中学受験ノウハウ 勉強法

【中学受験】帰国枠入試で押さえたい3つのポイント

2021年3月11日 上原りさ

0

「帰国枠入試に興味があるけど、どんな試験かわからない……」と悩んでいませんか? 帰国枠入試の受験指導、そしてさまざまな海外経験をもつ家庭にレッスン・カウンセリングをしてきた私の経験をもとに、帰国枠入試を受けるうえで押さえておきたいポイントをお伝えします。

※学校によっては「帰国生入試」など呼び方が異なる場合があります

ポイント[1]帰国子女の条件

まず、一口に「海外滞在経験がある」といっても、子供が何歳で海外生活を始め、どのタイミングで帰国したか。日本人学校の生徒だったのか、それともインターナショナルスクールの生徒だったのか、など背景はさまざまです。そして帰国枠入試を設けている中学校によって、帰国子女の条件は微妙に異なります。そのため、気になる学校の帰国子女の条件はあらかじめ調べておくことが大切です。学校によっては最低限の情報しかホームページに載せていない可能性もあるため、学校に直接確認してみることも考えてみましょう。

なお、帰国子女の一般的な条件は次のとおりです。

■満たすべきとされる帰国子女の条件(例)
・海外に2年以上住んでいた
・帰国してから2年以上経っていない

たとえば「生まれてすぐにアメリカに渡航し、小学校に入学する直前に日本に帰国した」というケースの場合、海外滞在歴は長いですが、6年生の時点では日本で2年以上過ごしていることになります。この場合、学校によっては帰国枠入試で受験することは難しいかもしれません。

ポイント[2]受験科目

中学受験の帰国枠入試は、高校受験の帰国枠入試と比べても多種多様です。なかでも特徴的なのが受験科目。たとえば中学受験の帰国枠入試には、次のような受験方式があります。

■中学受験の帰国枠入試(一部)
・1科目(算数のみ)
・2科目(国語、算数のみ)
・4科目(国語、算数、理科、社会)
※英作文や面接、プレゼンテーションが課される学校もあります

このように、中学校ごとに独自の帰国枠入試を実施しています。そのため、受験科目をあらかじめ調べておくことが大切です。

英語対策

帰国枠入試では、科目のひとつに「英語」を課す学校もあります。この場合、私がおすすめしたいのは英検の取得です。英検3級以上になると一次試験で英作文、そして二次試験ではスピーキング力を問う試験が実施されるため、帰国枠入試の対策につながるからです(※)。特に2級または準1級まで取得できていると、帰国枠入試ではかなり強みになります。

海外で英語を学ぶ子は、ネイティブの英語には馴染みがある一方で、日本の英語教育で求められる英文法に慣れていない傾向があります。その点、英検取得に向けた勉強を続けると、日本の受験で必要とされる英文法の理解も深められるのです。

※2021年3月時点/英検4級・5級でも、試験とは別に「スピーキングテスト」を実施

ポイント[3]難関校の帰国枠入試

難関校の帰国枠入試に挑戦する場合には、一般枠で合格する子と同じような対策が必要です。そのため海外滞在中または帰国後の子であっても、帰国枠入試を対策してくれる塾に通うのは必須といえます。特に難関校の複数受験を目指すのであれば、主要4科目に加え、英語を含む5科目の対策が必要です。

2021年入試でみると、早稲田中学や早稲田実業中等部などのように、一般入試と同じ日に、同じ入試問題でおこなわれる帰国枠入試を受ける場合には理科・社会の対策が必須となります。英語以外の科目にも真剣に取り組む必要があるため、塾に通わずに自宅学習だけで合格をつかみ取るのは難しいでしょう。一方で慶應義塾湘南藤沢中等部(帰国生入試)や同志社国際中学(B選考)のように、国語・算数に加えて理科・社会・英語から受験科目を選択できる学校の受験に絞れば、国語・算数とは別に英語だけを対策するのもひとつの手といえます。

ちなみに私自身、海外生活が長い子と接するなかで、その子の性格や考え方が「住んでいた国の文化の影響を受けているな」と感じることが多々ありました。このような子に対しては、その子が培ってきたパーソナリティを尊重しつつ、一方で志望する学校が求める「生徒像」も踏まえながら指導・カウンセリングをおこなってきましたが、こうした指導は帰国枠入試のノウハウが蓄積されていないと難しいのも事実です。特に難関校に挑戦する場合には、帰国枠入試の指導実績が多い塾で十分に対策をしていくことをおすすめします。

まとめ

あくまで私の印象ではありますが、志望する学校の帰国枠入試の形態に合わせて対策している子のほうが、一般枠で受験する子よりも合格を手にしやすい傾向があります。ただし中学受験の帰国枠入試は多種多様です。入試形態に沿った対策を進められるように、まずは学校ごとの情報を入念に調べ、本番の入試で子供の力が発揮できるように準備を進めていきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

0