中学受験ノウハウ 入試の傾向

中学受験 算数 2018年入試のトレンドと2019年に向けての勉強法

専門家・プロ
2018年4月12日 中田ボンベ

2018年3月14日に、『中学受験情報局 かしこい塾の使い方』と『中学受験専門個別指導教室 SS-1』、そして『家庭教師 名門指導会』の3団体が『2018年入試分析からわかる! 2019年入試に向けてすべきこと』というイベントを共催しました。今回は、この中で紹介された「算数」についてのトレンドと勉強法をまとめてみました。

中学受験 算数の2018年のトレンドとは

この算数についてのパートでは、「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」の主任相談員である西村則康先生が登壇し、2018年の入試算数のトレンドや2019年度に向けての勉強法を解説しました。

入試問題を読み解くキーワードに注目

西村先生によると、2018年の各有名校の入試問題は、オールマイティー性を求めるものや、処理力や回答スピードを求めるもの、また深く考える力を求めるものなど、個性的な出題傾向にあったとのこと。こうした各校の出題を鑑みた結果、

・「計算力」
・「読み取り力」
・「判断力」

の3つが算数の入試問題のトレンドを読み解くキーワードとなるそうです。それぞれの力についてみていきましょう。

暗算を中心としたスピーディな計算力

まずは計算力です。たとえば2018年度の入試では、『女子学院中学校・高等学校』の問題が例年通りてきぱきとした処理力が求められるものだったとのこと。こうしたスピーディーな計算をするには、筆算に頼らない暗算力が重要。できる限り暗算で計算することがスピードを上げるポイントとなります。その暗算も正確でないと正答率が上がりませんから、「暗算を中心とした正確な計算力」を身に付けることが重要だそうです。

自問自答することを心掛ける

次は読み取り力と判断力です。算数では、数字だけでなく、問題文の日本語を正しく読みとることも正解を出すためには重要。ところが、正しく問題文を読めていない子供が多いのだそうです。たとえば、問題にある漢字や数字だけを見て、「この問題はやったことがある!」と早合点して解こうとして失敗する、という例などがあるとか。しっかりと問題文を読み、「何が分かっていて何を問われているのか」を読み取り、考える力をつけなくてはいけません。わかっていることは何か? 何を求められているのか? という「自問自答」が、読み取り力や判断力につながっていくそうです。日ごろから目の前の一問にしっかり向き合い問題を理解して進めていくことが大切です。

熱中力や注意力、そしてたくましい計算力を身に付ける

次は、上で紹介した3つのキーワードと、2018年の有名校の出題傾向を元にした「これからの中学入試算数のトレンド」についてです。

中学入試で求められる能力とは何か

西村先生によると「これからの中学入試算数のトレンド」からみえてくる、入試で問われる能力は以下とのこと。

・熱中力
・注意力
・論理的表現力
・たくましい計算力

『熱中力』というのは、「ああでもないこうでもない」と試行錯誤を楽しむ力。『注意力』は「本当にれだけかな?モレはないかな?」と自問自答する力。『論理的表現力』は、なぜこの答えになるのかなどを「ちゃんと説明できる力」です。そしてスピーディで正確な暗算力などの『たくましい計算力』。これらが、今後の中学受験の算数問題で求められる能力になっていくそうです。

入試で求められる能力を身に付けるには

上記に挙げた4つの力を高めるためにはどのようなアクションをすべきなのでしょうか。西村先生のお話によると、まず『熱中力』や『注意力』を培うためには、特に「自問自答する姿勢」が重要となります。この自問自答する力は、親の協力なしには身に付けることができません。「どんな図を描けば解けそうに思う?」など声掛けを繰り返しましょう。それが子供の自問自答につながります。

『論理的表現力』を身に付けるには、親が「この難しそうな問題がよく解けたわね。どう解いたのか教えて?」と問い、子供に説明させるのが有効とのこと。西村先生いわく「1日2問でもいいので、たとえば塾でやってきた問題について問うことで、説明する力が付いていく」そうです。

『たくましい計算力』については、先述のように暗算力を鍛えることが重要だそうです。暗算は2桁×1桁のかけ算の計算練習を繰り返すことがポイント。1日5問でいいそうなので、これも毎日繰り返すこと。そうすると、早い子だと1カ月で暗算が速く正確になるとのことでした。

2019年入試に向けた勉強法のコツ

上位校への進学を考えている場合、2019年の入試に向けてどのような勉強法が重要となるのでしょうか。

ふたつの力を目的に合わせて高める学習を

西村先生によると、授業で解法を学んだときに子供が示す反応は2種類あるそうです。ひとつは「HOW この解法は何に使えるのだろう」というもの。もうひとつは「WHYなぜこの解法で解けるのだろう」というものです。

前者はスピーディーに解く場合に必要な考え方で、さまざまなテクニックを使って正解を出す力につながります。後者は問題を深く理解するために必要な考え方で、テクニックの理由や原因を探る力につながります。これからの中学入試では、このふたつの能力がより強く求められるため、双方を高める学習をする必要があるのだそうです。

志望校や子供に合った勉強法を探ろう

そして中学入試で求められる能力を身に付けさせるために最も重要なことが、「誰が」「いつ」」「どのように」をふまえて「その子に合った勉強法を探ること」だといいます。

「誰が」は、勉強は塾の授業だけでいいのか、親の役割はどんなことかなど「誰(塾や学校ふくめ)が何をするか」という観点。

「いつ」は、いつからどんな勉強を始めればいいのかという「時期」のこと。たとえば総合的な学力は6年生までに仕上げていくべきですが、得点力は6年生になってから対策をスタートさせる、などです。

そして「どのように」は、学習効果を高めるための方法です。たとえば採点者にわかる書き方とはどんなものか、自問自答するときの言葉はどう決めておくか、など具体的な方法を考えることです。

このあたりは、生徒ごと/学校ごとにアプローチが異なるため、「何が正解」という決まった答えはありません。「何を学習させるか」ではなく、「どのように学習させるか」という考え方を持つことが、2019年の入試に向けて大切、とのことでした。

算数の「思考力」を高めることが重要

多くの有名校では、「試行錯誤をする力」や「出題意図を読み取る力」などを求めます。そのため、単純なパターン暗記で受験を乗り切ろうとすると不利になるケースもあるとのこと。つまり、多くの学校は算数の「思考力」を求めているといえるでしょう。思考力をどんな問題で測るかは学校によって異なりますが、学校ごとにはっきりとした特徴があるそうなので、志望校の傾向についてはしっかり調べておきましょう。中学受験の算数に関して親ができることには限りがありますが、少しでも思考力がのびるよう、自問自答をうながす声掛けなど、できることからやっていきたいですね。

※記事の内容は執筆時点のものです

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