中学受験ノウハウ 連載 中学受験との向き合い方

中学受験の栄養にも毒にもなる。「他人の成功体験」とどう向き合うか ―― 中学受験との向き合い方

専門家・プロ
2022年11月24日 やまかわ

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首都圏の一部では、4人に1人の小学生が挑戦するともいわれる中学受験。子供の受験に親はどう向き合えばよいのでしょうか。この連載では、『中学受験は挑戦したほうが100倍子供のためになる理由』の著者である、田中純先生に中学受験との向き合い方をテーマにさまざまな話を伺います。

他人の成功体験に触れると、自分もそれにあやかりたくなるものです。中学受験の場面でも、「こういう勉強方法をさせれば、うちの子も成績が伸びるに違いない」、「うちの子もこういう塾に入れれば、難関校に合格させられる」といった想いに駆られることがあります。中学受験に挑むうえで、他人の成功体験とどのように向き合うか。田中先生に伺いました。

憧れよりも大切な光

―― 中学受験は、ほかの家庭の成功体験談に気持ちが揺らぐ場面がありますよね。「ヨソと違う」とわかっていても、影響されてしまうように思います。

そうですね。その要因は一言でいうと、「そう思いたいから」です。

人は迷子になりたくありません。迷子にならないためには座標軸や方向磁石、そして目当ての星や手本がほしいのです。その手本や目指す星が、夢に相当します。

夢を見たい。夢が欲しいものだから、その人と自分、うちの子は違うんだということに気づかず、もしくは気づかないふりをして成功体験にあやかろうとするのです。でも、「あの人もできたんだから、自分もできる」と思って始めてみると、実際は上手くいかないことのほう方が多かったりしますよね。

―― 中学受験を始める動機の多くは、「こんな人生を歩みたい」「絶対にこの学校に入りたい」「あの人のようになりたい」など、憧れから始まることが少なくないですよね。

憧れを抱くことは決して悪いことではありません。その憧れがやる気を引き出す起爆剤になるならいい。今言ったような憧れは、遠くにある光のようなもので、希望を失わずに歩み続けるために必要なものでもありますからね。でも、前に進むにはもうひとつ大事な光があります。中学受験に挑む親子には、そちらの光も目を向けて欲しいと思います。

「今どこにイルカ」。今と過去の成長比較

―― 憧れよりも大切な光って、一体何でしょう?

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田中純

田中純

  • 専門家・プロ

開成中学校・高等学校、国際基督教大学(ICU)教養学部教育学科卒業。神経研究所付属晴和病院、中高教諭、学校カウンセラーを経て公文国際学園開講準備に参加。現在は赤坂溜池クリニックやNISE日能研健康創生研究所、コミュニティ・カウンセラー・ネットワーク(CNN)などでカウンセリングやコンサルテーションを行っている。相性はDon先生。著書「ストレスに負けない家族をつくる」「中学受験は挑戦したほうが100倍子供のためになる理由」(みくに出版)。公式YouTubeはこちら

やまかわ

  • この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。