連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

学校選びのチェックポイント ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年3月09日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

首都圏だけでもかなりの数の中高一貫校があります。全国レベルの部活動や名物行事があるなど学校の特色はさまざまです。今回は数ある学校のなかから、お子さんに合う学校を探し出すポイントをお伝えします。

人気のある学校って?

「人気のある学校」とは、そもそもどういった学校を指すのでしょうか? まずはこの点について考えてみましょう。

先生や生徒たちから活気が感じられる

学校見学で注目してほしいのは、先生たちの明るさやエネルギッシュさ、そして生徒たちの表情です。人気を集めている中学校は、たくさんの親子が「この学校に入りたい!」という気持ちで受験します。こうした中学校は、学校見学の段階から多くの親子の気持ちを掴んでいます。

学校全体の雰囲気をつくり上げているのは、先生と生徒です。難関校であっても中堅校であっても、人気のある学校に見学に行くと「この学校で一緒に頑張ろう!」「入学を楽しみにしてるよ!」といった、明るく開放的な雰囲気を感じられます。先生たちが明るく学校案内をしてくれたり、授業を見学すると、生徒たちが前向きな姿勢で先生の話を聞いているのもわかるでしょう。

熱量の多い授業が展開されている

多くの志望者を集める学校は、先生と生徒から“熱量”を感じられることも少なくありません。たとえば人気の難関校の場合、先生たちは難しい内容の問題でもイキイキと、面白く教えています。先生自身も楽しんで授業をしているんですね。生徒たちも「今度はどんな問題を出してくれるんだろう?」とワクワクしながら授業を受けています。

学校見学で「あの先生の授業を受けたい!」と子どもが思えたら、志望校の候補に入れてよいでしょう。憧れの学校で自分が授業を受けている姿をイメージすることで、受験勉強にも力が入ります。

学校選びのチェックポイント

見落としがちなポイントも含め、学校選びで確認しておきたい3つのことをお伝えします。

【1】通いやすさ

通いやすさは、学校選びの大切なポイントのひとつです。電車通学の場合は、乗り換えなしで通学できる学校が理想といえます。駅から学校までの通学路にも目を配りましょう。長い距離を歩いたり、坂道の上り下りを繰り返したりする通学路は、子どもによってはかなりの負担になります。中学・高校と6年間通う場所ですから、「負担の少ない通学路か?」という点は慎重に考えておきたいですね。学校見学の際に子どもと一緒に歩いて、通いやすさについて話し合ってみましょう。

【2】授業時間数

授業時間数は、学校選びで見落としがちなポイントです。集中して勉強できる時間は、子どもによってどうしても差が出てきます。そのため「どんな科目が何単位あるか」だけでなく、「1日何時間授業があるのか」をチェックすることも大切です。

学校によっては、朝のホームルームの前に“0時間目”を設定していたり、曜日によっては7時間目があったりする学校も。特進コースだと、授業時間が多い傾向もあります。曜日ごとの時間割は、学校案内のパンフレットを見れば載っていることがほとんどです。わが子の集中力が続くかどうか、習い事などの生活サイクルとマッチするか、という点も含めてチェックしておきましょう。

【3】学校行事

学校行事が子どもに合うかも、学校選びの大切なポイントです。行事に向けた子どもの姿勢ひとつで、学校生活の満足度が大きく変わることもあるのです。

どの学校にも「名物行事」のようなものがあります。キリスト教の学校であればクリスマスに賛美歌を歌ったり、礼拝をおこなったりすることもあるでしょう。運動に力を入れている学校であれば、体育祭の練習に時間を割いたり、マラソン大会を実施したりすることもあります。

学校行事が子どもの学校生活に与える影響は小さくありません。行事を前にして、ワクワクしたり、思い切り楽しんだりできそうか。または、気持ちが乗らないのか。学校案内のパンフレットや学校のホームページを見て、志望校の行事について子どもに素直な感想を聞いてみるのもよいですね。在校生と話す機会があれば、気になる行事について聞いてみるのも手です。

「偏差値」や「大学合格実績」は参考程度に

学校選びでは、偏差値の高さや大学の合格実績などは参考程度にしたほうがよいと私は考えています。進学校の場合は、大学受験を見据えて過密なカリキュラムで授業が組まれていることもあります。「勉強が好き!」という子であれば問題ないのですが、勉強以外のことも楽しみたいと思っている子にとっては負担になるかもしれません。6年間通う学校ですから、偏差値や合格実績以上に、子どもが楽しめる環境が整っているかを大切にしてほしいですね。

憧れの学校に進んだ生徒たち

参考までに、私の塾(桜学舎)の生徒たちが実際にどのような点をチェックして学校を選んだのか紹介します。

水泳に打ち込める環境を求めて

ある生徒は、水泳部の活動がどれだけ盛んか、学校にプールがあるかを重視していました。スイミングスクールに通い続けていた子で、中学生になったらスクールを続けつつ、水泳部にも入って頑張りたいと思っていたようです。一方で親御さんは「水泳部だけに絞ってほしい」と思っていて、親子で悩んでいるようでした。結果として活動が活発な水泳部がある志望校に合格。スイミングスクールは辞めてしまいましたが、水泳部だけでも十分水泳に打ち込める環境とのことで、今は学校生活が楽しくて仕方ないようです。

「理科部」が入学の決め手に

文化祭で理科部と出会ったのがきっかけで、志望校を決めた生徒もいました。理科部の展示に引き込まれ、親御さんによると教室から6時間も出てこなかったとか。「この学校の理科部に入る!」といった気持ちが原動力になり、勉強にも身が入っていましたね。結果として第一志望校と、難関の公立中高一貫校に合格。親御さんは本人の意思を尊重し、憧れだった第一志望校にその子は進学しました。

焦らず、志望校を固めていこう

どんな学校に行きたいのかは、すぐには見えてこないものです。いろいろな学校を見学するうちに、少しずつ希望する条件などが見えてきます。そのため、まずは学校のパンフレットをたくさん集めましょう。そのうえで通学時間や授業時間、行事などを見て学校にあたりをつけ、親子で見学に行ってみてください。こうしたサイクルを早いうちから繰り返せば、志望校が少しずつ固まってくるはずです。

ただ、張り切りすぎには注意です。学校見学の予定を土日に何校も詰め込みすぎて、親子ともに疲れてしまう家庭もありました。志望校がすぐに見つからなくても大丈夫。焦らず、少しずつ学校を探していきましょう。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。