学習 理科

コイルが電流で電磁石になる仕組み~電流の向きと方位磁針との関係

2018年6月28日 東荘一

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電気の領域では、右手を使って仕組みを理解する部分が2ヶ所あります。1つ目は「導線に流れる電流と磁力線の方向」、2つ目は「コイル(電磁石)に流れる電流とN極の方向」を確認するものです。

今回は、1つ目の右手の仕組みは前半の、2つ目の右手の仕組みは後半の中心テーマなので、どちらの話をしているのか混乱しないよう注意が必要です。これから何度も繰り返しますが、必ず自分の右手で確認しながら読み進めるようにしてください。

この記事は「磁力線と電流と方位磁針の関係まとめ」の内容を前提にして記述していますので、まずはそちらの記事からご覧ください。

コイルが電流で電磁石になる仕組み~電流の向きと磁力線の基礎

まず結論から述べますと、コイルに流れる電流の向きと電磁石のN極・S極との関係は上図に示すとおりです。右手の4本指を電流の向きに合わせたとき、親指の指す方向が電磁石のN極です。

このことさえ知っていれば、モーターも含めてコイル(電磁石)の問題はすべて解くことができます。大事なことは、説明を見てうなずくのではなくて、必ず自分の右手を使って確かめるということ。

この記事の目的は、なぜそうなるのかを明らかにすることです。理由まではっきりと理解してしまえば、ケアレスミスもなくなるはず。もう一度、原点にもどって、電流と磁力線との関係をじっくりと考えてみましょう。

コイルが電流で電磁石になる仕組み~電流の向きと磁力線その1

上の図は、導線に電流が流れたときに生じる磁力線の様子を示しています。電流が流れる前に空間に存在するのは導線だけですが、その導線に電流が流れた瞬間から電流(導線)の周りに磁力線が発生します。

図では磁力線の輪を4本しか掲載していませんが、導線の周りには磁力線が充満しており、説明の都合上4本だけ記載していると理解してください。電流の流れる方向と磁力線の向きとの関係は、「右ネジ」方向です。

中学受験で対象となる電気の領域では、右手しか使いません。決して左手を使わないでください。左手を使った瞬間から、すべての答えが真逆になってしまいます。電流の流れる方向に右手の親指を合わせると、磁力線は右手の残り4本指方向に向けて走ります。

コイルが電流で電磁石になる仕組み~電流の向きと磁力線その2

次に、まっすぐだった導線を、少しだけ曲げてみます。磁力線はあくまでも電流の周りに生じますから、この場合も磁力線は電流(導線)に沿って湾曲したような感じになります。

先ほどと同じように磁力線は4本しか掲載していませんが、よく見ていただくと磁力線の方向は常に電流方向に対して「右ネジ」方向であることが分かると思います。

コイルが電流で電磁石になる仕組み~電流の向きと磁力線その3

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東荘一

  • この記事の著者

京都大学工学部、東京大学大学院(工学)、世界最大の外資系コンサルティング会社の共同経営者(パートナー)を経て、教育業務を開始。業界最大手の中学受験塾で、小学3~6年生3000名以上の理科を担当し、習熟度に応じて幅広い学習指導を行いました。学習方法や各テーマの解説をおこなう、小学生向けサイト(偏差値アップの勉強法)を運営しています。以下のリンクからご覧ください。

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