中学受験ノウハウ 学習

理科の計算問題で問われる「蒸散」とはどんな仕組み? 植物の不思議を理解しよう

2018年4月10日 如月柊

中学受験の理科で登場する「蒸散」という言葉。これは植物が生きるのに欠かせない働きのひとつです。受験に向けて、しっかり仕組みを理解しておきましょう。
蒸散のメカニズムを理解するには、まず植物の仕組みを知ることが大切です。しかし植物のつくりは、ヒトやその他の動物のものとは違うということもあり、なかなか理解しにくいものです。まずは植物の体を人の体に置き換えて、一つひとつ違いを確認しながら理解していきましょう。

サクッと理解! 蒸散の正体

蒸散は植物の体の働きのひとつです。動物も植物も、生物が大きく成長していくためには、さまざまな体の働きが重要になってきます。蒸散作用は植物が生きていくために大事な働きですが、具体的にどのような役目を果たしているのかを見ていきましょう。

蒸散は何のために行われる?

蒸散は、体の表面から水分を排出するという点で、人体でいうと「汗を流す」ことに似ています。人体の発汗作用は主に体温調節(汗が蒸発することで体温を下げる)の機能を持っていますが、植物の蒸散作用も葉の温度が上がりすぎないようにするはたらきがあります。

また単純に、体内の余分な水分を排出し、水分量を調節するというはたらきもあります。
そして体内の水分を排出する作用は、植物ならではの働きとして、根から水分を吸い上げることにつながります。根からは水分を吸い上げると、水に溶けたさまざまな成分も体内に取り込まれますから、蒸散が活発に行われることは根から取り込む養分も多くなることを意味します。

人体の仕組みとは異なりますが、植物もこのような新陳代謝の仕組みを持っています。このような代謝を行うことで、生物は生命を維持していけるのです。

目で見て理解! 実験してみよう

蒸散の仕組みを、目で見て確認できるようにする実験があります。それは、植物をビニール袋に入れて、ビニール袋の内側の変化を見る方法です。

人はサウナスーツを着てスポーツすると、サウナスーツの中が水分でぐっしょりします。この水分は、ご存知の通り汗です。植物をビニール袋で包んだ場合もこれと同じような現象が起こります。実際にビニール袋に入れてみると、袋の内側が少しずつ曇ってくるのです。この曇りの正体は、蒸散作用で水蒸気として排出された水分がビニール袋に触れて結露したもの。ビニール袋の曇りは、植物が人と同じように体外に水分を排出している証拠なのです。

植物の蒸散はどこで作用しているの?

中学受験の際には、植物の蒸散に関する計算問題が出題されることがあります。そういった計算問題は、植物を挿した水がどれくらい減ったかのデータから蒸散量を求めたり、植物の根から水分を吸えないようにしたり、葉をすべて切ったりしたときの水の減少量の変化を求めたりと、植物の蒸散の仕組みを知らないと解答が難しいものが多いです。そのため、具体的に植物の体のどこで蒸散が行われるのかということは、あらかじめ確認しておくべきでしょう。

蒸散の大半は「葉」で行なわれる

人は皮膚の汗腺というところから汗をかきますが、植物は「気孔」から水蒸気を発散しています。人の汗腺は体中のあちこちにありますが、わきの下などには特に汗腺が多いため、わきの下はよく汗をかきます。植物の気孔の分布はもっと極端で、一般的に気孔は葉にしかありません。葉っぱは太陽の光を受けるところだと思っている人が多いと思いますが、ほかにも意外に重要な働きをしているのです。葉の表と裏でいえば、気孔が多いのは葉の裏側になります。

では、葉っぱがないと蒸散がまったくおこなわれないのかというと、実は葉の気孔からの蒸散にくらべればわずかではありますが、葉以外の場所からも水分は蒸散していきます。また、葉や根、枝などを切って、その切り口を放置しておいた場合も、その切り口から水分は失われていきます。

こうした仕組みを理解していると、中学受験で出題される蒸散の計算問題で「葉にワセリンを塗る」「切り口にワセリンを塗る」と書かれていたときに、「ああ、ワセリンを塗って蒸散・蒸発を止めているんだな」ということがわかります。条件がはっきり理解できれば、問題をスムーズに解くことにつながるでしょう。

まとめ

中学受験では蒸散の仕組みについての計算問題がよく出題されますが、下記の4点をおさえておけば蒸散の計算問題は怖くありません。

1.蒸散とは何なのか
2.蒸散で外に出ていく水分はどんな状態か
3.蒸散は植物の体のなんという場所で起きているのか
4.蒸散が行なわれる場所は植物のどの部分にあるのか

蒸散とは「根から水分を吸い上げて、余分な水分を水蒸気として外に出す」という仕組み。植物が外に出す水分は「水蒸気」の状態です。そして、蒸散は「気孔」で起きて、気孔は植物の「葉っぱ」部分にあります。この4点をしっかり理解しておきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

この記事の著者

小中高での教師経験を経て、現在は大学で教授法などの授業を担当。また、関連書籍なども出版。