メンタルトレーニングにも役立つ? 「受験メンタル」を強くするスポーツの効果とは
受験専門の心療内科「本郷赤門前クリニック」の院長を務める吉田たかよし先生によると、受験勉強とそれに伴なうストレスにうち勝つためには強い「受験メンタル」が必要とのこと。そんなメンタルを養うには、適度な運動がおすすめだといいます。ここでは、そんな運動療法によって得られる脳への影響や効果について、詳しくお話を伺ってみました。
中学受験は、子供のチャレンジ精神を養うための最高の舞台!
中学受験の本来の目的は、単に「合格すること」だけではありません。子供にチャレンジ精神の大切さを受験の体験を通して学ばせること。そして自分の努力でメンタル力も高められるようになる。中学受験は、そんな人間力を養うための最高の舞台だということを親子でよく理解しておくことが重要です。さらに、「チャレンジ精神や受験を勝ち抜くメンタル力は、上手に運動を取り入れることによって養うことができる」と吉田たかよし先生はいいます。
「受験メンタル」を養う運動療法とは
受験期の子供は多くのストレスと戦うことになるので、程度の差はあれども、「受験うつ」の状態になりやすいのです。実際、健康な人でも、受験生活のなかで一過性のうつ気分になる時期は訪れます。うつ状態の打開には、まずは休息が必要ではありますが、運動療法も極めて効果的だと吉田先生はいいます。
「ヨーロッパの医療現場では、うつ病を患っている患者さんに対して、いきなり抗うつ剤を投与する国はほとんどありません。『まずは運動をして脳を回復させる』という治療法が優先して取り入れられているのです。さまざまな臨床研究の結果、運動をすることが抗うつ薬と同様、もしくはそれ以上の効果があるというデータが出ています。にもかかわらず副作用の心配がないということで、運動療法が注目を集めているのです。こうしてみると、運動は『受験うつ』を抱える子供はもちろん、健康で元気な状態の人にとっても、うつを防ぐため積極的に実践すべき方法だといえますね」(吉田たかよし先生)
運動は脳機能と、粘り強いメンタルを養ってくれる!
脳科学的な観点でみると、運動は脳にどのような影響を与えるのでしょうか。
「脳の中で記憶力を生み出している海馬は、運動の作用によって神経細胞が増えます。増えた細胞は脳の機能をアップさせるため、運動によって記憶力が向上してくれるわけです。さらに、私たちが思考するとき、脳の中では記憶の器官を高頻度に使って情報処理をしています。ですから、運動をすることで、記憶力だけでなく思考力も同時に養うことができるといえるわけです。また、運動は皮膚感覚を含めて、『自分をコントロールすることの楽しさ』を経験する機会にもなり、それによって脳の働き方が変わってきます。運動によって自分をコントロールする能力が高まれば、粘り強い精神や、困難なことに立ち向う勇気、不安に負けない心が備わります。受験期に勉強以外のことをさせるのは親としても勇気がいることですが、適度な運動は学習の後押しにもなることを理解し、ぜひ、時間を上手にやりくりして運動の時間を確保してください」(吉田たかよし先生)
受験勉強中の運動が一生の財産に!
高い目標に向かって、一歩一歩近づいていく。まるで、厳しい登山に挑むようなプロセスが受験勉強にはあります。だからこそ粘り強いチャレンジ精神をきたえることが、受験勉強の目的のひとつではありますが、精神的にはつらいことも多いでしょう。そんなとき「適度な運動」が多くの受験生を救ってくれそうです。運動は脳を活性化させ、不安や不満にうち勝つ粘り強い心も養ってくれます。机に向かってがんばるのも大事ですが、十分に体を動かし、運動に集中して打ち込むことも、受験の糧になると覚えておきたいですね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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