中学受験ノウハウ 学習 連載 中学受験算数の基礎力を伸ばす

計算力の鍛え方の順番を知る|中学受験算数の基礎力を伸ばす#9

専門家・プロ
2023年9月22日 ドリさん

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中学受験は算数で決まる、とよく言われます。もっとも得意不得意が分かれやすく、点差がつきやすいとされるからです。この連載では、中学受験算数の基礎力を測る & 伸ばすアプリ「ドリる算数」を開発されているドリさんに、算数の基礎力とは何か、どう伸ばすべきなのかをうかがいます。

こんにちは。ドリさんです。

今回は「計算力の鍛え方の順番を知る」についてお伝えいたします。
計算力は、中学受験算数において最も大事な力です。

しかし、計算力がなかなかあがらず、どうしたらよいのかわからない、というご家庭も多いかと思います。

そういう時は、計算力の鍛え方の正しい順番を知り、鍛えていくことで計算力を効率的に伸ばすことができるかもしれません。

この記事では、計算力の鍛え方の順番をお伝えし、それぞれの鍛え方をお伝えします。

【計算力の鍛え方の順番】

  1. 計算方法を理解する
  2. 暗算力・計算スピードを鍛える
  3. 見直しやすい計算メモを目指す
  4. 計算ミスをなくす

計算力の鍛え方の順番

計算力の鍛え方には順番があります。

  1. 計算方法を理解する
  2. 暗算力を鍛える
  3. 見直しやすい計算メモを目指す
  4. 計算ミスを無くす

の順番です。

意外かもしれませんが、計算ミスを無くす練習をするのは、最後です。

なぜなら、計算ミスを防ぐためには、暗算力・計算スピードをできるだけ鍛えた上で、見直しやすい計算メモを心がけることが大事だからです。

また、計算ミスを無くすのは難しく、成果が出ないので頑張れば頑張るほど、計算練習のモチベーション下がってしまうケースも多いです。 なので、正しい順番で計算力を鍛えることが大事なのです。

1.計算方法を理解する

計算力を上げるには、まずは、「計算方法を理解する」ことが大事です。

当たり前の話に思うかもしれませんが、計算ミスが多いお子様の中には、「実は計算の方法を理解していなかった。」ということがあるのです。 もし、理解していないことが見つかれば、最優先で取り組みましょう。

よくあるのが「分数の逆算」を実は理解できていなかったケースです。 次の問題を解けるかお子様に聞いてみましょう。

いかがでしょうか。

迷わず解けたでしょうか。

解き方は、こちらです。

もし、迷って解いたのであれば、整数の簡単な例を挙げて確認する癖をつけましょう。

この問題の場合は、

と計算するのと同じ計算方法だな、と確認します。

2.暗算力・計算スピードを鍛える

次は暗算力・計算スピードです。

  • 3けた+2けた, 3けた−2けた, 2けた×1けた, 3けた÷ 1けた
  • 小数から分数への変換, 整数の逆算, 4つの整数の逆算
  • 真分数の分数の足し引き・かけわり・逆算

…等々。練習すれば、スピードが上がります。また、暗算ができるものはできるだけ暗算にチャレンジしてみましょう。

練習の方法は、同じ量・質の問題をプリントを用意し、タイムを測って、繰り返し取り組むことです。ただし、解き方を理解できていないものは、タイムを測らず理解することを優先しましょう。

これらの計算力の土台となるプリントは、「ドリる算数」の「計算力の土台」から暗算力・計算スピードを鍛えるプリントを無料でダウンロードできます。(2023年9月現在)

では、少し暗算力・計算スピードをチェックしてみましょう。 以下の問題を時間を測って、暗算で解いてみてください。

いかがでしたでしょうか。

理想は、3つで15秒以内です。(暗算で)

解説です。途中式は書いてますが、書かずに暗算することが理想です。

最初は、暗算が難しいと感じるのですが、少し我慢して繰り返し練習していると、急に暗算ができるようになっていきます。ぜひ、試してみてください。

3.見直しやすい計算メモを目指す

さて、次は、計算メモについてです。

「途中式」ではなく、「計算メモ」と呼ぶのは、必要最低限のメモをすることが速く・正確に解くコツだからです。

数学のように等式を組み立て計算式を書いていると、時間がかかり、スペースも圧迫してしまいます。

良いメモの基本は、

  • 暗算でできるだけメモを減らす
  • 途中計算を見直せるように書く

です。

実際に例をお見せします。(「計算くらぶ」で、実際に使用している教材を使用)

悪い例

式を丁寧に書いていますが、不必要なメモもありメモの量が多くなって計算スペースが狭くなっているものもありあす。 (4)の逆算は、1/3 − 0.3の計算を1/3+0.3としてしまい、間違えています。メモが多いため見直しの際にどこを間違えたのか探すのに苦労します。

良い例1

メモが多くなりそうな問題は、計算結果のメモと途中計算を分けています。

また、メモが少なくて済む問題は、式の下にそのままメモをして解いています。

良い例2

暗算力を高めたお子様だと、これくらいの計算メモで解けてしまいます。

計算ミスをしそうで不安、と感じられるかもしれませんが、2回解いても4分30秒しかかかりません。 こうなると、1回での計算ミスをする確率が10%だったとしても、2回解くことで

10%×10%=1%

の確率に抑えられます。

(実際は、ミスの箇所も全く同じである確率はもっと低いので、計算ミス発生の可能性はさらに低くなります。)

どうやって練習するか

計算メモを改善するには、意識をしたからといってすぐに改善するものではなく、暗算力を鍛えておくことが大事です。

その上で、

  • 計算メモは、空いてるスペースに書くようにする
  • 計算スピードを気にしないで、メモをできるだけ減らすことにチャレンジしてみる
  • 同じ問題でメモの仕方を練習してみる

等、お子様の計算メモの状況に応じて必要な練習をしていきましょう。

4.計算ミスをなくす

さて、最後は、計算ミスをなくす練習についてです。 計算ミスをなくすことが計算練習の中で最も難しく、モチベーションを保つのが難しいです。

まずは、以下の3つをできるだけ鍛えた上で、取り組むようにしましょう。

  1. 計算方法を理解する
  2. 暗算力を鍛える
  3. 計算メモをうまく書けるようにする

計算ミスを防ぐ方法としては、大きく分けて以下の2つです。

  • 検算をする (計算をしながらが望ましい)
  • 最初から計算跡を目で追いかける(指差しながらが良い)

検算の方法を、「見直しやすい計算メモを目指す」で取り上げた(1)を例にお伝えします。

黒字が計算跡で、青字が検算の仕方です。(実際には、書かずに頭の中でやります)

5×13 = 65 → 65÷13 = 5

136−85 = 51 → 85 + 51 = 136

など、計算結果を使って、確かめる計算をします。

こうすることで、同じ間違いをする確率がグッと減ります。

まとめ

今回は、計算力の鍛え方の順番についてお伝えしました。

計算力の鍛え方の順番は、「計算方法を理解する」→「暗算力・計算スピードを鍛える」→「見直しやすい計算メモを目指す」→ 「計算ミスをなくす」です。

計算ミスを無くすのは難しく、最初から取り組んでもモチベーションを維持するのが難しいです。計算スピードや暗算力、見直しやすいメモを目指す方を優先して、練習しましょう。 その間は、計算ミスについてはあまり気にしすぎず、モチベーションの保つことに努めましょう。 そうすることによって、効率よく、計算力を高めることができます。

※記事の内容は執筆時点のものです

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