
過不足算であまりや不足をどうする? 線分図や面積図を描けば簡単に解ける
中学受験算数の特殊算に「過不足算」があります。過不足算ではあまりや不足を足したり引いたりしますが、「足すの?引くの?」と悩む受験生も少なくありません。そんな悩みが生じない解き方をわかりやすく紹介します。
Contents
過不足算ではあまりや不足に注目
過不足算とは、あるものを何人かで等しく分けるとき、あまりや不足から個数や人数を求める特殊算です。具体的な問題で解き方を考えてみましょう。
過不足算とはどのような特殊算?
【問1】子どもたちにあめ玉を1人5個ずつ配ると13個あまり、1人7個ずつ配ると3個不足します。子どもは何人いますか。
【問1】が典型的な過不足算です。1人当たりの個数の差は7-5=2(個)です。一方、全体の個数の差はあまりと不足の和で13+3=16(個)です。したがって、16÷2=8(人)が子どもの人数です。ちなみに、あめ玉の個数は5×8+13=53(個)で、問題によってはこちらを求めなければならないこともあります。
【問1】ではあまりと不足の和を考えました。ここで、多くの中学受験生は「どうしてあまりと不足を足すの?」とこんがらがってしまいます。その混乱をすっきり解消したければ、問題の状況を線分図や面積図に表してみるのがおすすめです。
過不足算を線分図で解く
過不足算を線分図で解く場合、最初に等しい長さの線を2本描きます。この線は等しく分けるものの個数を表します。【問1】では、2本の線はあめ玉の個数です。
続いて、2本の線に、配ったあめ玉の個数とあまり・不足を書き込んでいきます。子どもの人数を□人として、配ったあめ玉の個数は「1人当たりの個数×□」で表せます。あまりと不足の書き方には注意しましょう。【問2】では、線に食い込むのがあまりで、線を伸ばすのが不足です。
ここで2本の線の差に注目して、7×□-5×□=13+3なので□=16÷2=8(人)が子どもの人数です。線分図を描いて数字を書き込んでいけば、あまりや不足を足すのか引くのかは一目瞭然でしょう。
過不足算を面積図で解く
過不足算を面積図で解く場合、最初に等しい面積の長方形を2個描くとわかりやすいでしょう。【問2】では、縦は子ども全員にあめ玉をちょうど配れるときの1人当たりの個数で、横は子どもの人数とします。そうすると、面積はあめ玉の個数です。
2個の長方形にあまりと不足を書き込んで、それらを合わせると以下の通りです。右の図の赤い部分に注目すると、子どもの人数□=(13+3)÷2=8(人)と求められます。
過不足算の長椅子問題の解き方
過不足算の長椅子問題は多くの受験生が苦手とします。【問2】は典型的な長椅子問題です。
【問2】体育館の長椅子に児童が座ります。1脚に5人ずつ座ると13人座れません。また、8人ずつ座ると5人がけの長椅子が1脚できて、さらに1脚あまります。児童の人数は何人ですか。
長椅子問題を線分図で解く
【問2】も【問1】と同じく、最初に等しい長さの線を2本描きます。今回は2本の線は席数にするとよいでしょう。
長椅子を□脚とすると5×□席あり、そこに児童が座ると13人が座れません。そこで、13席不足していると考えて、上の線に次のように数字を書き込みます。
5×□+13が児童の人数です。【問1】と不足数を書き込む位置が違っているので注意しましょう。
難しいのは「8人ずつ座ると5人がけの長椅子が1脚できて、さらに1脚あまります」をどう線分図に表現するかです。8×□は席数なので、あまっている席数を考えるとよいでしょう。5人がけの長椅子であまっている席数は3席、1脚あまった長椅子の席数は8席なので、全体であまっている席数は3+8=11(席)です。この8×□席から11席を引くと児童の人数になるので、下の線には次のように数字を書き込みます。
ここで2本の線の差に注目して、8×□-5×□=13+11なので□=24÷3=8(脚)が長椅子の脚数です。したがって、児童の人数は5×8+13=53(人)を求められます。
長椅子問題を面積図で解く
【問2】を面積図で解く場合も【問1】と同じように考えます。8人ずつ座ったときにあまる席数が11席とわかっていれば、面積図は以下の通りです。
右の図の赤い部分に注目すると、長椅子の脚数□=(13+11)÷3=8(脚)と求められます。したがって、児童の人数は5×8+13=53(人)です。
過不足算は図を描く練習にもぴったり
頭の中で考えると難しい過不足算も、線分図や面積図などを描けば簡単に解けます。図の描き方はパターンがあるので、類題で図を描く練習を積み重ねると、他の受験生に差をつけられるはずです。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
お気に入り機能は
会員の方のみご利用できます
会員登録のうえログインすると
お気に入り保存できるようになります。
お気に入りのコンテンツは、
マイページから確認できます