ワ―キングマザー 子どもの中学受験と仕事、どう両立?|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと
中学受験は、親子二人三脚で行うレースだとよく言われます。塾の送り迎え、お弁当作りなど、時間に余裕がある人でないとできないのでは? と思っている人も多いかもしれません。もちろん小学生が取り組むことですから、親の手助けは必要です。でも、仕事を続けながらお子さんの中学受験に臨む人はたくさんいます。どんな工夫をしたのでしょうか。実例を交えながら考えていきましょう。
勉強は塾で完結できるところを選んだ
働きながら子どもの中学受験を経験した、あるお母さまの話です。その方は仕事をしつつ、子どもの中学受験を経験したママ友・会社の先輩から経験談を聞いたそうです。その結果、共働きの家庭で中学受験を成功させるには、塾選びが重要と悟ったといいます。
そして子どもが一人でも通える範囲内で、勉強をある程度お任せできる地元密着型の中規模塾を選びました。その塾は、小学校4年生から週に3日、平日は17時から20時まで、土曜は午後半日。6年生になると日曜日もありました。授業が終わった後に自習時間もあり、その日の課題を塾で終わらせることができたそうです。
この方は当時を振り返って「塾にいる時間が長いので、大丈夫かな……と心配しましたが、塾でしっかりとみてもらえたので、家庭学習の負担は少なく、仕事をしながらでも続けられました。授業料はそれなりにかかりましたが、親はお弁当づくりと、受験校選びに注力すればよかったので、負担が少なく安心して仕事も続けられました」と話してくださいました。
中学受験専用の塾といっても、塾によって特徴が大きく変わります。選択を間違えると、うまくいくこともいかなくなるかもしれません。私がこれまで取材した事例では、共働きの場合、大規模塾よりも親の負担が大きくなくフォローが手厚い塾を選んだほうがうまくいく事が多いようです。進学実績や周りの評判だけでなく、家庭の事情、お子さんのタイプ、目指すゴールをよく考えて塾を選択しましょう。
受験をお子さんの自律心を育てる機会に。親はコーチになろう。
忙しい共働き家庭でも、お子さんに合った無理のない受験を心掛けていれば十分に対応できます。むしろ、親がいなくても子ども自身で勉強を進めていけるようになれば、その後の子どもの自立にもつながります。そのためにも、中学受験をお子さんの自律心を育てる機会にしてほしいと思います。
そのためにはどうすればいいでしょうか? 私がおすすめしたいのは、親がコーチになるということです。コーチと聞いて思い浮かべるのは、スポーツのコーチですよね。選手が最大のパフォーマンスを出せるように、練習メニューを考えたり、やる気がでるような声掛けなど、さまざまなサポートを行います。でも、コーチが試合に出ることはありません。中学受験も同じです。最終的に受験会場で戦うのは子ども自身です。本番でしっかりと持っている力を発揮できるように、子どもに寄り添いサポートをするのが、コーチとしての親の仕事です。
特に中学受験は、その多くが3年間という長い時間をかけて臨みます。その間は当然うまくいくことだけではないでしょう。思うような結果が出なかったり、子どもが勉強をしなくてイライラしたり、さまざまな試練が訪れると思います。渦中にいると辛いかもしれませんが、その一つひとつがお子さんを、そして親としての皆さんを成長させる貴重な機会です。ぜひお子さんのことを試合に臨む選手と見立てて、どうしたら持っている力を伸ばすことができるかを第三者の目を持って客観的に考えてください。
実際、あるお母さんは、日頃の勉強は子どもに任せていましたが、お子さんと話をする時間を意識してとっていたそうです。
そのときに話していたことは、
①目標を定めるために学校情報を集める。それを、お子さんに見せて一緒に仮の目標を定める
②その目標に向かうために、どうすればいいのかを一緒に考える
③時々現状を振り返りながら、うまくいっていなければ計画を見直す
③励ます
というサイクルを回して乗り切ったそうです。これは職場でのプロジェクト推進や、部下育てにも通じることだと思います。むしろ働いている方のほうが取り組みやすいかもしれません。
仕事を続けながらお子さんの中学受験をサポートするのは楽なことではありません。しかし、そうした状況でもどうすれば最善の結果をもたらすことができるか、知恵を絞ればきっと打開策は見つかります。仕事を辞めたほうがいいのか悩むこともあるかもしれませんが、将来の学費もかかるため、辞める選択ができないご家庭もあるでしょう。極論ですが中学受験は1度で終わります。中学生・高校生と子供が成長すればどんどん親の手を離れていきます。ご自身のキャリアも大切にされながら、お子さんと一緒に成長をする機会としてください。
これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと』
※記事の内容は執筆時点のものです
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