます。

・移動時間や休憩時間を踏まえて午後入試の併願校を決める
・「受験生を不安にさせないこと」を第一に、余裕をもったスケジュールを組む
・面接の有無に注意する

受験スケジュールを考えるときは、受験生である子供を不安にさせないように余裕をもった計画を立ててください。付き添う保護者が慌てると、子供も不安になります。面接は、事前実施か当日実施かで併願校選びに大きく影響します。当日に面接が実施される場合は、終了時刻を必ず確認しておきましょう。

失敗を未然に防ぎ、安心して入試本番に臨もう

緊張していると、何が起こるかわかりません。しかし、事前にミスが起こらないように準備しておくことは可能です。お子様に寄り添い、万全の状態で入試本番を迎えましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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