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【栄養士解説】GWで崩れた食事バランス回復のために心掛けたいこと

2021年5月07日 鬼澤可奈

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GW(ゴールデンウイーク)で外食が続き、子供の食事バランスが崩れていませんか? 偏った食事では体調を崩しやすく、「ここぞ!」というときに力を発揮できません。不規則な生活に慣れてしまった身体をいつもの生活に戻すためには食事を見直すことが大切です。栄養士の視点をもとに、GWで崩れた食事バランス回復のために心掛けたいことを解説します。

バランスの良い食事が健康への近道

昨今、便秘には食物繊維、貧血には鉄分など、さまざまな栄養情報に接する機会が増えてきましたよね。ただし、特定の栄養素を摂れば健康になれるとは限りません。栄養素や栄養成分は単体ではその機能を発揮せず、いくつか作用し合ってはじめて働くものだからです。そのため栄養が偏ってしまうと、身体に不調が起きやすくなります。そこで、まずは特定の栄養素にこだわるよりも、栄養バランスの良い食事を規則正しくとることが健康への一番の近道といえます。

「彩り」で考えてみる

食事の栄養バランスを整える方法として挙げられるのが、「彩り」です。具体的には、白・赤・緑・黄色・黒の食材を使って彩りの良い食材で料理をつくることで、自然と栄養バランスが整っていきます。そして“カラフルな食卓”は見た目も良く、子どもの食欲が増大することも期待できます。

ちなみに、1食だけでなく1日3食を通して彩りのバランスを考え、調理法が重複しないように気をつけましょう。また、食卓に「色」をただ入れるのではなく、赤い食材は鮮やか過ぎることがあるので抑えめにして白や緑、黒を多めに混ぜる、といったことを考えていくとバランスがとれた食事に近づいていきます。

食卓に載せたい「5色の食材」

白(白米、パン、乳製品、野菜など)
代表的な食材:ご飯、うどん、牛乳、ヨーグルト、白菜、大根、バナナ、りんご

赤(肉類、野菜、フルーツなど)
代表的な食材:牛肉、豚肉、ハム、鮭、カツオ、マグロ、トマト、人参、イチゴ

緑(野菜、果物など)
代表的な食材:小松菜、ほうれん草、ピーマン、ブロッコリー、グリーンアスパラガス、レタス、キウイフルーツ

黄色(卵、大豆、野菜など)
代表的な食材:卵、納豆、チーズ、とうもろこし、中華めん、かぼちゃ、さつまいも、グレープフルーツ

黒(海藻、きのこなど)
代表的な食材:わかめ、こんぶ、のり、しいたけ、きくらげ、黒ゴマ、黒豆、レーズン、ブルーベリー

胃腸が疲れているときは消化の良い食事を

GWなどの大型連休はどうしても食べ過ぎてしまったり、油っこい食事が続いてしまったりしますよね。こうしたときは胃腸が疲れている可能性があるので、なるべく消化の良い食事をとるようにしましょう。一時的な胃もたれの場合には、まずはお腹が空くまで胃を休めることが大切です。このときも、水分補給は忘れずにおこなってくださいね。

胃腸が疲れているときのおすすめ食材
長いも、キャベツ、グリーンアスパラ、豆腐、バナナ、大根、シジミ、トマトジュース

胃腸が疲れているときは、脂(あぶら)の多い肉や、食物繊維が多くてかたい野菜はできるだけ控えましょう。一方で、タンパク質は胃粘膜の材料になるので必要不可欠。脂質が少なく、消化吸収しやすい大豆原料のタンパク質などがおすすめです。胃粘膜を保護する働きがある「ぬめり成分」を持つ長いもやオクラ、胃粘膜の修復作用が期待されるビタミンUを豊富に持つキャベツやブロッコリーも食卓に添えられると良いですね。

また大根には、でんぶんを分解するアミラーゼや、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素が含まれています。こうした酵素は食べ物の消化を促進してくれる働きがあるため、胃腸が疲れたときは大根もおすすめです。ただしアミラーゼは熱に弱いので、加熱せずに大根おろしにして食べるのが効果的です。

胃腸が疲れているときのおすすめレシピ

胃腸が疲れているときのおすすめレシピを紹介します。簡単にできるので、ぜひつくってみてくださいね。

大豆入り和風グラタン

材料(2~3人分)
グリーンアスパラガス100g【A】
厚揚げ150g【A】
ゆで大豆50g【A】
塩胡椒 適量【A】
薄力粉 大さじ2
牛乳 200ml
味噌 小さじ2
パン粉 適量

<作り方>

  1. グリーンアスパラガスはななめに切り、厚揚げは油抜きをして3cmくらいの色紙切りにしておく
  2. 【A】を油で炒め、十分に火が通ったら薄力粉を入れて炒める
  3. 薄力粉の粉っぽさがなくなったら牛乳を入れ、弱火で炒める
  4. 味噌で味を整えたら、油を塗った耐熱容器に入れてパン粉をふり、オーブントースターで焼く

規則正しい生活を取り戻すために

成長期の子供にとって、規則正しい生活リズムや食生活は「健康の原点」ともいわれます。規則正しい生活を送ると心身ともに健康になるだけでなく、ふだんの勉強にも集中して取り組めるようになるのでぜひ意識したいところです。そのうえで、もしもGWで生活リズムが崩れてしまった場合には次の2点を心掛けてみましょう。

  • 朝ごはんを食べる
  • 間食をとり過ぎない

朝ごはんを食べる

GWで夜型の生活が定着して、就寝時間が遅くなっていませんか? 朝ごはんを食べない子が増えているともいわれますが、朝ごはんを食べないとエネルギー不足になるだけでなく、栄養バランスが崩れて集中力が低下したり、「疲れやすい」といった不定愁訴(※)が起きやすくなったりします。

一方で朝ごはんを食べると腸が動き始め、排便を促してくれるというメリットも。生活や食事のリズムが整えやすくなるので、毎日を元気いっぱいに過ごせますよ。

※不定愁訴(ふていしゅうそ):「疲労感が取れない」「よく眠れない」といった“なんとなく体調が悪い”症状があるものの、その原因となる病気が見つからない状態

間食をとり過ぎない

GWで学校がお休みだと、ついついお菓子を食べ過ぎてしまった子も多いかもしれません。お菓子をはじめとする間食には気分転換やストレス発散の効果があるといわれますが、特にお菓子には脂質や糖質、塩分が多く含まれているためエネルギーの過剰摂取につながってしまうことがあります。そのため規則正しい生活を取り戻すうえでは、日常の食事でとりにくいフルーツや乳製品を間食にするのがおすすめです。こうした間食もふだんの食事に影響をしない程度の量にすると、より健康的な食生活を送れますよ。

規則正しい生活は毎日の習慣から

心身ともに成長している子供にとって、食生活をはじめとした規則正しい生活は大人以上に大切です。集中して勉強するためにも、GWなどの長期休みだけでなく、学校が休みの日も朝寝坊をせず、決まった時間に朝ごはんを食べる、といった習慣も身につけていけると良いですね。

※記事の内容は執筆時点のものです

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