中学受験ノウハウ 親の関わり方

中学受験が「家族の一大プロジェクト」と言われる理由

2021年1月07日 石井知哉

中学受験は「家族の一大プロジェクト」と言われます。試験を受けるのは受験生本人なのに、なぜ家族の関わりが重要な意味をもつのでしょうか? これから受験をめざすうえで大切な「家族の役割」について解説します。

中学受験は「家族の団体競技」

中学受験の主役、それは受験生本人です。しかし受験生ひとりだけでは、合格を勝ち取ることはできません。

たとえばスポーツの世界では、プレーをする選手のほかにも、選手を指導するコーチ、そして作戦を立てる監督など、試合の勝ち負けを左右する重要な役割をもった人が多くいます。中学受験で考えると「選手」は受験生、技術面の指導をする「コーチ」は塾の先生や家庭教師、そして選手のスケジュールやコンディションを管理する「監督」は親にあたるでしょう。

さらに言えば、受験生を見守り応援する兄弟や祖父母は「サポーター」ともいえます。サポーターからの応援がスポーツ選手に力を与えてくれるように、受験生にとっても周囲からの応援は大きな支えになるのです。このように、周囲のサポートとチームワークは、受験生を支えるうえでとても重要な意味をもちます。

親の役割

では、家族はどのようにして受験生を支えていくべきでしょうか? まず、親には次の3つの役割があります。

  • 経済面のマネジメント
  • 学習・生活面のサポート
  • 精神面のフォロー

経済面のマネジメント

中学受験を考える場合、入学金や授業料といった学費の用意はもちろん、併願校も含めた受験料の用意も必要です。塾や家庭教師、模擬テストなど、合格に向けた学習環境を整えるための費用を準備しておく必要もあります。

学習・生活面のサポート

塾通いが始まると子供は忙しい日々を送るため、親がスケジュールを管理する場面が出てきます。学年が上がると夕食の時間を塾で過ごすことも多いため、お弁当を用意する時間や手間もかかってくるでしょう。帰りが遅くなると塾にお迎えに行く必要もあり、春休みや夏休み、冬休みには塾の季節講習や正月特訓もあります。旅行やお出かけなど、家族で毎年楽しみにしている恒例行事をあきらめる必要が出るかもしれません。

精神面のフォロー

テストの点数が落ちたり、塾のクラス落ちを経験したりと、受験生には多くのプレッシャーがのしかかります。しかし、受験生といってもまだまだ小学生。学力が高い子でも、メンタルがくずれると途端に成績が急降下することもあります。入試が近づくと親も大変な時期を迎えますが、冷静な心、そして暖かい心を忘れず、子供の精神面を支えてあげることも大切な役割のひとつです。

兄弟・姉妹は「サポーター」だけど……

受験生を支えるのは、親だけではありません。兄弟・姉妹にも、受験生の「サポーター」という大切な役割があります。しかし、兄弟・姉妹もまだまだ子供。ナイーブな一面もあります。親の目は受験生にばかり向きがちですが、ほかの兄弟へのケアがおろそかになると、弟の受験を素直に応援できなかったり、家庭内がギクシャクして受験生本人にストレスが溜まったりと、マイナスの影響が及ぶことも多いのです。

お兄ちゃん、お姉ちゃんがいる家庭

年上とはいえ、お兄ちゃんやお姉ちゃんも“子供”に違いありません。弟や妹の受験で両親が大変なことは理解しているものの、親の目が自分に向かないことに寂しさは感じるものです。「年上だからガマンしないと……」と考え、本音を表に出さないこともありますが、こうした気持ちを汲み取り、可能な限り目を向けてあげましょう。まずは短い時間でも良いので話を聴く時間をつくったり、こまめに声をかけたり、表情をよく見たりと、日常生活のなかで目を向ける工夫をしてみてください。

ちなみにお兄ちゃんは公立中学に進み、中学受験をしなかったケースや、中学受験はしたものの望ましい結果が得られなかったケースには特に気をつけましょう。この場合、下の子と上の子を比べてしまうと、上の子は劣等感や疎外感を覚えてしまう可能性があるので注意が必要です。

弟、妹がいる家庭

弟や妹には、特に直接的なケアが必要です。親が受験生にばかり一生懸命で、自分にかまってくれないと気を引こうとし、受験生のお姉ちゃんのテキストに落書きしたり、ノートを破いたりとイタズラをすることも……。こうした場合、下の子を「応援隊リーダー」に任命してあげるのも意外と効果的です。“サポーター代表”として、活躍の場を用意してあげるのですね。

たとえば、お兄ちゃん・お姉ちゃんが休憩しているときに軽食や飲み物を届けたり、塾や模試へ向かう前に「がんばってね!」と声をかけたりと、下の子でもできる役割を積極的に与えてみてください。小学校のなかでも、「○○係」「△△当番」といった “称号” を与えられるとやる気がアップし、自ら進んでみんなの役に立つ行動を起こす子も多いものです。小さい子にとって、自分が活躍できる場所、役割があることは自己肯定感にもプラスに働きます。そして自分の役割を一生懸命果たした子に対しては、親がきちんとその頑張りを褒めてあげてください。

・自分のことを見てくれている
・家族の役に立てている

このような気持ちをもてると、下の子たちは「自分のことも認めて欲しい」という欲求が満たされます。そして何より、下の子からの気持ちのこもった応援は、お兄ちゃん・お姉ちゃんの心強い後押しになるのです。

「孤独にさせない」サポートを

中学受験は、受験生の努力次第で結果が決まる「孤独な闘い」という一面があります。しかし、その闘いを乗りきるためには周囲のサポートが欠かせません。そして、まだまだ10歳前後の子が大きな壁を乗り越えるためには、家族一丸となって受験生を見守り、ときに力強く背中を押し、受験生を“孤独にさせないこと”も特に重要な意味を持つのです。これこそ、まさに中学受験が「家族の一大プロジェクト」と言われる理由といえるのですね。

※記事の内容は執筆時点のものです

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