学習 算数

分数ってなぜ比べにくいの? 通分の仕方がわかれば分数の計算も簡単に!

2018年4月10日 如月柊

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分数の計算は中学受験の算数で必ずと言っていいほど出題されます。この分数を理解するためには、図を描いて視覚化するといいでしょう。なかなか分数が理解できない子供は、分数の意味を捉えられていない場合が多いようです。何度か実際に図を描いてみて、視覚的に掴んでいくようにしましょう。

分数はものの分け方を表現している

分数とは「ある(1つの)ものを何個かに切ったうちの何個分である」ということを表すときに使います。例えば、\(\frac{1}{6}\)は「ケーキの1ホールを6等分に分けたうちの1人分」などと言うと分かりやすいかもしれません。6等分に分けたものが6個あれば\(\frac{6}{6}\)、つまり1となって1ホール分ということになります。

分数の基本:何個に分けても元の量は変わらない

ケーキを分けるとき、6等分したときの1人分を「\(\frac{1}{6}\)」と表します。このときの「6」が分母、「1」が分子です。ケーキでいうなら、分母は元の1ホールをいくつに分けたのかを、分子は分けたうちの何個分なのかを表しています。

同様に、12等分したときの2人分は「\(\frac{2}{12}\)」と表します。このとき「\(\frac{1}{6}\)」と「\(\frac{2}{12}\)」は、結果的に同じ量を表します。このように、6等分したときの1人分と12等分したときの2人分が同じ量だということをイメージできるようにしておきましょう。

また、分け方は6等分や12等分のほかにもたくさんありますが、元のケーキの1ホールの量は変わらないという点も押さえておいてください。「\(\frac{6}{6}\)」も「\(\frac{12}{12}\)」も同じ「1」になるのは、1ホールの量が変わらないからです。また、「\(\frac{1}{6}\)」がどれぐらいの量になるのかということもイメージできるようにしておきましょう。

分数の種類:全部で3種類

分数は次の通り3種類があります。

1.真分数
分子が分母よりも小さいもの
例:\(\frac{1}{3}\)、\(\frac{11}{25}\)など

2.仮分数
分子と分母が同じか、分子が分母より大きいもの
例:\(\frac{3}{3}\)、\(\frac{17}{5}\)など

3.帯分数
整数部分と分数部分がくっついた形をしているもの
例:\({2}\frac{1}{3}\)、\({3}\frac{1}{5}\)など

このうち、帯分数はまず仮分数や真分数に直さないと計算ができません。

通分とは

通分とは、複数の分数の分母を揃えることで、分数を比べたり計算したりできるようにする方法です。通分ができないと、複雑な分数の計算はできません。

帯分数を仮分数または真分数に直す方法

帯分数は、仮分数または真分数に直さないと、計算することができません。この仮分数・真分数への変換にも通分の考えを使います。それでは具体的な数字で見ていきましょう。 ここでは、「\({2}\frac{1}{3}\)」を例に考えてみます。

「\({2}\frac{1}{3}\)」は、1ケーキのホールが2つを表す「2」と1ホールを3分割したものの1つ「\(\frac{1}{3}\)」を足したものと考えてみましょう。分数を計算したり比べたりするときには、まず分母をそろえなければなりません。「\(\frac{1}{3}\)」に合わせて分母を3にすると、「1」は「\(\frac{3}{3}\)」、「2」はそれがふたつで「\(\frac{3}{3}\)+\(\frac{3}{3}\)」つまり「\(\frac{6}{3}\)」です、つまり、「\({2}\frac{1}{3}\)」は「\(\frac{6}{3}\)+\(\frac{1}{3}\)」で「\(\frac{7}{3}\)」ということになります。

分子と分母に同じ数をかけてもその大きさは変わらない

「\(\frac{1}{6}\)」と「\(\frac{2}{12}\)」は同じ量です。これはケーキを6個に分けたうちの1つと、12個に分けたうちの2つの量は同じということ。この数字を見ると、「\(\frac{1}{6}\)」の分母にも分子にも2をかけることで、「\(\frac{2}{12}\)」になります。つまり、分子・分母の双方に同じ数をかけ算しても、分数の大きさは変わらないという性質を持っていることがわかります。

通分の計算には最小公倍数が大事

通分の計算を行うには、最小公倍数の考え方が必要になってきます。 例えば「\(\frac{1}{6}\)+\(\frac{1}{5}\)」という式は、分母が違うので簡単には計算できません。分母が違うものは通分して、分母をそろえてなくては計算できないのです。ではその際、なにを分母にして通分を行なうのでしょうか。ここで必要になるのが最小公倍数です。
最小公倍数とは、複数の数に共通した倍数のうち、一番小さい数のこと。「5」と「6」の場合でいえば、5の倍数は「5、10、15、20、25、30、35……」であり、6の倍数は「6、12、18、24、30……」です。これらを並べてみると、「30」という数が最初に出てくる共通の数だということがわかるでしょう。つまり、5と6の最小公倍数は「30」ということになります。この「30」が「\(\frac{1}{6}\)」と「\(\frac{1}{5}\)」を通分するときの分母になります。

分母を30にするには、「\(\frac{1}{6}\)」は「6×5=30」で分母に5をかけると30になるため、分子にも同じく5をかけます。「1×5=5」ですから、「\(\frac{1}{6}\)」は「\(\frac{5}{30}\)」。同様に、「\(\frac{1}{5}\)」で分母を30にするには「5×6=30」と6をかけることになるので、分子にも同じく6をかけて「1×6=6」。つまり「\(\frac{1}{5}\)」は「\(\frac{6}{30}\)」となります。よって、「\(\frac{1}{6}\)+\(\frac{1}{5}\)」は「\(\frac{5}{30}\)+\(\frac{6}{30}\)」と同じであり、答えは「\(\frac{11}{30}\)」となるのです。

まとめ

通分で分母を揃えることは、いろんな分け方をしたものを同じ分け方に整えることを意味します。同じ分け方に直すことで、量を比べたり合わせたりすることができるようになるわけです。
その際に大事になってくるのが通分。通分の仕方をマスターするのが、分数の足し算・引き算を行なうためにまず必要なことなのです。

※記事の内容は執筆時点のものです

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