中学受験ノウハウ 志望校選び

今から押さえておきたい! 受験校の併願戦略で意識したいポイント

2021年6月18日 山口友美

中学受験の成否を大きく左右するのが「併願プラン」。しかし第一志望校だけに気を取られ、併願校選びがおろそかになってしまう家庭は少なくありません。これまで300組以上の親子に併願指導をしてきた経験をもとに、今から意識しておきたい併願戦略のポイントをお伝えします。

併願校がなぜ必要か

第一志望校だけに絞ってしまったほうが、受験対策が効率的だと思う人もいるかもしれません。でも併願校を考えておくことは、第一志望校に合格するためにも必要なこと。その理由は、第一志望校の受験で最大限のパフォーマンスを発揮できるからです。

試験本番は誰もが緊張します。こうしたとき、先に併願校に合格しておくと自信や安心感を得ることができ、第一志望校の入試でも緊張感が和らぐことでいつもの調子を出すことができます。そして併願校受験は、受験本番の練習にもなります。

また首都圏の場合、入試日が複数回設けられている学校が少なくなく、入試を受けたその日に合否が出て、不合格の場合には翌日も試験を受けるといったことも珍しくありません。この際、仮に第一志望校の1回目の入試が残念な結果になったとしても、次の日の試験前に併願校を受験して合格を勝ち取っていれば、気持ちを切り替えて2回目の入試に臨むことができ、結果として第一志望校合格の可能性を高められるのです。

併願戦略のポイント

では、併願戦略として具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか。ポイントは次の3つです。

併願戦略のポイント
・同じ系統の学校を探す
・「滑り止め」という意識をなくす
・塾のアドバイスを柔軟に受ける

同じ系統の学校を探す

教育内容や進学実績、偏差値、家からの距離など ――。学校を選ぶポイントは家庭によって優先順位が違うものです。そのなかでも、特に私がおすすめしたいのは“同じような系統”の学校から選ぶこと。たとえば校風や指導方針、共学か別学か、といったことですね。

同じ系統の学校(例)
・積極的に実験をおこなう理系教育重視の共学
・医薬系の進学クラスを持つ進学校
・面倒見がよくて補習が充実している学校
・ミッション系の女子校
・英語教育に熱心で、短期・長期留学制度を持つ学校

通いたい学校の系統をはっきりさせておくと、同じタイプの学校が自然と選択肢に挙がるようになります。同じタイプの学校は親子共に気に入る可能性も高いため、どの学校に通うことになっても比較的満足度が高い生活を送れる可能性もあるでしょう。

また同系統の学校は、入試問題のタイプや出題傾向が似ていることも少なくありません。そもそも入試問題は、学校が求める生徒像が投影されたもの。似た系統の学校を探して併願校とすることで、それぞれの学校の過去問演習で相乗的に得点力も高めていけるはずです。

まずは「どういう学校に通いたいか、通わせたいか」といったイメージを親子で共有し、そのうえで似た系統の学校を探してみてください。

「滑り止め」という意識をなくす

「併願校は滑り止め」といった感覚を持っていませんか? たしかに併願校が5つほど挙がると、“滑り止め”といった学校も出てくるものです。しかし、たとえそうだったとしても、子供の前で滑り止めという言葉を使うのは厳禁。なぜなら、子供が誤って解釈してしまう可能性が高いからです。たとえば「この学校は滑り止めだから絶対大丈夫」「滑り止めだから行きたくないなぁ」といった感情が無意識のうちに芽生えることも。こうした油断やマイナスな感情が出始めると、合格圏内にある学校でも不合格になってしまう可能性があり、通うことになったとしても心から楽しむことは難しくなってしまいます。

そのため親御さんとしては、滑り止めといった言葉は使わず、可能であれば「第二志望」「第三志望」など、あくまで「通うことを希望している学校」と子供が思えるような言葉を使うようにしてみてください。事実、「第三志望」と言葉を代えるだけで、子供が過去問や模試に臨む姿勢は変わります。そして仮に第三志望校に通うことになったとしても、ポジティブな気持ちで入学式を迎えられるものです。

塾のアドバイスを柔軟に受ける

受験校選びに関しては、塾から併願戦略の提案を受ける機会も多いことでしょう。このとき学校の紹介があれば、親子でその学校について検討したうえで、学校見学に足を運ぶか、学校説明会に参加してみてください。

親御さんとしては、塾から提案された学校のイメージが良くなくて好感が持てなかったり、家から遠い学校だったりすることもあるかもしれません。しかし塾も、ただ闇雲に提案はしていません。そこには、提案するだけの理由があるものです。第三者の意見だからこそ、今まで考えてもみなかった学校に出会えるチャンスとなることもあります。そのため学校選びに関しては塾からのアドバイスも柔軟に受け入れ、先入観を持たず、まずはその学校を調べてみましょう。

まとめ

中学受験で志望校に合格するためには、学力をつけるのはもちろん、併願戦略を練ることも大切です。第一志望校ばかりに気を取られがちですが、併願校もしっかりと決めることで受験の成否が変わってきます。親御さんとしては「滑り止め」といった言葉は封印し、さまざまな学校を見学するなかで、親子共に「通いたい!」と思える併願校を見つけていきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

関東の大手進学塾にて中学受験算数を10年担当。教室責任者も務め、難関校をはじめ幅広い成績の生徒の授業と併願指導をおこなう。現在は1歳の子供を育てながらフリーライターとして活動中。塾講師経験と自身の保育士資格取得経験も活かし、保育関連記事や中学受験、知育関連の記事を多数執筆。