連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

中学受験のスタートを切った親御さんへ ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2021年2月10日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

中学受験は、2月が学年の切り替わりの時期。受験生として塾通いをスタートしたお子さんも多いことでしょう。これから続く中学受験では、子ども自身の頑張りはもちろん、親御さんのサポートも大きな意味をもってきます。受験を始めたばかりの方に向け、私が最近特に大切だと感じているふたつのポイントをお伝えします。

・「受験ノート」をつくる
・オンライン授業は万能ではない

「受験ノート」をつくる

これから先の日々は、決して平坦な道ではありません。行き詰まったり、悩んだりするのは当たり前。そんな壁にぶつかったときのために、親御さんにつくってほしいのが「受験ノート」です。受験ノートとは、中学受験の道のりを振り返る“忘備録”のようなもの。そして受験ノートの1ページ目には、「受験のコンセプト」を書いておきましょう。

どうして中学受験をさせたいのか、どんな中学生活を過ごしてほしいのか、行かせたい学校はどこか ――。こうした「受験コンセプト」を1ページ目に書いてほしい理由は、壁にぶつかったとき、不安なときにノートを開くと“原点”を思い出せるからです。

受験の目的が曖昧なまま突き進んでしまうと、親子揃って道に迷うことになります。何をゴールとするか決めずに塾に通わせていても、子どものモチベーションは上がりません。そして「受験をさせる目的を忘れない」と心に誓っていても、色々な情報に触れるなかで、その目的を忘れていってしまうのが中学受験というものです。

そこで、中学受験を始めたときの気持ちをいつでも見返せるように、ノートの一番はじめに「受験コンセプト」を記しておいてほしいのです。悩んだら、いつでもこのページに立ち返る。そうすると、抱えている問題との向き合い方に違いが出てきます。いつの間にか、自分のなかの受験方針が変わっていたことに気づくこともあるでしょう。さまざまな選択肢を比較検討する場面でも、コンセプトをもとに考えることで判断がしやすくなるはずです。

2ページ目からは「一言日記」を

受験ノートの2ページ目以降には、月に一度でも良いので、受験生活で感じたこと、出来事などを記録していくのがおすすめです。「今月の模試は、目標の偏差値がはじめて達成できた!」「成績が全然伸びない……」「前より算数ができるようになってきたかも」など、一言でも構いません。どんな内容でもOKです。これらのページを後々見返してみると、「なんとなく成長しているかなぁ」といった感覚値ではなく、子どもの成長がしっかりと目に見えるようになります。

受験生活を送っていると、暗闇のなかを手探りで進むような感覚に陥ることがあるものです。「ウチの子は大丈夫かな……」と焦ることもあるでしょう。こうしたとき、子どもの成長を定期的に記しておくと、「受験コンセプト」と同じく、困ったときや、壁にぶつかったときに前を向くきっかけを与えてくれるはずです。

オンライン授業は万能ではない

この1年、多くの塾でオンライン授業が導入されました。私の塾(進学個別桜学舎)ではコロナ禍以前から活用していましたが、改めて感じるのは、オンライン授業は「万能ではない」ということです。

大手塾で難関校を目指す子のように、講義中心の授業だけでもすんなり理解できるような子は、オンラインでも問題ないかもしれません。一方で学力の基盤がまだ整っていない子の場合、講義中心の授業だけでは理解を深めるのがどうしても難しいのです。特に、勉強に自信がない子は、先生にこまめにヒントをもらいながら正解にたどり着いていくのが基本。一見するとアナログに見えても、対面授業で机のあいだを回っている先生から「この漢字、ハネるのを忘れてるよ」「ここの計算式、掛け算が抜けてるよ」といった声掛けを受けるのが、結局は効率的かつ堅実な勉強方法といえるのです。

その点、オンライン授業では、こうした“距離の近いケア”は実現できません。テストの採点をするにも、生徒が答案をカメラの前で見せる、その答案が映し出されたスクリーンを見て講師が〇×を伝える、といったように時間がかかります。通信の影響で画質が悪い場合には、答え合わせそのものも困難です。

もちろん塾に足を運ばなくて済む、資料の送付がスムーズ、といったメリットはオンライン授業にはあります。しかし、オンライン授業を過信しすぎるのは禁物。「ウチの子にはオンラインが合っているかな」といった視点を、まずは持つようにしてみてください。ちなみに今年の入試前、私の塾では「塾で授業が受けたい!」「先生と勉強がしたい!」と話す子が多かったですね。質問をすれば先生がすぐに答えてくれること、ほかの子と切磋琢磨し合えることで、勉強のモチベーションが上がった子も多かったようです。

わが子に合った中学受験を

受験生活をどのように過ごすか、これは家族によって千差万別です。「これさえやっておけば絶対にうまくいく」「これをやらなかったら合格できない」といったものは、残念ながら存在しません。ただし、子ども一人ひとりに適した学習スタイルや目標といったものはあります。そして子どもの性格や特徴を一番近くで知っているのは、親御さんです。中学受験の道のりは、まだまだ始まったばかり。スタートを切った今だからこそ、わが子に合った中学受験についてじっくりと考えてみてください。

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主催:進学個別桜学舎


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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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