学習 算数

複雑な図形の面積の求め方5選! 分割・移動・等積変形などのパターンを覚えよう

2024年2月05日 みみずく

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中学受験の算数では、図形の面積を求める問題が頻繁に出ます。しかも、問題となるのは、典型的な多角形や円ではなく、これらを組み合わせた図形であることが多いです。しかし、一見すると複雑な図形の面積も、ちょっとした工夫で簡単に求められることが少なくありません。今回は、中学受験生なら絶対に知っておかなければならない面積の求め方を整理して紹介します。

複雑な図形の面積の求め方は?

複雑な図形の面積を求めたい場合、基本的な図形をもとに考えるのがコツです。基本的な図形とは長方形・正方形・平行四辺形・ひし形・台形・三角形・円・おうぎ形です。これらの図形の面積を求める公式は以下の通りです。

  • 長方形の面積=縦×横
  • 正方形の面積=一辺×一辺
  • 平行四辺形の面積=底辺×高さ
  • ひし形の面積=対角線×対角線÷2
  • 台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2
  • 三角形の面積=底辺×高さ÷2
  • 円の面積=半径×半径×円周率
  • おうぎ形の面積=半径×半径×円周率×\(\frac{中心角}{360°}\)

以上の公式が使える基本的な図形を見つけたり、作ったりするため、必要に応じて複雑な図形を変形します。変形のパターンは限られているので、しっかり覚えて使いこなしましょう。

複雑な図形の面積の求め方5選

複雑な図形の面積を求める場合に役立つ変形のパターンを5つ紹介します。

1. 分割する

小学校の算数でも学ぶ考え方が、複雑な図形を基本的な図形に分割する方法です。下の図の一番左の図形は、直径が8cmの半円と、直径が4cmの半円に分割できます。したがって、一番左の図形の面積は4×4×3.14÷2+2×2×3.14÷2=(16+4)×3.14÷2=10×3.14=31.4(cm\(^2\))です。

2. 不要部分を引く

大きな図形から不要部分を引く面積の求め方も小学校の算数で学びます。下の図の一番左の図形は、直径が8cmの半円から、直径が4cmの半円を引けば、面積を求められます。したがって、一番左の図形の面積は4×4×3.14÷2-2×2×3.14÷2=(16-4)×3.14÷2=6×3.14=18.84(cm\(^2\))です。

3. 移動する

中学受験算数の図形問題でよく使うのが、図形の一部を切り取って移動するテクニックです。一見すると複雑な図形も、移動によって変形すると基本的な図形になり、簡単に面積を求められます。

下の図の左の図形は、出っ張っている部分(直径が4cmの半円)を凹んでいる部分に移動することで、直径が8cmの半円になります。したがって、左の図形の面積は4×4×3.14÷2=8×3.14=25.12(cm\(^2\))です。

4. 等積変形する

2本の直線をどこまで伸ばしても絶対に交わらないとき、これらの直線の関係を「平行」といいます。平行な直線と三角形がある問題では、等積変形が使えないかどうかを考えましょう。

等積変形とは、図形の面積を変えないで形を変えることです。特に、底辺と高さが等しい三角形は形が違っていても面積が同じです。この性質を利用して、三角形の底辺を固定して等積変形するテクニックが中学受験算数ではよく使われます。

下の図で、長方形の中にある2つの三角形の面積の和を考えましょう。それぞれの三角形を等積変形して右側に寄せると、その面積の和は長方形を二等分した三角形の面積と等しくなります。したがって、長方形の中にある2つの三角形の面積の和は8×6÷2=24(cm\(^2\))です。

5. 比を使う

中学受験生の多くが5年の後半で学ぶ比は、図形問題でも大いに役立ちます。特に、複数の三角形がある図形問題を解く上で使う比は相似比と底辺比です。

相似比とは、相似な(=形が同じで大きさが違う)図形同士の対応する辺の比で、面積比は相似比×相似比になります。一方、高さの等しい三角形の面積比は底辺比に等しいので、この底辺比の性質もよく使います。

下の図で、四角形ABCDが長方形のとき、四角形BCPQの面積を求めましょう。

まず、ABとPDは平行なので、平行線の錯角が等しいことから、角ABQ=角PDQ、角BAQ=角DPQです。したがって、2組の角がそれぞれ等しいので、三角形ABQと三角形PDQは相似です。三角形ABQと三角形PDQの相似比はAB:PD=8:4=2:1なので、面積比は三角形ABQ:三角形PDQ=4:1と求められました。

次に、三角形ADQと三角形PDQは高さの等しい三角形で、底辺比はAQ:PQ=AB:PD=2:1です。したがって、面積比は三角形ADQ:三角形PDQ=2:1と求められました。

面積比をまとめると、三角形ABQ:三角形PDQ=4:1、三角形ADQ:三角形PDQ=2:1より、三角形ABQ:三角形ADQ:三角形PDQ=4:2:1です。また、三角形PDQ=1のとき、三角形BCD=三角形ABD=三角形ABQ+三角形ADQ=4+2=6なので、四角形BCPQ=三角形BCD-三角形PDQ=6-1=5となり、四角形BCPQの面積は8×6÷2×\(\frac{5}{6}\)=20(cm\(^2\))です。

図形問題ではパターンを覚えておく

複雑な図形の面積の求め方に限らず、図形問題をその場の「ひらめき」で解こうとすると難しくなります。このような「ひらめき」に頼るのではなく、類題をたくさん解いて、解き方のパターンを覚えておくことが大切です。

※記事の内容は執筆時点のものです

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