連載 中学受験は親と子の協同作業

【6年生】合否判定模試の結果 どう受け止める? どう対策する?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.41

専門家・プロ
2019年9月12日 石渡真由美

夏休みが終わり9月になると、6年生は12月までの毎月1回、志望校の合格可能性がどのくらいあるかを判定する合否判定模試(塾によって名称が異なります)を受けます。この4回の模試の結果で、おおよその合否が見え、最終的な受験校を検討していくことになります。

合格可能性25%~80%までの点数の幅は、わずか50点程度

受験生親子にとって、合否判定模試の結果は、現実の力を知らされるものです。合格可能性50%以下の数字が出てしまうと、「もうダメかもしれない……」と思ってしまうかもしれませんが、実はそこまで悲観することはありません。

中学受験の合格可能性は20~80%の範囲で判定されます。どんなに優秀な成績をとっても、それ以上の数字は出ません。パーセンテージが高く出ても、低く出ても、合格可能性25%~80%までであれば、点数の幅はわずか50点程度(算数150点、国語150点、理科100点、社会100点の場合)です。中学受験では合否のボーダー付近に多くの受験生がひしめいています。1教科あたり2、3問正答数を増やせれば、合格に近づくのです。

ですから、たとえ模試で合格可能性が25%という結果が出ても、あきらめる必要はありません。第一志望校なら、挑戦してもいいでしょう。ただし、合格可能性が20%になると、それ以下の成績の子も含まれているので、合格は厳しくなります。

入試の合否は総合点で決まる。足りない点数を補うには

9月の模試の結果は、まだそれほど深刻に受け止める必要はありません。しかし、安定を目指すのであれば、11月、12月の模試で、第一志望校なら合格可能性40%以上、第二志望校なら70%以上、第三志望校以降なら80%はとっておきたいものです。

その際、どの模試で判断をするかもポイントです。難関校を目指すのであれば、サピックスの「合格力判定サピックスオープン」。中堅校を目指すのであれば四谷大塚の「合不合判定テスト」、日能研の「全国公開模試」。中堅以下の学校を目指すのであれば首都圏模試の「統一合判」などを受験しましょう。

中学入試の合否は4教科の総合点で決まります。理想はどの教科もまんべんなく伸ばしていくことですが、そのために苦手教科の克服ばかりに時間をかけるのは得策ではありません。

足りない点数をどの教科で加点していくか、作戦を練る必要があります。例えば合格最低点が400点で、あと30点足りなかった場合、間違えた問題の正答率を見てみます。正答率が高い問題は、みんなが落とさない問題、つまり基礎問題です。まずそこを確実に正解させることが、合格の近道です。

中学入試は満点で合格を目指す必要はありません。正答率の低い難問を解くために、多くの時間を割くよりは、正答率が高い問題で確実に点をとるほうが得策です。

ただし、合否判定模試は偏差値25~75の幅の受験生が一斉に受けるため、志望校のレベルによって正解すべき問題の難易レベルが異なります。

志望校偏差値が50~60未満であれば正答率50%以上の問題、志望校偏差値が60~65未満であれば正答率35~40%以上の問題、志望校偏差値が65以上であれば正答率20%以上の問題を正解させることを目指しましょう。

また、合否判定模試の合格可能性は、受験する学校によってはあまり参考にならないことがあります。たとえば、記述問題を中心に出題する、麻布中、武蔵中、渋谷幕張中、渋谷渋谷中、雙葉中などがそれに該当します。このような学校は模試の結果よりも、過去問でどのくらいの点が取れるかに注目しましょう。

“ダブル模試”で受験体力をチェックする

サピックスと四谷大塚、この二塾は同じ日に合否判定模試を実施します。それぞれ、午前・午後に模試が実施されるので、同じ日に2つの塾の合否判定模試を受ける“ダブル模試”が可能です。

たとえば、午前中にサピックスの「合格力判定サピックスオープン」を受けて、午後から四谷大塚の「合不合判定テスト」を受けるといった感じです。

このタブル模試は、受験生に入試本番で同日ダブル受験をする体力があるかどうかを判断するよい機会になります。

近年の中学入試では、生徒数を確保したい学校と、少しでも早く合格を手に入れたい受験生のニーズにあわせた「午後入試」が増えています。しかし、1日のうちに午前と午後で2校の入試に挑戦するのはハードなため、体力と気力がある子でなければおすすめできません。

その体力の有無を見るのに、2つの模試を受けるのです。その際、午後に受けた四谷大塚の模試で思うような結果が出せなかった場合は、同日に2校受験する体力か気力がないと見ることができます。模試にはこのような活用法もあります。

合否判定模試は12月を最後に終了します。そこから入試本番までの1カ月は、何も判断基準がないなかで受験勉強を進めていくことになります。しかし、この最後の1カ月で伸びる子はたくさんいます。最後までお子さんの力を信じて、応援していきましょう。


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※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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