物語文・小説文の心情理解と、親子のコミュニケーション ―― 中学受験との向き合い方
受験国語で扱われる物語文や小説文。これらを扱った問題では、人物の心情が問われることがあります。心情を理解する力を育むために、家庭でどのようなアシストができるか。親子間のコミュニケーションにも話題を広げつつ、田中先生に伺いました。
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心情の理解と子供の学年
―― 国語の読解では、物語や小説を題材に心情を問う問題がありますよね。しかしそれが苦手という子が一定数います。お子さんの学年や成長度合いによって差があるのでしょうか?
それを考えるヒントのひとつとして、小学校の道徳教育があると思います。実は小学校の道徳の学習指導要領には次のように書かれているんです。
〔第1学年及び第2学年〕
幼い人や高齢者など身近にいる人に温かい心で接し、親切にすること。
〔第3学年及び第4学年〕
相手のことを思いやり、進んで親切にする。
〔第5学年及び第6学年〕
だれに対しても思いやりの心をもち、相手の立場に立って親切にする。
ここではまず「思いやり」という文言に注目して欲しいんですが、中学年ではじめて「思いやり」という言葉が入ってきます。続いて、高学年なると、「だれに対しても思いやりの心をもち、」という文言が加わります。そして次に注目すべき「相手の立場に立って」と続くんです。
心情の理解を小学校の道徳教育の観点から考えた場合、中学年くらいから心情を理解するための要素が育まれ始めて、高学年あたりから形になってくると解釈できるのではないでしょうか。
第二次性徴期に差し掛かってくるのが小学校高学年ですから、その頃になれば発達も著しくなります。「思いやる」は他者に向けて自分の思いを向けることです。その次の「相手の立場に立つ」は、視点を相手に置き換えようとすることなので、高度な想像力を必要とします。
高学年になれば語彙・ボキャブラリーが増えてきますよね。実は、脳の発達と言語能力の発達は切っても切れない密接な関係があります。相手の立場に立つにせよ、自分の気持ちと向き合うにせよ、頭の中で気持ちを言語化する必要がありますから。そこから自分の経験をもとに道筋を立てて相手の気持ちについて考えていく、それが心情を理解する力が深まるということなのです。言語はとても大事だと思います。
―― 「うちの子は幼くて、読解の心情理解ができない」という低学年の保護者さんもいます。無理もない話なんでしょうか?
とじる
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