学習 国語

接続詞に注目すれば文章の強弱がわかる。長文読解の苦手意識を克服する2つのコツとは?

専門家・プロ
2018年4月23日 鈴木恵美子

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国語のテストで苦戦する子供が多いのが、長文読解問題。問題文を読むのが遅くて、解答用紙を埋める時間が足りなくなるケースも多いようです。長い文章を素早く、正確に読む力を付けるためのコツはあるのでしょうか。1人ひとりの個性と向き合い「勉強のやり方」を教える塾・プラスティー教育研究所に聞きました。

長い文章も短い文章の集合体。段落ごとの要約から、全体の流れをつかもう

中学受験の国語で出題される長文問題は、一問当たり1000〜3000字。平均50分の試験全体で計6000〜10000字も読むことがあるため、長文読解はテストの成否を分けるポイントになります。ある程度の語彙力はあるけれど、集中力が切れやすかったり、途中で内容を忘れたりする場合は、まず文章を区切って読む練習をしてみましょう。

1字下げた段落ごとのポイントを見つける

どんなに長い文章でも、改行と1字下げで表現される短い段落の集合体でできています。その1個1個を見ていくと、最初の段落で導入をし、次に反対意見の例を述べ、次にそれに対して自分の意見を展開するなど、段落ごとに筆者の言いたいことや主張があることがわかります。

長文が苦手な場合はまず文章をすべて段落単位で分けて、ひとつずつ区切って読んでみます。そして各段落で最も大事だと思う「中心文」をラインマーカーでマークし、「この段落では何を言っているのか」を、簡潔に要約してみましょう。

少し大きな「意味段落」でまとめてみる

段落に区切って読むことに慣れてきたら、次は「どこからどこまでが、ひとつのお話だったのか」を考えて、複数の段落をまとめた「意味段落」をつくっていきます。そして再びそのなかから一番重要な中心文を選び、それぞれの意味段落の内容を要約してみます。

全部の意味段落のポイントがつかめると、全体の流れが見渡せるので、この長文の最終的な要約ができるようになります。このように文章を小さな単位に分解してそれぞれの中心文を読み取る練習を重ねると、長文読解のハードルはかなり下がると思います。

接続詞の法則を頭に入れておけば、メリハリのある読み方が習得できる!

「分解と要約」と並んで、もうひとつの長文読解のコツは文章に強弱をつけて、大切なところに特に注目して読むこと。そのために文頭の「つまり」「たとえば」「しかし」などの接続詞に注目すること。接続詞に注目すれば次に来る文章の展開が予測でき、しっかり読むべきポイントもわかるからです。

次に来る文章の内容が予測できる接続詞

文章の全体像を理解するには、段落と段落のつながりを読み取ることが大切です。そこで注目したいのは、段落同士をつなぎ合わせる接続詞。「なぜなら」「しかし」「たとえば」などの接続詞が出てきたら、必ずマークをしながら読みましょう。種類によって働きが違うので、接続詞をチェックすれば、次に来る文章がどんな展開になるかを予測できます。

どこが大事なポイントかが見えてくる

もし段落の頭に次のような接続詞があるときは、あとに続く段落をルールに基づいて読むことができます。

■「しかし」「けれども」前の文の否定から、あとに続く段落は筆者が強く言いたい内容。

■「つまり」

言い換えなので前と後ろは同じ意味だが、あとの段落がより強調したい内容。

■「たとえば」

あとの段落は例を示しているので、あまり重点的ではなく、読み飛ばしても大丈夫。

■「だから」=前の文を理由や原因とし、このあとの文が結論になるので注目すべき。

人は無意識のうちに否定のあとで大切なことを言おうとするので、「しかし」のあとに続く文章はしっかり読むべきものです。また「たとえば」のあとは、わかりやすく説明するための具体例が続くので、文章全体においてはさほど重要ではなく、簡単に読んでも問題は起こりません。

このように接続詞を見ることで、文章の重要性も分かってきます。「ここは大事だからしっかり読もう」「このあたりはフワッとでいいかな」というメリハリが身に付くと、長文をスムーズに読めるようになります。

マーカーを片手に文章を読もう

長文を読むのが得意な子供は、単に文字を追うのが速いだけでなく、自然に全体の流れを掴んだ「強弱のある読み方」ができます。苦手な子にとっても、意味段落や前後のつながりを整理すれば、長文読解のハードルは少しずつ下がるはずです。たくさん線を引いたり、印をつけたりしながら取り組んでみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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