学習 算数

拡大図と縮図で大切な「縮尺」とは何か? 地図の問題は相似の考え方で解ける

2023年5月26日 みみずく

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中学受験算数でとても大切な「相似」は、学校の算数では6年で「拡大図と縮図」として学びます。入試では、典型的な相似の問題ではなく、地図を題材とした拡大図と縮図の問題が出ることもあります。中学受験算数と学校の算数をしっかり結び付けて理解しましょう。

拡大図と縮図で大切な「縮尺」

拡大図と縮図では、相似比は「縮尺」と呼ばれます。中学受験塾では相似を教えるときに縮尺も一緒に教えるので、受験生は5年で縮尺に触れるはずです。

縮尺とは何か?

実物を小さくして地図などに表すとき、実物の長さをどれほど短くしたかを表すのが縮尺です。対義語の「現尺」は、実物と同じ長さを図に表すときに使います。

縮尺は実物の長さに対する図での長さの割合なので、「\(\frac{図での長さ}{実物の長さ}\)」で表します。たとえば、縮尺が\(\frac{1}{10000}\)の地図では、100m(10000cm)の道路が1cmの長さで描かれます。また、\(\frac{1}{10000}\)は1:10000という比で表されることもありますが、分数も比も同じ縮尺なので混乱しないようにしましょう。

縮尺と距離・面積

縮尺と距離・面積の関係を次の【問1】で考えてみましょう。

【問1】縮尺\(\frac{1}{50000}\)の地図があります。

(1) この地図上で6cmの距離は、実際には何kmですか。

(2) 2.5kmの距離は、この地図上では何cmですか。

(3) この地図上で10cm\(^2\)の面積は、実際には何km2ですか。

(1)は、6cm×50000=300000cm=3kmです。

(2)は、2.5km=250000cmなので、250000cm÷50000=5cmです。

50000をかけるのか割るのか混乱することもあるかもしれません。「縮尺をかけるのは拡大したいときで、割るのは縮小したいとき」と覚えておけば混乱を防げます。

しかし、(3)も(1)と同じように考えて、10cm\(^2\)×50000=500000cm\(^2\)とすると間違いです。

たとえば、10cm\(^2\)を縦2cm、横5cmの長方形とすると、縦と横のそれぞれを50000倍しなければなりません。

したがって、10cm\(^2\)=2cm×50000×5cm×50000=10cm\(^2\)×50000×50000=25000000000cm\(^2\)=2.5km\(^2\)が正解です。

面積の場合は、縮尺を2回かけたり割ったりする必要があります。

拡大図と縮図は入試問題としてどう出る?

拡大図と縮図は入試問題として出る場合、学校のテストよりもやや難しくなります。

単位換算の問題

【問2】縮尺\(\frac{1}{25000}\)の地図で10cm\(^2\)の面積は、実際には何haですか。

10cm\(^2\)を実際の面積に変換すると、10cm\(^2\)×25000×25000=6250000000cm\(^2\)です。

1a=100m\(^2\)=1000000cm\(^2\)1ha=100a=1000000cm\(^2\)×100=100000000cm\(^2\)なので、6250000000cm\(^2\)=62.5haが答えです。

面積なので縮尺を2回かけた上で、cm\(^2\)をhaに変換します。aとm\(^2\)、aとhaなどの単位換算に不安がある場合は復習しましょう。

速さから縮尺を求める問題

【問3】時速50kmの車で走ると12分かかる距離は地図上で20cmです。この地図の縮尺は何分の1ですか。

速さから縮尺を求める問題では、最初に実際の距離を求めます。「速さ×時間=距離」なので、12分=\(\frac{12}{60}\)時間=\(\frac{1}{5}\)時間として、時速50km×\(\frac{1}{5}\)時間=10km=1000000cmです。

1000000cmが20cmになっているので、\(\frac{20}{1000000}\)=\(\frac{1}{50000}\)(50000分の1)が答です。

距離から面積を求める問題

【問4】長方形の土地の周りを時速45kmの車で一周すると40分かかります。この土地の縦の距離が縮尺\(\frac{1}{50000}\)の地図上で12cmのとき、この土地の面積は何haですか。

「速さ×時間=距離」なので、40分=\(\frac{40}{60}\)時間=\(\frac{2}{3}\)時間として、時速45km×\(\frac{2}{3}\)時間=30kmが土地の周りの長さです。1周が30kmなので、縦と横の和は30km÷2=15kmとわかります。

次に、縮尺\(\frac{1}{50000}\)の地図上で12cmの距離は、実際は12cm×50000=600000cm=6kmです。縦の距離が6kmなので、横の距離は15-6=9kmと求められます。したがって、土地の面積は6km×9km=54km\(^2\)です。1km\(^2\)=100haなので、54km\(^2\)=5400haが答えです。

拡大図と縮図は社会の地理でも必要

縮尺については、算数だけでなく、社会の地理でも必要となることがあります。社会の計算問題としても出やすいので、単位換算も含めて、できるようにしておきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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みみずく

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家庭教師/ライター。墨田区・台東区を拠点に活動している個人家庭教師。家庭教師を本業としつつ、ライターとしても活動しています。モットーは「好きな人を応援する」。小学生の指導科目は国語・算数(数学)・英語・理科・社会・作文など。「楽しく学びながら、中学の準備をする」ことを目標に指導をおこなっています。

Webサイト:みみずく戦略室 墨田区・台東区のプロ家庭教師&ライター
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