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光合成とは? 植物が酸素を作り出す仕組み

2018年5月08日 東荘一

「光合成」という言葉はあまりにも有名で、知らない人はいないと言っても過言ではないでしょう。ところが、ほんの少しだけ掘り下げただけで頭の中が混乱してしまう人も多いものです。

「光合成の原料2つとは?」「光合成の原料はどこから取り入れる?」「原料以外で光合成に必要なものは?」「光合成を行なう場所は?」などの問いに対して、即座に答えることはできるでしょうか。

中学受験に限らず時間に限りのある試験では、本番で迷っていては得点につながらない重点事項があります。今回は試験でも迷わないように、光合成の最も基本的かつ重要なポイントを整理しておきたいと思います。

光合成とは植物のはたらき~植物特有の活動

生物にとって生きるための源は全て、植物の光合成というはたらきによって生成されると言えます。地球上の酸素は、すべて植物の光合成によって作り出されたものです。また食物連鎖(植物→草食動物→肉食動物)の出発点となる栄養も、やはり植物の光合成によるものです。

光合成とは植物のはたらき~生物を分類すると?

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E6%A0%B8%E7%94%9F%E7%89%A9

中学受験で対象となる生物は真核生物と呼ばれ、体は【図 2】に示す細胞で構成されています。参考までに人体の細胞数は、約37兆個と言われています。

真核生物は動物、植物、菌類(キノコ、カビ、酵母など)に分類されます。すべての生物は生きるために栄養と酸素を必要としますが、それらを自ら作り出すことができるのは植物(の光合成)だけです。

光合成とは植物のはたらき~生物の共通点とは?

各細胞の中には数百個のミトコンドリア(【図 2】の「9」部分)が存在し、栄養と酸素を原料にして生きるためのエネルギーを生み出し続けています。この働きが、「人体」で学習する「体内呼吸」です。

「体内呼吸」は生物が生きるための働きですから、もちろん植物も24時間365日、つねに行っていることを忘れないでください。

以上をまとめると、全ての生物は生きるために24時間365日栄養と酸素が必要で、その供給元は植物による光合成です。光合成と体内呼吸との関係については、後述します。

光合成とは植物のはたらき~生物の生存に不可欠なものを作り出す

最初に挙げた3つの質問の答えは、

◎「光合成の原料2つとは?」→「二酸化炭素と水です。」

◎「原料以外で光合成に必要なものは?」→「光エネルギーです。」

◎「光合成を行なう場所は?」→「葉緑体です。」

しかし、「光合成の原料は、どこから取り入れる?」という問いに対して、「二酸化炭素は気孔(空気)から、水は根(土)から。」と答えても完全ではありません。正確に答えるため、後半をじっくり読み進めて下さい。

光合成のしくみ~原料は二酸化炭素と水

光合成は、化学工場で製品を作り続けているようなものです。その原料は二酸化炭素と水で、製品がデンプンと酸素です。具体的には二酸化炭素からデンプンを、水から酸素を製造しています。

複雑な化学式を覚える必要はありませんが、水(H2O)が分解されると水素(H2)と酸素(O2)になること程度は一般常識として知っておいたほうがいいでしょう。具体的な化学式は、

2H2O + エネルギー → 2H2 + O2

です。参考までに厳密な話をすると、水を分解してできた水素は、二酸化炭素とともにデンプンを製造するための原料として使われています。

ちなみにこの化学式を逆に見た「2H2 + O2→ 2H2O + エネルギー」は、いま話題の水素社会を象徴するものです。つまり、水素(H2)を燃焼(O2と結合)することでエネルギーを得て、できるのは水だけということになります。

光合成のしくみ~光は工場(葉緑体)のエネルギー

光合成を行なう化学工場にあたるのは「葉緑体」です。この工場を稼働するためのエネルギーが「光」です。必ずしも太陽光である必要はなく、光合成に適した人工光を使用する場合でも光合成は行なわれます。

植物の緑色は葉緑体によるものですが、茎よりも葉、「葉の裏」よりも「葉の表」のほうが緑色は濃いです。光エネルギーが最も多く集まる「葉の表」に、できるだけ多くの工場(=葉緑体)を設置しているのです。

以上に述べた光合成のしくみは、単に化学式として覚えると味気ないものです。ところが光合成とは「二酸化炭素と水から、デンプンと酸素を産み出す」という、地球における奇跡的な現象といえます。そのように身近な現象として覚えておくと頭にも残りやすいでしょう。

光合成とは植物のはたらき~植物自身の生存との関係は?

植物も生物ですから「体内呼吸」を24時間365日行ないます。つまり植物も動物や他の生物同様「デンプン」と「酸素」を消費し続けています。植物は「体内呼吸」に加えて「光合成」も行なう生物、と定義することもできます。植物が行なう「体内呼吸」と「光合成」との関係を、整理してみましょう。

光合成のしくみ~植物に必要な酸素とデンプンは消費!

上図は横軸が「光の強さ」、縦軸が「空気中への酸素の放出量」を示すグラフです。おおまかにいうと、光が強くなるほど光合成もさかんになり、空気中への酸素放出量も増えていきます。もちろん限界はありますから、光が一定の強さ以上になると光合成量は変わらなくなります。

体内呼吸は、光の強さとは関係なく一定で、量的には「X」に該当します。光がまったくない「A点」では、生きるために必要な酸素をすべて空気中から取り入れます。「B点」までの間は光合成で生成される酸素は体内呼吸で消費され、足りない分を空気中から取り入れます。

光が強くなるにつれて光合成量も増し、やがて光合成量は植物が生きるのに充分な状態(B点)に達します。「B点」とは、生きるための酸素(とデンプン)はすべて光合成で足りるし、体内呼吸で生じた水(と二酸化炭素)はすべて光合成の原料として利用している状態です。

私たち人間や他の生物から見れば「B点」の植物の状態は、酸素をいっさい吸わないし二酸化炭素もまったく出さない、不気味な状態といえます。

光合成のしくみ~あまった酸素とデンプンのゆくえ!

「光合成の原料は、どこから取り入れる?」という問いの答えとして、「水は根(土)から、二酸化炭素は気孔(空気)から。」では不十分だと述べました。それは、「体内呼吸による生成量で足りない分は」という条件を加える必要があったからなのです。

【図 6】において体内呼吸による量を加えた「Y」が、「真の光合成量」を示します。

さらに光が強くなると、光合成量は植物の生存に必要な量を上回り、あまった酸素は空気中に放出し、デンプンを体内に貯蔵します。もちろん光が強くなるほど、酸素の放出量とデンプンの貯蔵量は増していきます。これらが地球上の生物にとって、生存のための源となります。

まとめ

◎ 体内呼吸はすべての生物が、光合成は植物だけが行ないます。

◎ 光合成の原料は二酸化炭素と水、工場は葉緑体で光がエネルギー、デンプンと酸素を生産します。

◎ 体内呼吸はつねに一定量、光が強くなるほど光合成量も増します。

※記事の内容は執筆時点のものです

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