連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

1年間の過ごし方 ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年3月04日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

4月直前のこの時期、決意を新たに受験に思いを膨らませている親子も多いのではないでしょうか。一方で、この1年をどう過ごしたらいいのか不安に思う親御さんもいると思います。特にはじめて中学受験を経験する家庭の場合は「このままでいいのかな……」と思い悩むことがたくさんあるかもしれません。

今回は年間を通して親御さんに意識してほしいこと、そのうえで知っておきたい新5・6年生の年間スケジュールについてお伝えします。

年間を通して意識したいこと

年間を通して親御さんに意識してほしいことは、子どもは常に成長し続けているということです。お子さんの成長を意識し過ぎるあまり過干渉になり、逆に成長を妨げてしまう家庭は少なくありません。

家で一緒に過ごしていると、子どもの日々の成長に気づきにくいものです。「うちの子は全然成長している気がしない……」という不安な気持ちを抱えるのもわかります。「もっと本気で勉強しなさい」「このままじゃ志望校に合格できないよ」と発破をかけたくなる親御さんもいるでしょう。

しかし大切なのは、成長していく子どもを信じて寄り添うことです。遊んでいるように見えても、勉強していないように見えても、声をかけたくなるのをこらえて見守りましょう。「少しずつでも成長しているはず」と信じられれば、過度に一喜一憂し過ぎず、親子ともに落ちついて受験に臨めるようになるのです。

春に意識したいこと

新学期を迎える春に気を付けるべきポイントを、学年別にみていきましょう。

【5年生】学習習慣を身につける

5年生の場合、春先で勉強習慣を身に付けてほしいですね。早い段階から勉強習慣を身につければ、誰かに促されなくても勉強時間は増えていくものです。

意識してほしいのは、塾で出された宿題をきっちりとこなすことです。宿題忘れはもちろんのこと、答えを丸写しにしたり、親に問題を解いてもらったり、ほとんど白紙状態のまま宿題を終えたりするようでは「宿題をやった」とは言い難いですね。

肝心なのは、難しい問題に直面してもなんとか奮闘して自分なりの答えを出すことです。ノートやテキストを参照しながらなんとか問題を解いてみる。最後まで解けなくても途中まで粘ってみる。正解不正解関係なく、努力の痕跡を残すことで「自分で考える習慣」を早いうちに身につけることができます。

5年生の春は、ペースを上げ過ぎない

5年生の春ごろの勉強で注意したいのは、市販の参考書にまで無理して取り組んでしまうことです。この場合、親が子どもの勉強を見てしまう傾向があります。「答えはこうなるんだよ。わかった?」と子どもの理解が追いつかないまま答えを押し付けてしまったり、塾とはまったく違うアプローチで問題を解いてしまって子どもが混乱したりと、勉強のペースを乱してしまうことがあるのです。

塾の宿題をきっちりやったうえで、「もっと勉強したい」と子どもが思ったら、塾に相談してみましょう。子どもの学習ペースに合わせて、追加で宿題を出してくれるはずです。

【6年生】現時点の第一志望を決める

私の塾(桜学舎)では、6年生になった子には「現時点の具体的な第一志望を決めておこう」と伝えています。目標が明確に決まると、この先の勉強のモチベーションにつながるだけでなく、不足している知識なども見えやすくなるからです。

しかし、自分の偏差値と志望校の「偏差値の差」を気にする必要はありません。たとえば春先で偏差値の差が20ある場合でも、1か月で偏差値を2ずつ上げれば10か月で目標に届きます。このように考えられると、受験がうまくいきそうな気がしてくるものです。勉強のやる気アップにもつながるでしょう。

夏休み前後は、中だるみに注意

6月と9月の夏休み前後は、中だるみに注意が必要です。夏休み直前の6月は「あと少しで夏休みだ!」という気持ちが先行し、何となく落ち着かなくなる時期。9月は夏休み明けで勉強に身が入らず、小学校通学の疲れも重なる時期です。

【6月のポイント】夏休みの過ごし方を具体的に考える

6月の中だるみ解消には、夏休みの過ごし方を親子で話し合ってみることが大切です。夏休みの過ごし方が漠然としているとソワソワしてしまうものですが、やることが明確になると気持ちは落ち着いてきます。5年生の場合は、家族旅行の話などをしてみるとよいでしょう。受験学年の6年生の場合は、夏期講習がどんなものになるのか、どんな過ごし方をすればよいのかを塾の先生に聞いてみるのもよいですね。

【9月のポイント】学校見学でモチベーションアップ

9月の中だるみ解消には、学校見学や学園祭などのイベントに参加することが有効です。授業の様子や、先生や生徒の活気あふれる姿に触れることで、「この学校にやっぱり入りたい!」という気持ちを思い出し、受験に向けた気持ちを奮い立たせることができるのです。

秋から冬は、模試の結果に左右されすぎない

秋から冬にかけては、「あれだけ頑張ったのに模試で点数がとれない」と悩むご家庭が増える時期です。9~10月は「夏期講習で頑張ったのに成果が出ない」、11~12月は「受験前なのに成績が上がらない」といった焦りや動揺の声も増えます。これは、初めて受験を迎える多くの家庭が悩む問題です。

秋以降は、これまで以上に「踏ん張り」を

そもそも模試は、知識をひとつ入れれば点数も1上がるというような単純なものではありません。出題される問題のなかには、単純な計算から複数の単元が絡むものまで含まれているからです。

ただ秋以降は、努力がなかなか実を結ばないことが多く、苦しみながら勉強を続ける受験生も多いものです。親御さんも「ちゃんと勉強しているの?」と声をかけてしまいがちです。しかしこうした声掛けは、子どものやる気を削いでしまうので気をつけましょう。秋以降、子どもたちは今まで以上に踏ん張って勉強すること、そして親御さんはわが子の頑張りを静かに見守る姿勢がさらに求められてくるんですね。

ちなみに模試で点数をとっていくためには、日ごろから問題をたくさん解いて苦手分野を潰すことが大切です。こうした努力は一朝一夕で実を結ぶものではありません。結果がなかなか出ない日々が続いても、焦らず努力することで少しずつ力がつき、受験目前でググっとカーブを描くように成績が伸び始めることも多いのです。

子どもの成長に目を向けよう

この先の受験生活のなかで、「わが子を見ていて心配が尽きない」と不安になることもあるでしょう。しかし、子どもは確実に成長しています。もちろん子どもなので、同じペースで勉強を続けることは難しいでしょう。1年間のなかで、コンディションが大きく変わるのが“普通”なのです。「うちの子、中学受験なんてできるのかな……」と不安に思うときこそ、子どもの成長に目を向けてみてください。小さなことであっても、できるようになっていることがきっと見えてくるはずです。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。