中高一貫校生活のオモテとウラ ~先輩ママに聞いてみたい!~
苦難の連続だった中学受験を乗り越えて、いざ憧れの中高一貫校へ進学!
でも、理想と現実はちょっと違っていて?
「みんなイイことばっかり言うけれど……。ホントのとこ、どうなの?」
中学受験を目指す保護者さんがふと疑問に感じる中高一貫校生活のアレコレを、先輩ママ2人がこっそり教えてくれました!
今回お話しを聞いたのは……
Yママ(40代・会社員)
お子さん:中堅私立中高一貫に通う中1男子(性格:おとなしい、不器用)
Mママ(40代・会社員)
お子さん:公立中高一貫校に通う中1女子(性格:明るい、黙々と作業することが好き)
熱望校に進学したけど……あれ、なんか違う?
――本日は、中高一貫校に通う中1のお子さんを持つ、2人のママに来ていただきました。よろしくお願いします!
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)・Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
よろしくお願いします。
――まずは中学受験を目指したきっかけを教えてください。
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
うちは子どもが小学生の頃、夫の仕事の都合により海外で暮らした時期があります。
現地ではインターに通い、ある程度英語を話せるようになっていたため、地元中学でまたABCからやるのは息子もつまらないだろうなと思ったのがいちばんの理由。
そのため、英語の取り出しクラスがあるかどうかが学校選びの第一優先でしたね。
Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
わが家の場合、2020年の緊急事態宣言で一斉休校になった際、小学校の対応の遅さを目の当たりにし、地元の中学に通わせるのがたまらなく不安になっちゃって。ただ、当時すでに娘は5年生だったため、受験するにしても明らかにスタートが遅いからどうしようと……。
そこで、通っていた学習塾に相談したところ、公立中高一貫校なら間に合うかもしれないと提案され、本人もその気になったことから、思い切って受験路線に切り替えたんです。
――お二人とも、お子さんは無事に第一志望校へ進学されたと伺っています。
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
はい、親子ともに熱望校だった学校に通っています。偏差値50台の私立中です。
Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
うちは最初から公立中高一貫校一本に絞っての受験でした。かなり博打でしたけど、なんとかなって良かったです。
――では、お子さんたちは期待通りの学校生活が送れているんですね!
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
いやぁ……どうなんでしょう(苦笑)ねぇ?
Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
ねぇ(苦笑)
――思っていたのと違った点が?
Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
うーん、本人はおおむね楽しそうに通っていますけど、親としては「あら?」と思うことはチラホラありますよ。
たとえば、公立中高一貫校の場合、先生方は地元の教育委員会に所属していますから、前任校は普通の公立中だったという方ばかりです。
もちろん、授業が上手いとか校風に合っているとか、何らかの理由があっての配属なんでしょうけど、なんでこの学校にいるの?と思うような先生もいます。「教え方が一方通行」「理不尽なことでキレる」「終始上から目線で押さえつけてくる」みたいな、ひと昔前にあったネガティブな教師イメージそのものの人とかね。
まあ、どこの学校にも良い先生とイマイチな先生がいて当たり前なんですけど(苦笑)。ただ、これだけ人気校なんだから魅力的な先生ばかりだろうなんて、夢のような理想は膨らませない方が良いかなと思います。
――Yママはどうですか?
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
学校説明会や見学会って、結局はキラキラした部分しか見せないんだなと痛感してます。
息子が今の学校を希望するようになったきっかけは、ある部活動だったんです。すごく珍しい活動を行っている文化部で、学校の目玉のひとつとして紹介されているくらい。「合格したら絶対にこの部活に入る!」と受験のモチベーションにして、勉強をがんばってきました。
でも合格して実際に入部してみると、同じように部活に憧れて入学した生徒が多すぎて、活動機会がほとんど回ってこないんですよ。運動部なら努力次第でレギュラーを獲るやりがいも感じられるでしょうが、いかんせん文化部。本人の熱意でどうにかなるものでもなく、結局数ヶ月で退部してしまいました。
一番楽しみにしていた部分でアテが外れてしまい、かわいそうだなと思います。
――想いが強かっただけに、がっかり感は大きそうですね……。
Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
特に部活は入ってみないと分からないですよね。
うちの学校は全体的に部活への熱量が薄いです。「ザ・青春」に憧れがあった娘にとっては、ちょっと期待はずれだったみたい。
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
受験生やその家族って「この学校に行きたい」と思うあまり、良いと思ったポイントへすごく過剰に期待してしまうことってありますよね。好きで好きで付き合った男性も、実際恋人になると「なんか違う」って感じるのと同じ(笑)?
学校選びの時は、トータルで見て好感触だと思える学校がいちばん良いのかもしれません。
「私立の面倒見の良さ」恩恵を受けられるかどうかは本人次第
――学習面で「ちょっと違った」と感じる所ってありますか?
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
うちの学校にはいわゆる「学校内塾」があって、1年生は入塾が必須です。
ずいぶん手厚い学習サポートだなぁと入学前は魅力に感じていましたが、学校が用意してくれたリソースを使いこなせるかどうかって、結局は本人のヤル気と性格次第なんですよね。
我が家もそうでしたが「おとなしくて優しい」「おだやかで競争心がない」みたいに、子どもの性格や特性を心配して、中学受験を選ぶご家庭って多いと思うんです。でも、面倒見が良いと評判の学校に入ったからといって、子ども自身が変わらない限り、突然勉強しはじめるわけがなかった(苦笑)。
いくら立派な自習ルームや教えるのが上手なチューターがいても、うちの子みたいにちょっとぼんやりさんなタイプには、宝の持ち腐れでしかない状態です。
――学校が生徒のお尻を叩くのも限界がありますもんね。最終的には子ども自身が頑張らない限り、親が期待するような結果は得られないと。
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
そういうことですね。「中高一貫に入ったからといって安心ではない」と、よく肝に銘じておくべきかな。
あと、中堅校は第一志望で入ってきた子から、滑り止めで泣く泣く入学してきた子もいるため、偏差値の幅が広いんですよね。そのせいかどうかは分からないけど、いわゆる「やんちゃ」な子も結構いるようで正直おどろきました。
授業中に私語が多くてうるさいと息子もぼやいていたし、クラス運営は先生も苦労されているんじゃないかなと思います。
――習い事など好きなことのんびりやりたいからと、高校受験しなくてすむ中高一貫を選ぶパターンもよく聞きますが、実際どうですか?
Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
「高校受験をしなくて良いから」は、わが家でも受験勉強をさせるための必殺の口説き文句でした。でも結局はテストも多いし課題も多いし、毎日すごく忙しそうにしていますよ。
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
うちもうちも!ヒーヒー言いながら勉強してる姿を見ると、息子を騙したような罪悪感すら覚えます。
本当にのんびりしたいなら大学附属校を選ぶべきだったんでしょうが、小学5・6年生の時点でどの大学に内部進学したいかなんて聞かれてもピンとこないし、難しいですよね……。
――生活面で驚いたことなどは?
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
やたらと休みが多い!テスト明けは1週間くらい休みになります。とくに入試シーズンの冬は、なんでこいつはこんなに家にいるのかと(苦笑)。
中学入試だけでなく高校入試の前後も休みになるから、トータルするととにかく子どもの自宅滞在率が高く感じます。
Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
確かに。でも、大学の付属校に通わせてるママ友に聞くと、進学校よりカリキュラムがのんびりしているからか、さらに休みは長いみたいです。「もう1ヶ月くらい学校行ってないのよ」なんて聞くと、その分の学費返せって思っちゃいそう。
子ども同士の交友関係。意外な出費にびっくり
――学費の話が出ましたが、中高一貫校でもっとも気になる費用面について教えてください。通いはじめてから気付いた「思わぬ出費」などあれば。
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
学費が高いのはあきらめるとして、運動部に入った子のママは、遠征費などでかなりお金がかかると嘆いていました。地元の中学なら区内・市内の学校に行けば済むような練習試合も、私立だとかなり幅広く飛び回るそうです。遠方だと出発が朝早くなるし、保護者はお弁当の支度も大変ですよね。
Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
交通費って思った以上に飛んでいきますよね。
付き合う友達の自宅も広範囲におよぶので、休日に友達と遊ぶ時もやっぱり交通費がかかっちゃう。部活で仲良くなった高校生の先輩と遊ぶこともあるから、出かける先も遠方だったり、入場料なんかでお金が結構かかる場所へ行ったりしています。「中学生らしい」生活を送っていた私はびっくりしますね。
ただ、公立中高一貫校の最大のメリットですが、学費は安い。それに制服類が公立価格なのはもちろん、靴や靴下といったその他アイテムも比較的自由なので助かります。
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
いいなぁ。うちは何から何まで学校指定ですよ。男子なんてスラックスで外から見えないのに、靴下まで指定。制服のデザイン自体は学校の売りのひとつですごくオシャレなんですが、その分めちゃくちゃ高いです。
個性を尊重してくれるのがステキ!
――なるほど。交通費の話なんて、実際に学校生活を送ってみないと分からないリアルな感想ですね!思いのほか不満ばかりが続いてしまいましたが(笑)、最後に今の学校へ入学して良かった点を聞かせてください。
Mママ(公立中高一貫校・女子ママ)
私自身は普通の中学校へ通っていたけど、やっぱり中には思春期・反抗期で斜めに構えたような子もいたじゃないですか?真面目な子を茶化したり、ダサいと軽んじるような空気がないのは、やはり魅力的な環境だと思います。
制服もね、女の子のスラックス着用率がめちゃくちゃ高くて!「だって寒いんだもん」なんて子どもたちは言ってるみたいですが、その実利的な考え方と、これまでの価値観にとらわれない土壌ができている点が私はすごく好ましいなと感じました。
小学校時代は周囲の同調圧力みたいな雰囲気に悩んでいた娘も、今はのびのびやれているので、それだけでもこの学校に行けて本当に良かったと思っています。
Yママ(中堅私立中高一貫校・男子ママ)
うんうん、同感。学校のカラーによるのかもしれないけれど、良い意味で放っといてくれるというか、多様性を受け入れてくれる居心地の良さは大いに感じます。
あと、グループワークの内容や、文化祭や発表会など行事のクオリティが高いのが素晴らしいなと。学習外の活動にもしっかり取り組める余裕を持てるのは、高校受験がないことのメリットのひとつなんでしょうね。
やっぱり、他者とのコミュニケーション力を磨いたり、大勢と協働してきたという経験が、社会に出てからいちばん役に立つスキルなんじゃないかと思います。まだ通いはじめて1年しか経っていませんが、これからの息子の成長が楽しみです!
――お子さんたちがこれからの学生生活をさらにエンジョイできると良いですね。本日はどうもありがとうございました!
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
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