連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

オンライン授業と教室授業、それぞれのメリット ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年6月16日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

新型コロナウイルスの影響により、多くの塾でオンライン授業が増えました。ここで一度確認したいのが、「オンライン授業」と「教室授業」それぞれが持つメリットのこと。受験生がどちらの授業を受けるにしても、できるなら有意義な時間にしたいものですよね。では、それぞれの授業のメリットを見ていきましょう。

オンライン授業のメリット

まずは、オンライン授業のメリットと、うまく活用できる子の特徴から見ていきます。逆に、オンライン授業をうまく使いこなせていない場合、どのようなポイントを意識すべきかについてもお伝えします。

さまざまなケースに柔軟に対応できる

オンライン授業のメリットは、何よりも「自宅で先生の指導が受けられる」ということです。通塾の必要がないため、塾で勉強することに抵抗のある生徒や、受験直前に風邪をひきたくない生徒にも対応できるのが良いですね。授業を録画しておけば、授業を欠席してしまった場合や、もう一度授業を見て理解を深めたい場合にも役立ちます。

私の塾(進学個別桜学舎)では数年前からオンライン授業に取り組んでいますが、特に今回のコロナ禍のなかでの授業では、教室の授業では賑やかだった生徒たちがとても静かに先生の話を聞いていたことが印象的でした。なかには「いつもよりも先生に質問がしやすい」と感じた生徒もいたようです。

オンライン授業をうまく活用できる子の特徴

オンライン授業は、普段の授業と違ってすぐ隣に先生がいるわけでもなく、手取り足取り指導を受けることもできません。そのため、わからない問題に直面したときに、どこがわからないのかを自分の言葉で説明できる力と、積極的に先生に質問をしていく姿勢が必要です。

その点、普段から大人とのコミュニケーションを楽しめている子は、オンライン授業でも緊張することなく、わからないことを聞けるのでしょう。このような子は、オンライン授業でもしっかりと力をつけている印象ですね。

ちなみに、私はオンライン授業を前向きな姿勢で受けることを「ポジティブ・オンライン」と呼んでいます。まさに、オンライン授業に前向きな子のことを指す言葉です。

オンライン授業だけでは不安が残る子の特徴

一方で、教室授業で先生に発破をかけられながら勉強に励む子は、オンライン授業で消極的になりがちです。私はこのことを、「ネガティブ・オンライン」と呼んでいます。そして、勉強に対するモチベーションが低い子は、宿題をするときに答えを見ながらやってしまったり、お母さんに答えを聞いてしまったりと、先生の見えないところで楽をしようとしてしまうこともあります。

パソコンの前に座らせておけば、親の力を借りずに勝手に勉強して実力をつけていってくれる、という子はなかなかのレアケースでしょう。そのためほとんどの受験生には、近くで見守ってくれる“現場監督”のような存在が必要不可欠です。

オンライン授業でありがちな「過干渉」

子どもの勉強には、そばでサポートする親の存在が欠かせません。しかしオンライン授業では、「親が干渉しすぎない」といった点にも特に注意が必要です。

オンライン授業になると、親御さんも気軽に“授業参観”がしやすくなるもの。ときには授業の様子を見てみるのも良いかもしれませんが、毎回やっていると子どもにとってはプレッシャーになります。子どもが問題に悩んでいるときに答えやヒントを耳打ちする様子も、意外に先生からは丸見え、なんてことも。

自分で考えて悩みながら答えを出すことも、子どもにとってのひとつの成長の機会です。問題に間違えてしまった場合でも、少し前に戻って、先生と一緒に一つひとつのプロセスを確認し、問題と向き合うことで力がついていきます。しかし、こうした学びの途中で親御さんが答えやヒントを与えてしまうと、子どもの実力は伸びにくくなってしまうのです。

親が見る範囲を、子どもと話し合っておく

「親がどこまで勉強を見るか」については、事前に親子で話し合っておく必要があります。問題集の答えは親が預かっておくのか、丸つけは親と子どものどちらがするのか、勉強の時間帯は固定するのか。こういった決まり事は、事前に設定しておくと良いでしょう。

そして、子どもが自学自習しやすいようなルールをつくったら、あとは子どもを信用して見守るのみ。授業に対するモチベーションが低かったり、受験勉強に対して前向きでない姿勢が見られたりしたときだけ、もう一度親子で話し合ってルールの再設定をおこないましょう。

教室授業のメリット

オンライン授業と違い、教室授業には、先生の目が届く範囲で指導ができる、塾生同士の連帯感が築ける、といったメリットがあります。

「理解不足」にすぐに対応できる

「子どもにテストを受けさせる」という点に関しては、オンライン授業よりも教室授業のほうが効果的な指導をしやすいですね。教室授業であれば、生徒同士で丸つけをさせたり、講師が即座に採点をしたりすることでテストをすぐに返却でき、解き直しや復習もその日のうちにできます。

理解不足の単元があれば個別に居残り補習をさせたり、追加でプリントを課したりと、生徒ごとに柔軟な指導がおこないやすいことも教室授業のメリットです。一方でオンライン授業では、プリントをPDFに変換して生徒に送って、それを生徒が印刷して ―― といった手順を踏まなくてはならず、どうしても手間がかかってしまいます。

塾の友達が、受験勉強の原動力に

教室授業のメリットのひとつとして、塾の友達ができやすいことも挙げられます。机を並べてみんなで授業を受ける、一緒にお昼ご飯を食べる、合宿で寝食を共にする。このように、生徒同士で同じ時間を多く過ごすことで、自然と連帯感が芽生えてくるものです。

そして、友達に会えることが通塾や受験勉強のモチベーションに繋がり、誰かが辛そうにしているときには励まし合って乗り越えることもできる。このようなことも、教室授業だからこそ得られる経験といえるでしょう。

子どもが前向きに勉強できる「選択」を

オンライン授業と教室授業、それぞれのメリットをお伝えしてきましたが、忘れてほしくないのは、どちらも“ツール”でしかないということ。そのため「どちらが優れているか」ではなく、「子どもが前向きに勉強するためにはどうすればいいか」を考えていくことが大切です。その点を意識しつつ、子どもの成長にふさわしい選択をしてほしいと思います。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。