連載 好奇心を育む東大式子育て

自宅でも集中して取り組める、学習環境づくりのポイント|自信をつけて伸びる子に! 好奇心を育む東大式子育て

2022年3月23日 橋本拓磨

好奇心と自信を持つ子はどう育つの? 『10歳からの東大式勉強術入門』の著者・橋本拓磨さんが、中学受験を視野に入れる保護者さんのために解説します。

コロナ禍で自宅学習の機会も増えているご時世ですが、「家にいるとなかなか勉強に集中してくれない」というご家庭も多いのではないでしょうか。そういった場合、環境をひと工夫すると、集中して取り組めるようになるかもしれません。今回は、そんな自宅学習について考えます。

自宅の機能

まず、「自宅学習に集中して取り組むのは、多くの人にとって大変だ」ということを頭に入れておきたいところです。

そもそも自宅には「落ち着く場、休まる場」としての大切な機能があります。子供も大人も自宅以外の場での活動には、少なからず緊張やストレスを伴います。自宅はそういった緊張に対する、弛緩の場なのです。「休まる、休みたい」という意識(無意識かもしれません)があるため、「勉強を頑張ろう!」という気持ちに切り替えづらく、緊張感も高めにくいのです。

ですから「頑張って勉強しなさい!」というだけでは、なかなか自宅で集中した勉強はできません。塾、学校、図書館といった自宅以外の環境で勉強したほうが集中しやすいわけです。自宅学習は意外と難しい、これは仕方のないことだと、まず知っておいてほしいです。

自宅学習を成功させる3つのポイント

前述のように、集中して勉強するのが難しい自宅学習ですが、小学生は自宅以外の学習環境を、主体的に自由に選べるわけではありません。自習室の無い塾もありますし、図書館も座席が無い……ということもあります。できれば工夫をして、少しでも自宅学習に前向きになれるようにしたいところです。ここからは、具体的に自宅学習をスムーズに集中して進めるためのポイントをお伝えしていきます。

自室学習 OR リビング学習

自室学習よりもリビング学習がよい」と、見聞きしたことがある方は多いかもしれません。よく聞くこの話、本当なんでしょうか?

「絶対にリビングでの勉強がベスト!」と一概には言えませんが、私が調べた東大生へのアンケートでは「リビングで勉強していた」という人が全体の約85%を占めていました。自宅の勉強場所として有力な候補になることを示しています。実際に、私自身もほとんどがリビングでの勉強でしたし、私の塾生にもリビングでの勉強を推奨しています

リビングでの勉強を推奨する3つの理由

  • 自室だとリラックスしすぎてしまう
  • リビングは意外とものが少ない。気が散りにくい
  • 親の目が届きやすく、子どもも集中しやすい

自分の部屋は、自宅のなかでも特にリラックスしたくなる場です。横になるためのベッドがあるでしょうし、娯楽の誘惑もあるでしょう。基本的には自分しか居ない空間ですから、緊張感が薄くなってしまいます。

一人部屋のほうが、静かで勉強に集中できるような気がするかもしれませんが(もちろんそういう子もいます)、案外手の届くところに勉強に関係ないものが多く置いてあるため、気が散りがちです。

それと比べてリビングやダイニングのテーブルは近くにものがなく、広々としていて、意外と目の前の勉強に集中できます。(テレビやゲームが目に入るのは難しいところではありますが、その点は後述するルールづくりが肝心です)

また、誰も居ない、無音の環境が当たり前になると、周囲に人がいる状況で集中できなくなることが懸念されます。模試や入試会場には、知らない人が近くに大勢いるわけですし、多少の雑音もありえます。そういった観点で考えると、リビングには適度な生活音がありますし、自分以外の家族も居ます。自宅学習といえども、適度な刺激を残したほうが、使える集中力が身につきやすいのです。

保護者にとっても、子供の勉強の様子を適度に見守ることができるのが利点です。どんなときに集中できているか、どんなときにつまずいているか確認できます。誰かの目が適度にあるほうが、ダラけてしまいがちな子にとっては、サボりづらい環境になります。

デスクライトで集中モードに

とはいえ、周囲の音に慣れるまでの間や、今まで狭い自室で勉強していたという場合、「リビングじゃ、周りが気になって集中できない……」ということがあるかもしれません。そんなときに、ちょっと試してみてほしいのが、白色系のデスクライトです。

デスクライトは手元だけを明るくできます。人の視線はより明るい箇所に向くので、開いているノートやテキストに光を当てることで、意識が向きやすくなるのです。ちょっとしたことではありますが、こういった明かりの使い方は侮れません。

ちなみにリビングの照明は多くの場合、リラックス効果の高い暖色系になっていますが、これは勉強をするのには不向きです。もう少し明るく、白色系の光のほうが集中作業に向いています。とはいえ、リビング全体の照明を変えるのは難しい場合もあります。そんなときも白色光のデスクライトは便利です。

ルールをつくり、見直す

ここまでは、環境面でのふたつのポイントをお伝えしました。もうひとつは環境とは異なりますが、とても大事なことです。それはルールづくりです。

一方的に、ただ「やりなさい」といっても、なかなかうまく行動に取りかかれないのが小学生の学習です。自宅学習で集中力を発揮するには、やるべき勉強の順番や休憩の「ルール
」を決めること
がポイントです。どういう勉強をするか、どういう順番で勉強するかを、できるだけ具体化しておけば、あとはその通りに取り組むだけという状態にできますし、できた、できなかったの判断もしやすくなります。たとえば、下記のようなイメージです。

具体化の例

  • 休みの日は学校に行く日と同じ時間に起きて、9時から塾の宿題をする
  • 14時から塾だから12時までは勉強して、そこからお昼ごはんを食べて塾に行く
  • 18時に塾から帰ったらご飯を食べて、19時から20時に学校の宿題
  • 20時以降は自由時間、22時には寝る

ある程度習慣化されるまでは、このようなルールを決めて、勉強をスムーズに進められるようにしておくと良いでしょう。あわせて、勉強が終わるまではテレビ・ゲームをつけない、休憩は50分ごとに10分取る、といったことも決めておけるとよいですね。

ルールの例

  • その日の勉強が終わるまではテレビ・ゲームをつけない
  • 塾の宿題は翌日までに終わらせる
  • 休憩は50分(45分)ごとに10分取る
  • 勉強はリビングでやる

最後に、こうしたルールをつくる際の心構えをお伝えします。ルールを作るときは、できるだけお子さんの意見も聞きながら進めるのが良いでしょう。親御さんが一方的に作り上げて押し付け、できなかったことばかりに意識を向けて叱責し続けるのは避けてください。ルールを作ったあとは、「できなかったこと」よりも「できたこと」や、「ここまではできた」といった点に注目していただければと思います。ただし、できなかったことを黙殺してもOKというわけではありません。できなかった場合は、ありのままを受け止めて「わかった、じゃあどうしようか?」「〇〇は、どうしたらいいと思う?」などと一緒に考えることが大切です。

ルールというと「絶対的なもの」のようなイメージがありますが、自宅学習のやり方は「絶対不変でなければならない」ということはありません。一定期間チャレンジしてみて、「なんかだか馴染まない」「このやり方だと集中できない」と気付いた場合は、見直す姿勢も大切です。一度決めたルールにカチコチにならず、やりやすい自宅学習の作法をお子さんと一緒に見つけていってください。


これまでの記事はこちら『自信をつけて伸びる子に! 好奇心を育む東大式子育て

※記事の内容は執筆時点のものです

橋本拓磨
この記事の著者

小中高生向け個別指導塾「SUNゼミ」・大学受験学習塾「STRUX」塾長。東京大学法学部卒。地方トップの高校に首席入学、文系首席で卒業後、東京大学文科1類に現役合格。在学中より学習計画を立てて自学自習を指導する学習塾STRUXを立ち上げ、2020年からは小学生~高校生に向けた個別指導塾SUNゼミでさまざまな学年を対象に、勉強を通じた成功体験を提供できるよう指導している。著書『現役東大生が伝えたいやってはいけない勉強法』『10歳からの東大式勉強術入門』で東大生へのアンケートを実施し、勉強法・子育てのコツを発信している。