【中学受験の理科攻略】心臓のつくり ―― 動脈・静脈の知識も深めよう
心臓と、心臓につながる血管のつくりはなかなか複雑です。各部分の名前を覚えたり、問題を解いたりする前に、まずは心臓のつくり全体のイメージをつけることで効率的に学習を進めていきましょう。
心臓の位置は?
「心臓はどのあたりにあるかな?」
この質問をすると、多くの子が自分の左胸を指差します。たしかに、胸の中心から指2本分ほど左下をさわってみると、ドクドクという心臓の動きを感じますよね。しかし実際のところ、心臓は胸の真ん中くらいの場所に位置しています。真ん中あたりをさわっても心臓の動きが感じられないのは、ドクドクと動く部分は「左心室 (心臓の左下の部屋)」にあたるからです。
心臓のつくり
心臓は、上下2段のつくりになっています。心臓の下の部屋は、血液を送り出す場所で、広いつくりになっていることから「室」。心臓の上の部屋は、血液が戻ってくる場所で、狭いつくりになっていることから「房(ぼう)」と呼ばれています。ちなみに房は、厨房・独房など「狭い部屋」を意味するときに使われる漢字です。そして心臓の左下の部屋(正面から見ると右下)は、心臓の左の広いところ(室)なので「左心室」と呼ばれます。
そもそも、私たちの身体の「左右」とは、自分から見てどちらの方向にあるかで決まります。たとえば、自分から見たときに右側にある手が右手、左側にある手が左手といった具合です。同様に心臓の左心室も、自分から見て左の位置にあるため「左心室」と名がつきます。この場合、ほかの人を正面から見ると、見た目上は左右が入れ替わってしまいますが、名称はあくまで自分から見たときの左右で決まります。混乱しがちなポイントですが、確実に押さえておきましょう。
心臓の血液の流れ ―― 4つの「脈」を理解しよう
下の図をもとに、心臓を通る血液の流れをみていきましょう。
①大動脈
左心室を出た血液は、全身に向かって酸素や栄養分を運びます。心臓から出ていく血液のため流れに勢いがあり、血管も太いため、左心室の血管は「大動脈」と呼ばれます。
②大静脈
全身を巡った血液は、右心房(右上の部屋)に戻ります。このとき通ってくる血管は太く、血液の勢いは弱いので「大静脈」と呼ばれます。
③肺動脈
右心室(右下の部屋)に運ばれた血液は、酸素を補給するため肺に向かいます。心臓から出ていく血液は勢いがあり、肺につながる血管でもあることから「肺動脈」と呼ばれます。
④肺静脈
肺動脈を通って酸素を補給した血液は、左心房(左下の部屋)に戻ります。このとき血液が通る血管が「肺静脈」です。心臓に戻った血液は、酸素を運ぶため、再び大動脈を通り全身に流れていきます。
「動く」動脈と、「動かない」静脈
血液は、心臓から全身に送られ、心臓に戻ってくるという流れをくり返しています。心臓から出ていく血液は勢いが強いため、血管がぴくぴくと動きます。この“ぴくぴく動く”血管を「動脈」といいます。逆に血液が心臓に戻ってくるときは、後ろから来る血液に押されてゆっくりと戻ってくるため、血管のぴくぴくとした動きはほとんど見られません。この血管を「静脈」といいます。
動脈と静脈では、血管のつくりも異なります。動脈は血液が勢いよく流れるため、血管の壁が厚いのが特徴です。一方で静脈には、逆流を防ぐためのしくみ(弁)があります。また、身体の表面に出ている血管はほとんどが静脈ですが、皮膚の上からさわっても脈の動きを感じることはできません。しかし、手首などの皮膚は表面近くに動脈が通っているため、さわると脈の動きを感じることができます。
「名前のルール」を理解しよう
心臓のつくりと、心臓を通る血管の名称は「ルール」をもとに名付けられています。名前のルールを理解したあとは、心臓の左心室から始まる血液の流れをイメージすることで、単純な暗記に比べてラクに、そして応用がきく知識を身につけることができるでしょう
※記事の内容は執筆時点のものです
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