連載 しあわせな中学受験

子どもが同じミスを繰り返しているときに「どうして!?」という声かけは逆効果!? |しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

専門家・プロ
2019年12月27日 中曽根陽子

小学校では冬休みに入りました。周りは楽しそうだけれど、あまり遊べないな……。受験生にとっては、前向きな気持ちになりにくい時期かもしれません。特に実力を測る場面で、期待していた結果にならなかったりすると、なおさらでしょう。親も不安に駆られます。そんなとき親の声かけが問われます。

また同じミス……。期待する結果を出せなかったときにかける言葉は?

毎日の計算や漢字などの小テストで、あなたのお子さんが同じ間違いを繰り返しています。しかもそのことを、本人がそれほど気にしていない様子です。どんな声をかけますか?

私が行なっている保護者向けのセミナーでは、こうしたケースを設定して、2人1組で親役、子ども役になってロールプレイをしてもらいます。子ども役の人が「あ、また間違えちゃった」と平気な顔で言ったあとに、親役の人は、自分が言うであろうセリフを喋ってもらうのです。すると次のような感情的な言葉が普通に出てきます。

「どうしていつも同じ間違いをするの?」

「何度言ったらわかるの? ここで何点損しているかわかってる?」

「こんな簡単な間違いをしていたら、どこにも受からないからね」

「どうして!?」という発言のあと、どうなるか

ロールプレイには続きがあって、親役・子ども役の役割を交代します。そして子ども役が親のセリフをどう受け止めたか、感じたこと・思ったことをシェアします。

前述の親の発言に対する子ども役人の印象は、おおむね次のようなものです。

「責められたように感じがした」

「いろいろ言われたけれど、ほとんど聞いてなかった」

「怒られないように、言い訳を考えた」

こうしたケースで、親が感情的な発言をすることは、珍しいことではありません。「ミスをなくしてほしい」「もう失敗をしてほしくない」と強く思うからでしょう。しかし立場を変えてみると、こうした発言が、子どもたち自身のミスをなくす行動につながるのかどうかは疑問です。

実際にこのロールプレイに参加した皆さんから「日頃発している言葉で、子どもがとんな気持ちになっているかを体感した。ドッキリした」「言い方に気をつけなければ」という声があがりました。

子ども役に回ったときに、なぜ責められたように感じたのでしょうか。それは、ほとんどの人が、これまでのミスの原因を追求する質問をしていたからでしょう。そこからは、なかなか前向きに問題を解決するアイデアは浮かびません。前向きな気持でミスや問題を少なくする行動をとるには、子どもたち自身に「どうしたらいいかな」「どうしようかな」と考え始めてもらう必要があります。

間違えちゃったんだね。どうしたらいいと思う?

では、親がどんな声かけをしたら間違いを少なくすることができそうでしょうか?

「絶対にミスをしなくなる!」ということでありませんが、「どうしたらいいと思う?」という問いかけがあります。「どうしたら?」という質問は未来に向かって、解決を促す質問です。「どうしたらいいと思う?」と聞かれると、頭のなかで「うーん……」と思考が回り始めます。

前述のロールプレイには続きがあって、親役の人には「間違えちゃったんだね。次は、どうしたらいいと思う?」というセリフを言ってもらいます。そのときの子ども役の人の印象は次のとおりで、全体的に「どうしようか考え始めた」という感想が多くなりました。

「親が自分の言葉を受け止めてくれたと感じられて、安心して次の話をすることができた」

「頭ごなしに怒られたときより、自分のしていることがマズいことだと感じて、なんとかしなくてはと思った」

ポイントは「どうして」の「て」を「たら」に変えること。また、「どうしたらいいと思う?」という声かけの前に、「また間違えちゃった」という子どもの発言をありのまま受け止める言葉――「間違えちゃったんだね」を挟んでいる点です。相手の言葉を繰り返す、いわゆる「オウム返し」は、コーチングで言うところの「共感」になります。

受験勉強ではミスや失敗がつきものです。1度で改善できればいいですが、繰り返すこともあります。親御さんが不安に駆られたときほど冷静に一呼吸です。子どもが自分で「どうしたらいいか」を考えたり、工夫したりするような声かけをしてほしいと思います。


これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

※記事の内容は執筆時点のものです

中曽根陽子
この記事の著者
中曽根陽子 専門家・プロ

教育ジャーナリスト。小学館を出産のため退職後、「お母さんと子供達の笑顔のために」をコンセプトに数多くの本をプロデュース。子育て中の女性の視点を捉えた企画に定評がある。教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。中学受験に関しては「受験を親子の成長の機会に」という願いを込めて『1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などを執筆。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザインする力を育てる学びの場「Mother Quest 」も主宰している。

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