学習 国語

国語の長文読解が苦手なわが子。親は何から手をつければいい?

2021年5月11日 石井知哉

多くの中学受験生を悩ませるのが、国語の長文読解。ほぼすべての学校が国語の入試で長文読解を出題するため、苦手な子の場合にはどうしても不安が残ります。「子供は勉強をがんばっているように見えるけど、長文読解ができなくて……」と悩む親御さんに向け、解決のヒントをお伝えします。

まずはつまずきの原因を知る

問題を解いているだけでは苦手は克服できません。まずは長文読解のどこにつまずいているのか、その原因を発見しましょう。苦手としている理由がわかれば解決の糸口が見えてきます。

具体的には次にお伝えするステップを参考に、どのタイミングでつまずいているか確認してみてください。

長文読解の3つのステップ

長文読解で正解にたどりつくためには、大きく3つのステップを踏む必要があります。どれかひとつでもつまずくと正解は導けません。

ステップ1 ―― 本文を読み正しく理解する

最初のステップは、本文の内容を正確に読み取ることです。ここで気をつけたいのは、「読解」という言葉が意味することをしっかり理解すること。

そもそも読解とは、文字通り「読んで理解する」という意味。つまり読解問題で必要なのは、書いてある文字に目を通して意味をくみとり、筆者が伝えたいことを理解するということです。ところが子供は「書いてある文字を声に出す」こと、つまり「音読する」ことが読むことだと思いがち。もちろん音読は読解の第一歩ですが、本文の内容が頭に入ってこなければ問題は解けません。

そのためまずは、本文を音読することなく文章の内容を理解できるまで練習しましょう。

ステップ2 ―― 設問を正確にとらえる

次のステップは、設問を正確に理解すること。ここで大切なのは、出題者が何をきいているかを正しく受けとめることです。

そもそも設問とは、出題者からの「注文(オーダー)」のようなもの。たとえばレストランでも通販でも、注文されたものと違うものを届けてしまうのはNGですよね。長文読解の設問も、これと一緒。つまり設問を正確にとらえられていないと、出題者の意図(注文)に沿った正解ができません。結果として“お届けミス”、つまり不正解となってしまうのです。

ちなみに長文読解が苦手な子のなかには、考えている途中で設問の内容を忘れてしまう子がいます。せっかく本文が正しく読めているのにもったいないです。こうしたミスも、問われている内容をとらえることにしっかりと意識を向ければ減らすことができます。

ステップ3 ―― 適切に答える

最後のステップは、設問に適切に答えること。このときのポイントは、本文の内容に沿って考えるということです。

たとえば記号で答える問題の場合、選択肢のなかに“もっともらしい”内容のものがあると、多くの子はその選択肢だけに目が行きがち。特に、常識や自分の考えに近いものを選んでしまう子が多いですね。しかし長文読解が求めているのは、筆者が述べていることを正しく理解し、それに沿って答える力。そのためたとえ一般的な常識や、受験生個人の意見に反していても、本文の内容に沿っている選択肢が正解なのです。

そもそも長文読解の場合、問題のはじめに「次の文章を読んであとの問いに答えなさい」と書いてあることが多いですが、これは「文章の内容を踏まえて答えてください」といったメッセージです。 最後の最後で“ひっかけ選択肢”に惑わされないように、「本文にこう書いてあるから」といった理由をもとに設問に答えることは強く意識したいですね。

問題を解いてみよう

実際に問題を解きながら、ここまでお伝えした「3つのステップ」のどこでつまずいているか、その原因をチェックしてみましょう。

チェック問題

次の文章を読んであとの問いに答えなさい。

【本文】
[1]私たちはさまざまなものを食べて生活している。主食としては米やパン、めん類などがある。また、おかずとして肉や魚、野菜、豆などを食べている。これらの組み合わせによって私たちの食生活は成り立っている。

[2]何を食べるかを考えるとき、栄養は大切だ。栄養のバランスが悪いと良い健康状態を保つことは難しい。また、味も大切だ。たしかに、味が良いものは体に悪いという意見もあるかもしれない。しかし、私はそうは思わない。おいしいものを食べると気分が良くなる。良い味は精神的活力をうむ。だから味も大事にしたい。このように、食事においては、つくる人も食べる人も栄養と味の両方を考えるようにしたい。

[3]ところで、肉といっても、牛肉やぶた肉、とり肉とさまざまな種類がある。羊肉や馬肉を味わえる店も増えてきた。それぞれ、栄養も味も異なっており、ゆたかな食生活を支えてくれている。肉については人それぞれ好みはあるだろうが、私はぶた肉より牛肉が好きだ。とり肉も好きだが、牛肉ほど好きではない。羊肉や馬肉も好んで食べるが、牛肉にはおよばない。

[問1]
本文で述べられている筆者の主張に合っているものはどれか。次のア〜エのうち最も適切なものを1つ選びなさい。

ア. 大豆は「畑の肉」と呼ばれている。
イ. 牛肉よりとり肉が好きだ。
ウ. 羊肉や馬肉はどの店でも食べられる。
エ. 肉のなかでは牛肉がもっとも好きだ。

[問2]
また、味も大切だ。」とあるが、筆者がこのように述べたのはなぜか。次のア〜エのうち最も適切なものを1つ選びなさい。

ア. 食事をつくった人の気持ちが味にあらわれるから。
イ. 野菜や豆には多くの栄養がふくまれるから。
ウ. 味が良いものは体に悪いから。
エ. おいしいものは人間の精神面に良い影響を与えるから。

正解と解説

では、答えあわせをしてみましょう。

問1

問1の正解は「エ」です。

第3段落で「ぶた肉より牛肉が好き」「とり肉も好きだが、牛肉ほど好きではない」「羊肉や馬肉も好んで食べるが、牛肉にはおよばない」と述べています。

これを整理すると、

ぶた肉 < 牛肉
とり肉 < 牛肉
羊肉、馬肉 < 牛肉

となるので「肉のなかでは牛肉がもっとも好き」といえます。このように、選択肢の表現が本文とは違ったとしても同じことを述べている選択肢が正解になります。

ほかの選択肢

ア:本文で触れられていない(常識的には正しい内容ですが、本文で述べられていません)
イ:本文とくい違っている(第3段落の内容と逆)
ウ:本文より言いすぎている(第3段落で「羊肉や馬肉を味わえる店も増えてきた」とは述べていますが、「どの店でも食べられる」とまでは言っていません)

問2

問2の正解は「エ」です。

第2段落で「おいしいものを食べると気分が良くなる。良い味は精神的活力をうむ。だから味も大事にしたい」と述べています。このことから、「味も大切だ」と筆者が述べる理由は「気分が良くなる」「精神的活力をうむ」ということだとわかります。

まとめると、「おいしいものは人間の精神面に良い影響を与えるから」ということができます。

ほかの選択肢

ア:本文で触れられていない(一般的には賛同しやすい内容かもしれませんが、本文では述べられていません)
イ:本文で触れられていない(本文では野菜や豆の栄養については述べられていません。常識的には正しいかもしれませんが、本文内では味が大切である理由としては述べられていないので不正解です)
ウ:本文とくい違っている(第2段落に「味が良いものは体に悪いという意見もあるかもしれない」という一文がありますが、そのあとで「しかし、私はそうは思わない」と否定しています。

長文読解は国語以外にも役立つ

ほとんどの学校が入試問題で長文読解を出題するため、長文読解ができると国語の得点を効率良く上げることができます。そして算数や理科、社会の問題も日本語で書かれていることから、国語の読解力が伸びるとほかの教科の学力アップも期待できるでしょう。お伝えした3つのステップを意識しつつ、まずは長文読解の苦手克服に向けて原因を掴むところから始めてみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

石井知哉
この記事の著者

株式会社QLEA教育事業部部長。教育系Webサイト「School Post」を主宰。2000年、早稲田大学第一文学部 哲学科卒業。東京都の塾業界にて指導歴20年以上。現在は、東京都大田区で個別指導塾2校舎の教務・運営を統括する傍ら、千代田区麹町に超少人数制個人指導道場「合格ゼミ」を開設。豊富な実践経験に裏付けられた独自の理論とメソッドに基づき、小学校低学年から中・高・大学受験生、就職試験対策の指導にあたっている。幅広い学年・学力層・教科を対象に、個々の成長を最大限引き出す指導を得意とする。