中学受験ノウハウ 中学受験をするかどうか

中学受験を通じて得られる「合格以外の価値」とは?

2020年8月25日 石井知哉

中学受験に取り組む親子は、合格をめざして日々の努力を重ねます。では、不合格なら中学受験は無意味なのでしょうか? 少し立ち止まって考えてみましょう。

受験勉強から得られる価値

結果は別にして、中学受験合格に向けた勉強から得られるものがあります。

・ハイレベルな基礎学力
・教科書をこえた知識や理解
・ペーパーテストの得点力と集中力
・本番を通じて鍛えられる精神力

ハイレベルな基礎学力

中学入試では、小学校の教科書で学習する全範囲が出題されます。国語・算数・理科・社会の4教科で基礎力も応用力も求められ、公立高校の入試以上に細かい知識が問われることもあります。このように広く、そして深く勉強を重ねることで、小学校で学習する内容が高いレベルで身につくのです。中学校で学ぶ内容の先取りができるメリットもあります。

教科書をこえた知識や理解

近年、知識問題だけでなく、思考力や判断力、表現力を求める問題を出す中学校が増えています。解法パターンを当てはめれば答えを出せる“教科書的な問題”とはちがい、おとなでも苦戦する問題が多く、ときには柔軟な頭をもつ子供のほうがうまく解けることも。中学や高校では触れないような問題もたくさんあり、中学受験生にしか経験できない学びがあります。

ペーパーテストの得点力と集中力

中学受験生は、塾の月例テストや合否判定の模擬テストなど、数多くのペーパーテスト経験することになります。制限時間のかぎり問題にぶつかり、頭をフル回転させることで鍛えられる得点力と集中力は、その後の人生のさまざまな場面で役立ちます。

本番を通じて鍛えられる精神力

受験勉強の成果を発揮するためには、入試本番を乗りこえる必要があります。「わずか1点の差で合格・不合格が分かれる」というプレッシャーは、小学6年生にとっては過酷なもの。しかし、そのプレッシャーに向き合いつつ全力を尽くすことで、精神的にも成長していくのです。

「第1志望不合格」だからこそ得られるもの

惜しくも涙をのみ、第2志望校に入学することになった受験生にしか得られない価値もあります。

入試は、入学後の授業について行けるかどうかを試すものです。したがって第1志望校に落ちて第2志望校に受かったのであれば、その学校こそが「子供に合った学校」ともいえます。そのような学校で中高6年間学べることは、子供にとって幸せなことだとも考えられるのです。

「第1志望校の試験に落ちた」という挫折は、長期的には良い面もあります。必死になって受験勉強を積み重ねても、敵わない相手が同年代にいる――。こうした実感を通じて、「上には上がいる」という世界の広さを身をもって知ることになるでしょう。そして受験の悔しさは、さらなる努力のモチベーションとなり、中学入学後の成長の原動力にもなります。

合格をつかみ取れなくても、価値はある

受験校に1校も受からない、いわゆる「全滅」は避けたいですよね。合格発表の掲示板を前に、周囲の受験生が満面の笑みでガッツポーズを掲げる一方で、不合格をつきつけられる。頭が真っ白になるようなシーンを味わうのは、親子にとって大きな苦痛かもしれません。

しかし、それでも中学受験は決して無意味ではありません。たしかに、合格は「中学受験の目標」ですが、長い人生における関門のひとつ。人生の目的ではありません。中学受験後も勉強は続きます。楽しい時間を過ごす友だちを横目に、遊びたい気持ちをこらえて放課後や休日も勉強に励んだ日々。それによって鍛えた学力や精神力はかなりのもので、地元の公立中学に進学した後の“強い武器”になります。

私が知る限り、「全滅」というショックを受け止め、地元の公立中学で3年間学年トップをキープした子もいます。その子は、中学受験時に第1志望だった学校を偏差値で大きく上回る最難関国立高校に合格。そして現役で最難関の国立大学に進学し、「あのとき中学受験に受かっていたら、今の自分はなかったかも」と語っています。

結局は、受け止め方次第です。中学受験が全滅でも、それを糧(かて)に大きく成長できたのであれば、「中学受験の勝者」 と呼べるのではないでしょうか。

とらえ方次第で価値は見出せる

「結果良ければすべて良し」という格言は、中学受験においても当てはまります。しかし「結果悪ければすべて悪し」というわけではありません。中学受験は、人生の壁のひとつ。大切なのは、経験を次にどう生かしていくかです。とらえ方次第で、中学受験に「合格以外の価値」を見出すこともできるのです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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